
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2023年(令和5年)04月24日 月曜日 徳洲新聞 NO.1386 4面
リンパ液の流れが悪くなり、貯留することで起こる「リンパ浮腫」。主に脚や腕に見られ、悪化すると、むくみによって関節が曲がりにくくなったり、むくんだところが重くなったりして日常生活に支障を来すこともあります。発症すると治りにくく進行しやすい特徴があることから、予防や進行させないことが重要ですが、どんな点に注意すれば良いのか。リンパ浮腫療法士の資格をもつ湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の岡本明恵・看護主任が解説します。
岡本明恵・湘南鎌倉総合病院(神奈川県) 看護主任
マッサージのイメージ。良い例。優しく正しい方向に
マッサージのイメージ。悪い例。力強く押し込む
リンパ液は体内に張り巡るリンパ管を流れる液体です。リンパ管に点在する結節(リンパ節)を通過する時に、リンパ液に入り込んだ異物(細菌など)がブロックされ、それらが尿として排出されます。
リンパ浮腫は、このリンパ液の流れが滞ってたまり、むくむ症状です。乳がんや子宮がん、前立腺がんなどの手術にともなうリンパ節の摘出、放射線治療などで起こります。発症すると治りにくく、進行しやすいため、予防や進行させないことが重要になりますが、そのためには何より正しい知識を身に付けることが大切です。
とくに誤った認識をもたれやすいのが「マッサージ」。街で肩こりなどを対象にしたマッサージ店などをよく見かけますが、それは、あくまでも健康な方向け。術後、リンパ管の機能が低下している方には強すぎるため、リンパ管が壊れて逆にむくんでしまう可能性があります。なお、リンパ管は一度傷付いたりすると元の状態に戻ることはありません。
ポイントは、皮膚の表面をリンパの流れに沿って、手の平で優しくなでるように行うことです。あわせて、保湿も習慣付けると良いでしょう。細菌などによる当該部位の炎症はリンパ浮腫の発症につながる可能性があります。皮膚には細菌などから守るバリア機能がありますが、乾燥していると傷付きやすく、感染のリスクも高まります。
また、リンパ浮腫を発症後、進行を抑えるために、滞ったリンパを廃液するドレナージ(マッサージ)もあります。発症の部位によって方法は異なりますが、端的に言うと、たとえば左腕にリンパ浮腫を発症した場合、まず両肩を回し、その後腹式呼吸を数回実践。“準備運動”を行ったうえで、リンパ液の流れる方向に沿って少しずつ皮膚の表面をさすっていきます。ただし、発症した左腕からではなく、最終的に廃液を受け入れる場所から行っていきます。
自分の体の変化に気付きやすくなるため、セルフケアは大事です。ただ、このようにドレナージ(マッサージ)は専門的な知識に基づいて正しく行う必要があります。リンパ浮腫療法士(日本リンパ浮腫治療学会認定資格)などスペシャリストや経験が豊富な理学療法士など、医療のリンパドレナージを学んだスタッフがいる医療機関に相談したうえで行うようにしましょう。
ドレナージ以外にも、圧迫することで血流を促す弾性ストッキング着用、感染を防ぐために虫刺されや傷を作った時は炎症を起こさないように処置をするなど、予防や進行を抑える方法はあります。また、生活習慣病対策もそのひとつ。肥満は、脂肪がリンパを圧迫してむくみやすくなると考えられていますし、筋肉や関節の動きがリンパの流れを良くすることから、運動の大事さも指摘されています。
予防するために日常生活でできることはあります。当院では「リンパ浮腫ケア外来」を設け、私を含む2人の看護師がリンパ浮腫に対するケアや指導を行っているので、気軽にご相談ください。