徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2023年(令和5年)01月16日 月曜日 徳洲新聞 NO.1372 1面

日野病院
「横浜日野病院」に名称変更し2月1日新築オープン
認知症治療病棟と精神科急性期治療病棟を新設

日野病院(神奈川県)は2月1日、現在地に新築オープンする。病院名も「横浜日野病院」に変更。同院は2002年に徳洲会グループ入りし、同時に新築移転先を探したが、難航。このため現病院に隣接する駐車場に新築した。建て替えに合わせ個室を44室設置。認知症治療病棟と精神科急性期治療病棟(11月から稼働)も新設した。患者さんの症状に合わせ、地域に密着した精神科医療を実践していく。

徳洲会グループ唯一の精神科単科病院

3色に外観を塗り分けた新病院 天井から明るい光が差し込む作業療法室

新病院は地上6階建て、敷地面積約5,539㎡、延べ床面積約8,384㎡。現病院は本館と別館のふたつに分かれていたが、ひとつの建物で一体的な治療ができる体制を整えた。

「地域のこころの病に寄り添い、患者様一人ひとりの『社会復帰』を目指し地域と共存する『地域密着型』の病院」をコンセプトに設計。外観は3色に塗り分け周囲の緑多い環境に溶け込んでいる。住宅街にあるため、住宅側の壁面は開口部の向きや大きさなどを工夫し、互いの視線や生活音を気にせず過ごせるようにした。

同院は横浜市に多く見られる傾斜地に建っており、形状を生かしてフロアをゾーニング(区分け)している。公道に接し車の行き来が多い1階は、厨房や事務室など管理部門を集約。医療機器や資材などの搬出入もスムーズだ。

スロープを上がった3階に外来や精神科デイケアを設置。待望の売店もオープンする。3階はエントランスフロアにもなっており、2・4・5・6階の各病棟には、ここからエレベーターで移動する。病棟はフロアごとに差し色を変え、何階にいるかがすぐわかる。

病棟機能も拡充し、主に認知症と診断された高齢患者さんを受け入れる認知症治療病棟を2階に開設。新たに設置した生活機能訓練室などを用いて、精神科医師と作業療法士(専従)の指導の下、1日4時間以上、週5日以上の生活機能訓練を行うなど、認知症治療に注力。医療機器はCT(コンピュータ断層撮影装置)を導入予定で、認知症の診断などを院内で完結したい考え。

また、現病院の解体が終わった後の11月には、3階に精神科急性期治療病棟40床もオープン予定。多様な精神疾患を有する地域の急性期の患者さんの受け入れに対応し、入院患者さんの4割以上を3カ月以内に自宅などに退院させることを目指す。従来から行っている精神科訪問看護にもより力を入れ、地域に暮らす精神疾患をもつ患者さんも支えていく。

プライバシーへの配慮や 症状に応じた環境を整備

メインエントランスはブラックを基調とした落ち着いたデザイン

新病院は「自分が入院したくなる病院」を掲げ、とくに精神科病棟は長期入院する患者さんもいることから、療養だけでなく生活の場としての機能も重視した造り。たとえば現病院の大部屋は6~8人部屋だったのを、プライバシーなどを配慮し、すべて4人部屋にした。

加えて、テラスコーナーやデイルーム、洗濯室など病室以外でも過ごせる空間を複数確保し、メリハリのある生活ができる。浴室は個浴を増やし、落ち着いて入浴ができる環境を整えた。さらに開口部を設けて光を多く取り入れ、一日の時間の流れを意識できる空間を実現した。

個室も44室と、これまでの多床室のみから新設した。精神疾患を有する患者数は年々増加傾向にあり、今後さらに精神科ニーズは高まると見られている。精神疾患の症状は複合的であり、患者さん一人ひとりに合わせた最善の医療を実践するうえで、加療環境の選択肢を増やした。

4階に設置した作業療法室は、吹き抜けのある大きな空間で、室内にいながら開放感にあふれる。壁面向きの作業机の配置や、室内に段差を設けるといった趣向を凝らし、他者と目線を交わすことが苦手な患者さんでも作業に集中しやすくなっている。一人ひとりの目標に合致したリハビリテーションを行い、社会復帰をサポートする。

ナースステーションは病棟を見渡せるように配置し、エレベーターホールの動きも見えるレイアウトを実現。死角になっている箇所には見守りカメラを設置しており、安心・安全な療養環境を構築している。

現病院は取り壊し、駐車場を新たに整備する予定。内科などの新設も地域から求められており、今後、新たに診療科を設ける場合、このスペースを活用することが可能だ。

自分自身が入院したいと思える病院へ

馬場淳臣院長

当院はグループ唯一の精神科単科病院です。精神科はマイナスなイメージをもたれることが多いですが、精神科にかかる患者さんは増えており、自分自身やご家族、知り合いなどが当事者になるケースも少なくありません。

新築により、精神科が必要な状態になった時に、自分自身が入院したくなる病院になることを目指します。レスパイト入院(短期入院)なども受け入れ、患者さんだけでなく、ご家族の休息の場にもなるようにしていきます。

新築によって、個室が増えるなどハード面が大きく変わりました。認知症治療病棟も開設し、11月には精神科急性期治療病棟も稼働させ、医療内容の充実に力を入れていきます。そのため近隣の徳洲会病院との連携もさらに強化し、地域医療の充実に取り組みます。院名も「横浜日野病院」に改めるこれからが、真価が問われると考えています。

専門性を生かした看護に力

荻野智美・看護部長

精神科看護は、外傷や痛みのように表に出てこない、患者さんの内面をみる寄り添う看護が求められます。治療以前に、食事や睡眠、衣服を着替えるといった生活習慣のちょっとした変化を察し、対応することがとても重要となります。

新病院ではナースステーションが病棟の真ん中に設置され、より患者さんのことを見守りやすくなり、スムーズな看護が可能になります。作業療法室やデイケアなどのスペースもこれまでより広く明るくなりましたので、さらに質の高いリハビリを行い、患者さんの社会復帰などにつなげていきます。

認知症治療病棟も新設します。認知症の早期発見・早期治療に資する環境が整いましたので、精神科看護の特性を生かした看護を実践してまいります。また、湘南鎌倉医療大学の看護学生の実習を受け入れ、専門性の高い看護師の育成にも力を入れていきます。

今そして今後に合った精神科を

高梨久・事務部長

当院はこれまでの入院患者さんの症状が混在した多床室を改め、入院棟を多様な疾患に応じて静粛に入院加療できるよう区割りしました。初期入院も状態に応じ個室で安定して加療できるようにしました。

また精神疾患だけでなく超高齢社会となっている今、私たちにもとても身近になっている物忘れなど認知の問題や介護問題などをご本人やご家族と一緒に解決できるよう、また地域の方々も気軽に相談できるように相談窓口や専門の外来・病棟を設けています。

地域精神保健活動の一環として地域・職域・学校などと連携し、若者支援や早期介入をもとに自殺予防、虐待防止、引きこもりや薬物・ギャンブル依存からの脱却など、疾患の理解説明から各種相談・支援まで、今後の展開も考え、地域の方々により頼られる病院となるよう尽力していきます。

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