徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2023年(令和5年)04月03日 月曜日 徳洲新聞 NO.1383 1面

アフリカのタンザニア&レソトに医療支援
腎(臓器)移植センター開設や透析機器を寄贈
東上震一理事長ら徳洲会一行が訪問し協議

医療法人徳洲会の東上震一理事長(一般社団法人徳洲会理事長)をはじめとする徳洲会一行は3月11日から7日間、アフリカのタンザニア連合共和国、レソト王国を訪問した。タンザニアでは腎移植開始5周年記念式典への出席や腎(臓器)移植センター開設に向けた協議、レソトでは透析機器の寄贈に関する協議などを行った。両国とも医療分野にかかわる関係者がこれまでの徳洲会の医療支援に対する謝意を表明。今後のサポートについても大きな期待を寄せた。        (本紙特派員・小松原史仁)

腎移植開始5周年記念式典へ出席も

記念式典でスピーチする東上理事長

徳洲会グループは、徳田虎雄・名誉理事長が理事長の時からアジア・アフリカを中心に、海外の医療支援を積極的に行っている。東上理事長はその意志を継ぎ、現在、アジアとアフリカで複数の支援プロジェクトを進めている。その一環で今回、2国を訪れた。

パネルディスカッションに臨む(左から)ヴァイスチャンセラ・ドドマ大学副学長、田邉センター長、小林院長、日髙センター長、アワジ・ムカパ病院MSW

メンバーは東上理事長、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の小林修三院長、日髙寿美・腎臓病総合医療センター長、田邉一成ロボット手術・臓器移植センター長兼泌尿器科特任部長、社徳の石川一郎本部長、ムワナタンブエ・ミランガ顧問(アフリカ担当)ら8人。

腎移植プロジェクトの成果と過程を強調する小林院長

一行は日本から22時間かけ11日にタンザニアの最大都市ダルエスサラームに到着。駐タンザニア日本大使館の三澤康・特命全権大使と面談し、タンザニアの医療事情など情報収集に努めるとともに、同国への医療支援について意見交換した。翌日は首都ドドマに移動、ベンジャミン・ムカパ病院とドドマ大学の関係者らと会食した。

腎移植を受けた患者さんやドナーとの再会を喜ぶ日髙センター長(左から2人目)

これまで徳洲会は同国に対し2010年に技術指導や研修の受け入れを行い、13年に同大学付属の透析センター開設を支援。16年には国内に腎移植を行える施設がないことから、同国保健省の要請で腎移植術のサポートを東京女子医科大学と協力し開始した。タンザニアの医師や看護師らが来日し、徳洲会病院で研修を受けたり、徳洲会のスタッフが現地を訪れ指導したりし、18年3月22日に徳洲会と東京女子医大のスタッフによるサポートの下、現地医療者による初の腎移植に成功。現在は、現地の医療スタッフのみで行った移植は20例を超えている。

多くのメディアが記念式典を取材

13日はムカパ病院での腎移植5周年記念式典に出席。スピーチに立った東上理事長は「ムカパ病院とドドマ大学のご招待により、記念すべき式典に参加できることを光栄に思います」と謝意を表明。あらためて5周年を祝うとともに、今後、ドドマ大学とムカパ病院共同の腎(臓器)移植センター設立サポートを約束、またコンゴ民主共和国での病院開設支援プロジェクトなども紹介した。また、タンザニア訪問後、レソトを訪れることも明かし、レソトでの透析センター開設支援に意欲を見せた。

ムカパ病院のチャンディカ院長(右)やモレル保健副大臣(その左)と会談する東上理事長ら

最後に「救われた命と、私たちが患者さんに与える希望を祝いましょう。そして自分自身、一緒に働く仲間を誇りに思いましょう」と締めくくると、会場から大きな拍手が湧いた。小林院長もスピーチを行い、「このプロジェクトは、タンザニアの医師がタンザニアの患者さんに首都ドドマで行ったこと、また、臓器売買でないようにイスタンブール宣言に基づき一定の規則のうえでなされたのです」と語気を強めると、同じく会場から拍手が起こった。

腎(臓器)移植センターの開設場所を確認する東上理事長と小林院長

式典では、腎移植の取り組みについてシージャ院長代行がプレゼンテーション。パネルディスカッションも行い、東上理事長、小林院長、日髙センター長、田邉センター長、ミランガ顧問もパネリストとして参加した。徳洲会に記念の盾が贈られる場面もあった。式典には移植患者さんとドナーも参加し、徳洲会一行と互いに再会を喜んだ。閉式後、院内で早速、腎(臓器)移植センターの設立について関係者と協議した。同日、ンケンダ文部相との会談も行った。

14日、日髙センター長と田邉センター長はムカパ病院を訪問。田邉センター長は腎移植手術を1例行った。「想定外のこともありましたが、すぐに移植腎から尿が生成されたので良かったです」(田邉センター長)。

腎移植手術を行う田邉センター長

日髙センター長は手術スタッフや腎臓内科外来をチェック。「看護師と栄養士が医師とともに保存期腎不全患者さんに対応していました。腎不全進行予防を目指す多職種のチーム医療を実践しているところは素晴らしい」とたたえた。

モンティバン病院の透析センターを視察

一方、東上理事長らはモレル保健副大臣らと会談した。夜にダルエスサラームに戻り、午前1時にホテルのロビーに集合、ケニア共和国のナイロビ、南アフリカ共和国のヨハネスブルグを経由して15日夕方にレソトの首都マセルに到着した。小林院長と田邉センター長はレソトには入らず帰国の途に着いた。ヨハネスブルグ近郊のO・R・タンボ国際空港ではレソトの保健省副事務次官らと会談。レソトは人口200万人に対し、透析センターが1カ所(17年に徳洲会が寄贈した10台)しかないなど、窮状を訴えた。

同日夜に同国保健相やマセルにあるクィーンマムハト病院の医師らと会談。同院に10台、第三の都市マフェテングにある病院に10台の透析機器寄贈の要望が出た。これに対し東上理事長は応える姿勢を示すと同時に、現地スタッフが湘南鎌倉病院で研修を受けるよう求めた。

マセルのクィーンマムハト病院(425床)

16日は、まず同国唯一の透析センターを視察するため、第二の都市レリベにあるモンティバン病院を訪れた。機器のメンテナンス、物品の整理なども行き届いており、過去に寄贈した10台すべてが稼働。日髙センター長も「しっかり運用されている」と評した。その後、マセルに戻りクィーンマムハト病院を視察。病院スタッフが検討している透析スペースを訪れると、透析用の水を精製するRO装置の部屋や機材の収納室が確保されていないことから、透析機器を扱う業者と相談しながら設計を見直すよう提案。また日本で透析を学ぶために5人程度のスタッフ派遣も勧めた。一行は17日にレソトを発ち、18日夜に帰国した。

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