徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2023年(令和5年)03月06日 月曜日 徳洲新聞 NO.1379 3面

第21回Nuss法漏斗胸手術手技研究会
患者さんの未来へ
飯田・湘南鎌倉病院部長が会長

第21回Nuss法漏斗胸手術手技研究会が神奈川県鎌倉市にある名刹、建長寺で開催され、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の飯田浩司・胸壁外科部長が会長を務めた。今回のテーマは「未来へ~患者さんの未来のために漏斗胸手術の未来を考える~」。同寺の応真閣という歴史と趣のある建物を会場に、主に漏斗胸に対する手術や患者さんのケアについて多数の症例発表を行い、全国から集まった約60人の参加者らが情報を共有し研鑽を積んだ。

般若心経をバックに開会挨拶を行う飯田部長

漏斗胸は、前胸部が陥凹する先天的な胸郭変形疾患。Nuss法は1998年に発表された漏斗胸に対する術式で、陥凹部に金属バーを留置して胸骨を持ち上げる。日本でも広く行われている術式だ。

飯田部長をはじめ湘南鎌倉病院では、Nuss法ではなく胸肋挙上術という術式に独自の改良を加えた“胸肋挙上術変法”を実施。変形した肋軟骨を部分的に切除・再縫合し、自己の肋骨の弾力によって胸郭を矯正する術式で、人工物を留置しないため感染など合併症が少ないといったメリットが期待できる。

術式は違うものの、漏斗胸に対するより良い医療を追求するうえで、切磋琢磨につながったり、新たな知見を共有できたりするなど、相互に得られるものがあるため、湘南鎌倉病院は同研究会の会員施設となり飯田部長は世話人に名を連ねている。

コロナ禍以降WEB開催してきたが今回は3年ぶりに対面開催

研究会は昨年11月12日に開催。冒頭、飯田部長が「本研究会はNuss法が始まった98年以来、国内のNuss法の発展に寄与してきました。活発なディスカッションを期待しています」と開会挨拶。

症例報告やパネルディスカッションで計36演題の発表があり、徳洲会からは湘南鎌倉病院が3演題を口演。深井隆太・呼吸器外科主任部長が「胸腔内に先天性の併存疾患を有する漏斗胸患者に対する胸肋挙上術の有用性」、西田智喜・呼吸器外科部長が「左右差の強い漏斗胸症例に対する胸肋挙上術の有用性の検討」、大村兼志郎・呼吸器外科医師が「鳩胸手術の検討」をテーマに発表した。終了後にはサテライトセッションとして飯田部長が胸肋挙上術変法の手術動画を供覧しながら、同術式を解説した。

セッションの合間に希望者向けに座禅会を催すなど禅文化を体験する時間を設けたり、翌日には葉山町トレッキングツアーを企画したりするなど、地域の特色を生かした研究会の開催にも腐心した。飯田部長は「毎回勉強になることが多くあります。患者さんのため、漏斗胸治療の向上を目指し、これからも全国の先生方と知見を共有していきたい」と展望している。

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