徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2022年(令和4年)11月21日 月曜日 徳洲新聞 NO.1365 1面

TMAT
WHOの「EMT認証」目指す
グローバルミーティングに4度目参加

国内外で災害医療支援活動を行うNPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)はWHO(世界保健機関)のEMT(Emergency Medical Team)の認証プロセスに入った。同認証はWHOが国際的な災害医療支援活動を行うチームを統括し、質を担保するために設けた制度。同プロセスの一環として、TMATは10月5日から3日間、アルメニア共和国で開催されたEMTグローバルミーティングに参加。また、同22日には湘南鎌倉医療大学(神奈川県)の体育館で、所有している資機材を用い展開訓練を初めて実施した。今年度中には準備を整え、模擬審査の受審を目指す。

「展開訓練」を初めて実施

アルメニアのグローバルミーティングに参加した(左から)野口・課長補佐、合田医師、石田係長

EMT認証が設けられた背景には、2010年のハイチ地震の際、多くの国の医療支援チームが被災地に入り活動を行ったものの、統制が取れないばかりか、非人道的な支援を行ったチームもあったことなどがある。そこでWHOはチームの統制を図り、質を担保することを目的に、医療支援チームの認証制度を構築した。

EMTはチームの機能に応じ3タイプのカテゴリがある。その機能とはType 1 Mobileが移動型診療(診療数50人/日)、Type 1 Fixedが固定型診療(診療数100人/日)、Type 2が外来・手術、簡易入院、Type 3が外来・手術・入院。現在、世界では計37チームが認証を受けており、TMATを含む約100チームが認証を受けるためのプロセスに入っている。認証は5年ごとに更新。

世界のロールモデルへ

診察の拠点となる大型テントを設営する訓練 学生が模擬患者となりテント内での診察の流れを確認 展開訓練に参加したTMAT隊員ら

TMATは19年にEMT認証を申請したが、新型コロナの影響や世界各国で認証を目指すチームの増加から、3年越しの21年10月にメンター(指導者)が決定、本格的に準備を始めた。TMATはこれまで“モバイル(移動)診療”を中心に活動してきた経験から、Type 1 Mobileでの認証を目標とし、メンターからは「TMATの“フットワークの軽さ”という大きな特徴を生かすべき。世界では装備の大型化、高機能化が進んでいるが、必要最小限の装備で基準を満たすことを考え、コンパクトに活動できるチームとして、世界のロールモデルになってほしい」とエールが送られた。

EMTグローバルミーティングは、WHOが中心となって開催する災害医療のあり方をテーマにした国際会議。すでにEMT認証を受けている37チームはもちろん、世界各地から災害医療支援活動を行うチームが多数参加する。TMATは15年にパナマ共和国で初参加した後、16年に中国、19年にタイ、今回のアルメニアで4度目の参加。

約110カ国から700人以上が集い、TMATからは札幌東徳洲会病院の合田祥悟・救急・集中治療センター医師、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の石田亜紗子・人材開発室係長、一般社団法人徳洲会の野口幸洋・医療安全・質管理部課長補佐が現地入りした。

同会議では初日、地域ごとの連携強化を目的に、各地域に分かれディスカッションを実施。TMATは西太平洋地域に区分された。同地域でEMT認証プロセスに入っているのは8チーム(日本からはTMAT含め3チーム)。2日目以降は、臨床やロジスティクス、感染症などテーマごとにブースが設けられ、それぞれ最先端の資機材情報や課題などが共有された。

10月22日の展開訓練は、TMATが所有する資機材を用い、自己完結型の診療所設営の展開、資機材の運用方法の確認、課題の洗い出しを目的に実施。実際に大型のテントを建て、湘南鎌倉医療大学の学生が模擬患者となり、診察を行ううえでの物品の配置や人の流れなどを確認した。福島安義TMAT理事長も会場に駆け付け、訓練の様子を見守った。

野口・課長補佐は「TMATは民間団体であるため軍用機での資機材の移送はできず、民間機に積載できる資機材に限られます。展開訓練で使用した資機材はハイエース(バン)1台に収まります。EMT認証はグローバルスタンダードとして、チームの質を担保するために必要であり、準備の過程でチームの士気も高まっていると感じます」と強調。

合田医師は「グローバルミーティングでは世界の最新情報に触れ、刺激を受けました。展開訓練は改善の余地がまだありますので、今後も複数回の訓練をとおし、隊員への共有やブラッシュアップを図っていきます」と意気込みを見せる。

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