徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2022年(令和4年)11月07日 月曜日 徳洲新聞 NO.1363 4面
賞状を手に受賞を報告する二宮主任
湘南鎌倉人工関節センター(神奈川県)の二宮一成リハビリテーション科主任(理学療法士=PT)は、日本理学療法学会連合の「第13回学術誌掲載論文」で優秀賞を受賞した。執筆した論文テーマは「Incidence of postoperative complications and non- periprosthetic fractures after total hip arthroplasty: A more than 10-year follow-up retrospective cohort study.」(人工股関節全置換術後の術後合併症と人工関節インプラント周囲以外の骨折発生率~術後10年以上経過した患者を対象としたレトロスペクティブ・コホート研究~)。
人工股関節置換術(THA)後の術後合併症や人工関節インプラント周囲以外の骨折(NPPF)は、患者さんの日常生活活動能力を著しく低下させる。二宮主任は、これらの問題を予防するため、THA術後10年以上経過した患者さんのインプラントとNPPFに関連した術後合併症の発生率を調べた。
対象は、THAを受けた変形性股関節症の患者さん892人(手術時年齢45~79歳、女性805人、平均追跡期間12.4年)。インプラントに関する術後合併症とNPPFの評価はカルテのデータを用いて行った。その結果、術後合併症は37例、NPPFは72例に発生。NPPFの最も一般的な原因は軽度の外傷(転倒)だったことや、65歳以上の患者さんでは、術後1年間に発生したNPPFが有意に多いことがわかった。
結果をふまえ、THA術後10年以上経過した患者さんのNPPFの発生率は、インプラントに関連する術後合併症の発生率よりも高いと結論付けた。
二宮主任は「取り組みが評価されてうれしい」と笑顔。「戦略的な理学療法の介入につなげたいです」と抱負を語る。