徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2022年(令和4年)09月12日 月曜日 徳洲新聞 NO.1355 4面
出雲貴文 千葉西総合病院薬剤部長
医薬品のなかには同一の疾患・症状に対して類似した薬効のものが多数存在します。そのなかから、科学的根拠に基づき経済的にも費用対効果の最も優れた薬剤を、患者さんの背景に合わせ公正中立に選択するという考え方がアカデミックディテーリングです。
民間の医療保険が主流である米国では、処方薬に対するチェックの目が厳しく、40年ほど前からアカデミックディテーリングが浸透しています。日本では東京理科大学の小茂田昌代・薬学部教授(現・千葉西総合病院薬剤部顧問)がパイオニアとして2014年頃から普及に向けた活動を推進しています。昨年には日本アカデミック・ディテーリング研究会(小茂田・代表理事)も発足しました。概念図に示したように、薬学的にさまざまな観点を考慮に入れる必要があり、お薬のプロとして薬剤師の力量が問われます。日々スキルアップと情報のアップデートが欠かせません。当院ではまず、がん化学療法の副作用への対応として、便秘薬の選択に関しては医師から任されており、アカデミックディテーリングにのっとり薬剤師が処方提案しています。タスクシフト(業務移管)の側面があり、「医師の働き方改革」にも貢献しています。