徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2023年(令和5年)02月13日 月曜日 徳洲新聞 NO.1376 1面
医療法人徳洲会(医徳)は1月21日、横浜日野病院の新病院竣工式を挙行した。コロナ禍に配慮し参加者を限定、当日は同院をはじめ徳洲会グループ、地元の医師会や精神科病院協会の関係者ら25人が列席した。式後に挨拶した馬場淳臣院長は関係者への謝意を示し、「立派な病院を預かったからには、立派な医療を提供していきたい」と決意を新たにした。同日、竣工式の列席者と地域の医療・福祉関係者を対象に内覧会も行った。新病院での診療は2月1日にスタート。
無事に式を終え笑顔の列席者
竣工式と内覧会はコロナ禍のため参加者を限定し、小規模で行った。竣工式には医徳や一般社団法人徳洲会、横浜日野病院、徳洲会グループ病院、地元の医師会や精神科病院協会、新病院の設計・施工会社の各関係者が出席した。
厳粛な雰囲気のなか執り行われる神事
神事後、施主を代表し挨拶に立った東上震一理事長は、関係者に謝意を示し、同院の建て替えに言及。徳洲会初の精神科単科病院は2002年にグループ入りする前からの建物で、老朽化が進み、「私もこれまで何度か訪問し目の当たりにしていますが、本当につらい環境でした」と振り返り、「患者さん、職員の皆さんが耐え、この日を迎えたのは感慨深いものがあります」と吐露した。
式後に新病院を内覧する東上理事長ら徳洲会関係者。馬場院長自ら案内し説明
精神科医療の重要性にも触れ、認知症を一例に「医療のなかで果たすべき役割、必要性は年々増しています」と指摘。「少しでも良い医療を届けることで、より良い社会をつくりたいというのが徳洲会の思いですから、その意味では、私たちの守備範囲を広げて良いと思っています。精神科病院の運営は厳しい部分もあると思いますが、これまで自立し運営していける形を横浜日野病院で経験しているので、今後、この分野の病院を徳洲会が引き受け、精神科医療をさらに担うべきだと思っています。新病院を見て、しみじみ思いました。いろいろな疾患があるなかで、地域の皆様に貢献できてこその徳洲会です」と語気を強めた。
旧病院の隣にあった駐車場に新築。傾斜地をうまく活用している
東上理事長は、旧病院を撤去し駐車場を整備する工事は続くとしながらも、あらためて新病院の完成を祝福。「今後も職員の皆さんは大変だと思いますが、ぜひ頑張ってください。徳洲会としても第二、第三の横浜日野病院をつくり、日本の医療に貢献していきたい」と結んだ。
新病院の完成を祝うとともに精神科医療の重要性を説く東上理事長
来賓による祝辞では、はじめに横浜市港南区医師会の池袋信義会長がスピーチ。開口一番、感心した様子で「こんなに立派な病院ができるとは思っていませんでした」と切り出し、「これを機に、今後は当医師会と一層密接に連携してほしい」と新病院に期待を寄せた。
馬場院長は「立派な病院を預かったからには立派な医療を」と決意表明
次に神奈川県精神科病院協会の山口哲顕副会長が挨拶。まずコロナ禍での精神科病院の運営に触れ、「非常に難しくなっています」と説明。とくに患者さんの感染対策を挙げ、閉鎖病棟は窓を開けられず換気が難しい点や、一般的な病院に比べ検査や治療を行うための機器や資材が少ない点、感染対策の知識はあっても実践経験のある職員が少ない点などを示した。
新病院と医師会との密な連携を呼びかける池袋会長
どの会員病院も工夫を凝らし感染対応に努めてきたが、多くの病院がクラスター(感染者集団)を経験したことを明かし、コロナ禍のこの3年間は「感染対策に注力するばかりで、なかなか他のことに手が回りませんでした」と振り返った。
祝辞で新病院にさらなる期待を込める山口副会長
山口副会長は、そういう状況下で「横浜日野病院が感染対策のみならず、病院の建て替えという一大事業を並行できているのは非常に素晴らしいこと」と称賛。あわせて日頃、同院が同協会の受託事業である精神科救急医療体制に協力していることや、馬場院長が同協会理事として協会の企画・運営に参画していることに謝意を示した。
病室によっては近隣の建物から見えないようにベッドを配置
山口副会長は「今後、精神科医療のすそ野は広がると思っていますが、精神科病院については国の施策もあり、難しいところがあります。厳しい状況ですが、私たちは協力して前に進んでいきたい」と決意を示唆。同院に「県内で一番新しい病院として、引き続き当協会へのご協力、ご支援をお願いします」と期待を込めた。
新病院は全体的に木目調で暖かみのあるデザイン
最後に馬場院長が挨拶。「私が当院に着任したのが2002年。あれから20年、長かったです。ずっとおんぼろ病院でしたが、患者さん、職員は耐えてくださいました。ついにこの日が来て本当に胸がいっぱいです」と感慨深げ。その後、「東上理事長、本当にありがとうございます。池袋会長、これからも連携して一緒にやっていきましょう。山口副会長、どうぞ今後もよろしくお願いします。そして設計・施工会社の方々、いろいろな苦労、つらいことがありましたね。でも今日のことで忘れました」と声をかけ、「立派な病院を預かったからには立派な医療を提供していきます」と誓った。
この後、式の列席者と地域の医療・福祉関係者に限定した内覧会を実施。参加者は職員の案内・説明を受けながら、6階の精神療養病棟(個室、隔離室、食堂、多床室など)、5階の精神療養病棟、4階の精神一般病棟、3階の外来、検査、精神科集中治療室(PICU)など、2階の認知症治療病棟、生活機能回復訓練室、1階の厨房などを見学した。
参加者は一様に、明るく暖かみのある空間デザイン、プライバシーへの配慮のために随所に施した工夫、新たに設けた治療スペースなど、充実した療養環境に感心しきりだった。