徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2023年(令和5年)05月01日 月曜日 徳洲新聞 NO.1387 1面
宇治徳洲会病院(京都府)は、4月末に「Hugo RAS System」を徳洲会グループで初めて導入した。昨年9月に薬事承認され、11月に泌尿器科と婦人科の手術で保険適用となった外科手術支援ロボット。同院はシミュレーション研修を受け、6月に泌尿器科の手術で運用を開始する予定。すでに内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチ」を用いた手術を手がけており、同院が有する手術支援ロボットは2台目となる。
「患者さんに喜んでいただきたい」と長山部長
ヒューゴは、内視鏡(腹腔鏡など)や鉗子を装着するアームが備わった「アームカート」、アームを操作する「サージョンコンソール」、手術中の画像を映し出し手術スタッフと共有する「システムタワー」で構成。術者は専用の3D眼鏡を装着し、サージョンコンソールでモニターに映し出される立体画像を見ながら、アームを遠隔操作して手術する。従来のロボット支援手術同様、皮膚の切開範囲が小さく出血が少ないなど低侵襲な手術が可能となり、患者さんの負担軽減が期待できる。手ぶれを抑える機能も搭載し、より安心・安全な手術をサポートする。
とくにヒューゴは、サージョンコンソールのモニターが座位の視線と同じ高さに設定でき、“オープンコンソール”を採用することにより、アームを操作しながらモニター越しにスタッフの動きが確認できる。また、術者が見ている操作画面を複数人で同時に確認できるため、手術室スタッフとのコミュニケーションも容易だ。
また、アームが1本単位で独立している点も特徴。アーム同士の間隔に余裕をもたせるなど、症例や患者さんに応じて柔軟に配置できる。現在、保険が適用されるのは前立腺がん、膀胱がん、腎盂形成術、尿管がん、子宮体がん、子宮筋腫、子宮腺筋症など泌尿器科領域と婦人科領域の手術。消化器外科については保険適用を申請中だ。
ヒューゴは(左から)システムタワー、4台のアームカート、サージョンコンソールの3つからなる(画像提供:コヴィディエンジャパン) オープンコンソールのため画面越しに手術室の様子を確認できる(画像提供:コヴィディエンジャパン)
宇治病院は4月末に徳洲会グループで初めてヒューゴを導入。背景について、長山聡・消化器外科部長は「ロボット支援手術の適用拡大」と指摘する。
同院は2011年にダヴィンチを導入。ダヴィンチ手術は12年に前立腺がんに対する前立腺全摘術が保険適用され、16年に腎臓がん、18 年に肺がん、食道がん、胃がん、直腸がんなどが加わった。その後も膵臓がん、咽頭がん、喉頭がんなどに拡大された。こうしたなか、同院は主に消化器外科や泌尿器科での手術を実施。地域の医療機関からも対象となる紹介患者さんが増え、「ダヴィンチ1台だけでは十分に対応しきれなくなってきたため、ヒューゴの導入に至りました」(長山部長)という。
実際にヒューゴに触れた長山部長は、「手術室全体を見ながら操作できるので、スタッフとのコミュニケーションが図りやすいです。モニターも見やすく、術者の負担軽減につながると思います」と強調。操作性についても「直感的な操作で術者が意図する動きを再現しています。使い勝手は良いです」と太鼓判を押す。
同院は5月以降に医師や看護師、臨床工学技士(CE)らで実際の手術を想定したシミュレーション研修を受講し、泌尿器科の手術からヒューゴを運用していく予定だ。長山部長は「消化器外科の手術も保険適用になることを期待しています」と明かし、「多くの疾患治療に役立てたいと考えています。今後も患者さんに喜んでいただけるように、テクノロジーも活用しながら質の高い医療を提供していきます」と意欲を見せる。
なお徳洲会グループでは 、23 病院が計24台のダヴィンチ、2病院が国産初の内視鏡手術支援ロボット「hinotori」を1台ずつ導入している。