徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2022年(令和4年)09月12日 月曜日 徳洲新聞 NO.1355 4面
地域包括支援センターとは市町村が設置主体となり、高齢者の暮らしを地域で支えるために設置された総合相談窓口。介護に加え福祉、健康、医療などの分野で総合的に高齢者や家族をサポートします。社会福祉法人大阪愛心会が八尾市からの委託で開設した八尾市地域包括支援センター久宝寺愛の郷(大阪府)の鶴健二センター長(社会福祉士)が、同センターの役割や活動について解説します。
鶴健二センター長(中央)八尾市地域包括支援センター久宝寺愛の郷 地域の高齢者でにぎわう介護予防教室
高齢者の総合相談窓口として、当センターでは月に300~500件の電話相談を受けています。多くは介護サービスに関する相談ですが、ほかにも「高齢者が野良猫に餌をあげて困る」、「近所の高齢者宅でポストの郵便物がたまっている」など、さまざまな相談がもち込まれます。
介護相談の場合、要介護の高齢者は自治体が直接対応するため、担当部署につなぎます。一方、要支援の高齢者は当センターが窓口になります。ケアマネジャーとともに実態把握のため自宅訪問し、自治体に介護申請の代行手続きを行ったうえで、ケアプランを作成。その後、3~6カ月おきにケアマネジャーをとおして高齢者の様子を確認します。人によっては、明らかに介護支援が必要な状況でも「必要ない」と言われるケースがありますが、このような時は無理強いせず、信頼関係を築くことから始めます。
また月に1~2回、介護予防教室を開いています。内容は「フレイルについて」、「悪質商法への対応」など講義形式の時もあれば、エクササイズを楽しむ形式もあります。参加者の役に立ち、一緒に楽しい時間が過ごせるように工夫しています。コロナ禍で地域のお祭りやバザー、食事会などイベントが中止になり、外出の機会が減った高齢者にとって、当教室がコミュニケーションの場になっています。
当センターの認知度を高めるために、地域の民生委員や自治会と密に連絡を取るように心がけています。また、地域のイベントには積極的に参加していますが、その際、「主役は地域の方々」ということを忘れず、サポートに徹するように気を付けています。新たな取り組みとして、自治体と協力し「災害時要配慮者リスト」の作成を始めました。同リストは災害時に避難所での受け入れが困難な要介護3以上、あるいは障害者認定を受けた高齢者が対象で、災害時に支援が必要かどうか本人確認を進めています。また、地域の防災訓練に参加し、要配慮者への対応なども提案しています。
地域包括支援センターの活動は社会福祉法人の社会貢献として重要なものです。単に高齢者を介護サービスにつなげるためだけの窓口ではなく、地域づくりに参加することが大切だと考えています。