徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2022年(令和4年)11月07日 月曜日 徳洲新聞 NO.1363 4面

仙台病院
屋上へリポート本格運用スタート
3日にわたり安全研修を実施

4月に新築移転オープンした仙台徳洲会病院は、より広域から急患の受け入れができるよう屋上ヘリポートの本格運用に向け、宮城県ドクターヘリ、宮城県防災航空隊、仙台市消防航空隊の4者合同で3日にわたり安全研修を行った。8月5日に座学による講習会を開いた後、9月7日に消防防災ヘリ、同21日にドクターヘリの患者受け入れ訓練をそれぞれ実施。同29日にはドクターヘリの搬送による1例目の患者さんを受け入れた。

「旧病院の頃から屋上ヘリポートの重要性は誰もが感じていました」と佐野院長

安全研修はまず座学による講習会を開催。消防防災ヘリを運営する宮城県防災航空隊と仙台市消防航空隊、ドクターヘリを運営する仙台医療センター(基地病院は同センターに加え東北大学病院、運航会社は東北エアサービス)の担当者をそれぞれ招聘、仙台病院からは佐野憲院長をはじめ60人超が参加した。

消防防災ヘリでは機体の側方から患者さんを搬出

まず、仙台市消防航空隊の担当者が登壇。消防防災ヘリの性能や飛行可能な気象条件など説明した後、同院との連携活動に関し①ヘリポートの安全確認、②ストレッチャーなどの準備、③服装の確認――など注意事項を挙げた。

さらに、離着陸時には危険回避のため「必ず風除室内で待機してください」と指導。病院からヘリを要請する場合の注意点にも言及したうえで、機内の救急仕様や積載品、通話装置、ヘリ搭乗時のポイント(サンダルやハイヒールは厳禁、荷物や書類はかばんの中に収納、騒音のため資機材の警告音は聞こえないなど)を示した。

消防防災ヘリから患者さんを屋上の風除室まで搬送

続いて、仙台医療センターの担当者は、ドクターヘリ導入の目的として①傷病者に対して病院外で医師・看護師(フライトドクター・フライトナース)が早期に接触し診療を開始することで、防ぎ得た死亡を減らし、救命率を高める、②重症患者さんでは、ヘリ搬送により早期の高次医療機関収容を行い、迅速な救命救急・集中治療の開始によって救命率を高める、③まれに存在する傷病者の隠れた重大な病態を、病院外で、より精度高く拾い上げ救命率を高める――を列挙した。

ドクターヘリでは機体の後方から患者さんを搬出

ドクターヘリ出動要請基準、フライトドクター・フライトナースが行える診療内容などにも触れた。さらに消防防災ヘリとの違いに関し、ドクターヘリはローター停止後に後方から搬出、消防防災ヘリはローター回転中に側方から搬出。患者さんの引き継ぎについて、ドクターヘリは原則、救急室で行い、消防防災ヘリは原則、屋上で行うなど解説した。

消防防災ヘリの患者受け入れ訓練は、近隣の泉ヶ岳で山岳遭難事故が発生したとの想定で、通報から出動、救助、引き継ぎまでの流れを確認した。さらに実際に消防防災ヘリに同院の医師や看護師が同乗し、患者搬送訓練も実施、ヘリ内部の広さや、救急車との資機材の違いなども把握した。

座学による講習会では院内から60人超が参加

ドクターヘリの患者受け入れ訓練は、消防からホットラインが入電した後、基地病院である仙台医療センターを離陸、現場活動をしたうえで仙台病院に搬送する流れを確認した。フライトドクターから仙台病院を搬送先とするための連絡が入り、同院で受け入れ準備を開始、ヘリが着陸してから1階の救急外来に患者さんを搬送するルートを実際に通り、その際のスタッフの動きなども確かめた。

3日にわたる訓練の後、院内でヘリ受け入れのためのマニュアルを作成し、本格運用を開始。9月29日には、ドクターヘリの搬送による1例目の患者さんを受け入れた。

佐野院長は「新病院へ移転後、救急車の受け入れ件数は月に700件に迫る勢いで増加傾向にあります。救急患者さんのなかには、適切な救急処置をすぐに開始しなければ命にかかわる人が少なくありません。消防防災ヘリやドクターヘリは、そのような患者さんに対して素早く適切な救急処置を提供するための必要な手段であり、旧病院の頃からヘリポートの重要性は誰もが感じていました。そのため病院の新築移転が具体化した段階から早々に、設置計画を推し進め、救急外来と最短につなぐエレベーターを備えたヘリポートを屋上に敷設しました」と振り返る。

さらに「仙台は東日本大震災を経験していますし、今でも地震が多い地域です。屋上へリポートの運用により、“災害時における初期救急医療体制の充実強化”において、迅速かつ効率的な災害医療活動などの救急医療を提供することができます。さらに、へき地救急医療体制の強化、また、転院搬送など地域の病院が互いの機能を補う“病病連携”にも有効です。“生命だけは平等だ”の理念の下、診療の充実に努めていきます」と意欲的だ。

PAGE TOP

PAGE TOP