徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2023年(令和5年)01月30日 月曜日 徳洲新聞 NO.1374 4面

仙台病院
精緻な低侵襲手術を実現
手術支援ロボット「ダヴィンチ」導入

仙台徳洲会病院は昨年末に内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチXi」を導入した。まずは外科(消化器外科)でロボット手術を実施する計画。ダヴィンチの鉗子は人間の手首よりも可動域が広く、手ぶれの少ない精緻な低侵襲手術が可能で、術後の早い回復などが期待できる。同時期に四街道徳洲会病院(千葉県)も「ダヴィンチXi」を導入、これで徳洲会グループでは23病院(計24台)がダヴィンチ、2病院が国産初の内視鏡手術支援ロボット「hinotori」を導入。
(1面に関連記事)

「がん患者さんをトータルに治療する環境を整備」と神賀部長

ダヴィンチは内視鏡(腹腔鏡など)や鉗子を装着する4本のアームをもつ「ペイシェントカート」というロボット部分と、それを操作する「サージョンコンソール」、手術中の画像を映し出し、手術スタッフとも共有できる「ビジョンカート」から構成。術者は視野を拡大できる三次元の立体映像を見ながら、遠隔操作で手術を行う。保険適用は年々拡大しており、2012年に前立腺がんに対する前立腺全摘術が適用となったのを皮切りに、16年に腎臓がん、18年に縦隔がん、肺がん、食道がん、胃がん、直腸がん、膀胱がん、子宮体がん、子宮筋腫、心臓弁膜症が加わった。20年には膵臓がんの手術や腎盂形成術などが対象となり、22年には咽頭がん、喉頭がん、総胆管拡張症、肝切除、結腸がん、副腎摘出、褐色細胞腫、尿管がんに適用が拡大した。

仙台病院では12月末に、最新型の「ダヴィンチXi」を導入。佐野憲院長は「まずは外科から導入し、ゆくゆくは泌尿器科でもロボット手術ができる体制を整えていきたい」と明かす。

同院でロボット手術を担当する神賀貴大・外科部長は「ダヴィンチを外科から導入する病院は、全国でも少ないと思いますので、当院を成功事例にしていきたいです」と意欲的。消化器外科領域では、ロボット手術の術者に関する要件が緩和されたため、「今後はダヴィンチ利用も増えてくると考えます。当院にダヴィンチがあることは、地域のなかで大きな特色になりますので、リクルートや紹介患者数アップにつながれば良いと思います」と期待を寄せる。

ダヴィンチの実機を使いシミュレーション

同院では現在、ロボット手術1例目の実施に向け準備を進めている。1月6日と12日にはメーカー担当者を招き勉強会を実施。医師や看護師、臨床工学技士などが参加し、ダヴィンチのセッティング、患者さんの入室から退室までのシミュレーションなどを行った。神賀部長も実機やシミュレーターを使い、訓練に励んでいる。

神賀部長は腹腔鏡下手術の経験が豊富であるがゆえ、現段階ではダヴィンチの操作にとまどうこともあると言う。「腹腔鏡下では遠くから患部を見て手術を行う感覚ですが、ダヴィンチではかなり近くに見えるので、手術の視野には慣れが必要です。ただ3D画像やデジタルズームは便利だと思います」と説明。

鉗子の操作性に関し、人の手では困難な屈曲や回転を実現できるだけでなく、コンピュータ制御下で、ぶれの少ない安定した動きが可能なことから、「肛門近くに、がんが発生すると、人工肛門造設を余儀なくされますが、ダヴィンチを用いれば、肛門側からの操作なしで肛門温存手術ができるので、手術に携わる人数を減らし時間も短縮できると思います」と強調する。

メリットはそれだけではない。腹腔鏡下手術は術者と助手に、カメラ持ちを加えた3人の医師で手術を行うが、ロボット手術であれば、カメラはロボットアームが保持するため、医師2人のみで実施可能となり、「医師の働き方改革」にも寄与する。また、ダヴィンチは技術習得までのラーニングカーブが短いとされ、今後は若手医師の育成にも活用したい考えだ。

神賀部長は「私はこれまで腹腔鏡下手術では結腸がんでの経験が一番多く、昨年4月にロボット手術でも保険適用されたので、この経験を生かしていきたい。まずは1例目の患者さんを慎重に検討しています」と展望。また、神賀部長は同院の外来化学療法センター長も兼務しており、「がん患者さんをトータルに治療する環境を整備しています。患者さんが治療前の生活を継続し、その質を落とさないようにするために支援していきたいです」と意欲的だ。

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