徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2022年(令和4年)08月08日 月曜日 徳洲新聞 NO.1350 4面

介護&解語 ~施設からお答えします~⑤
人生の最期に「看取り介護」

特別養護老人ホーム(特養)とは、要介護度の高い高齢者が入居できる公的な「介護保険施設」のひとつです。特養では生活全般の介護を提供し、原則、終身にわたり入居できます。そのため看取り対応が可能な施設も多く、終末期が近い入居者さんに対しては、「看取り介護」が施されます。その特徴について、特養コスモス苑(北海道)の新井元規・介護課長が解説します。

新井元規・介護課長 特別養護老人ホーム コスモス苑

看取り介護は「近い将来、死が避けられないとされた人に対し、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減するとともに、人生の最期まで尊厳ある生活を支援すること」と定義されます。これは日常的な介護の延長にあるものであり、最期まで「その人らしく」生活していただくための支援となります。

コロナ以前実施した外出イベントの様子

看取り介護は、おおむね半年以内の逝去が予測された時点から始まります。そのひとつの指標となるのは、老衰状態が進み、経口摂取が難しくなった状態が挙げられます。老衰とは食欲低下や嚥下機能の低下によって経口摂取量が減り、さらに体重が減少し、動く能力や認知機能が低下した状態を言います。終末期が近いと予測された場合、今後のケア(予測される症状やその対応)について多職種で話し合います。さらに、ご家族に看取りが近いことを説明し、希望を聞いたうえで、共通認識をもちます。

こまめに変化をみながら一人ひとりに合わせて対応

看取り介護中、入居者さんは徐々に食事や水分を摂る量が減り、眠っている時間が長くなってきます。こうした変化がゆっくり現れる方もいれば、なかには変化がなく急逝する方もいますので、こまめに変化をみながら対応することが大切です。時には食事回数を減らしたり、入浴をシャワーだけにしたりと、ご本人の負担を軽減するために丁寧に対応します。また、看取り介護では、基本的に延命処置はしません。治療を目的とした医療機関とは違い、特養は生活の場ですので、自然の流れに任せて、穏やかな時間を過ごしていただきます。ただし、ご家族に心境の変化があり延命処置を望む場合は、協力病院を受診するなど柔軟に対応します。末期がんの入居者さんの場合は、通常の看取りとは違い、訪問診療による除痛も行います。これは最期まで平穏な生活を送るために必要な医療処置です。

当苑では、身寄りがいない方やご家族が遠方に住んでいる方などを対象に、苑内葬儀にも対応します。また、逝去後にはご家族とかかわった職員へのアンケート調査、多職種でのディスカッションなどを行い、より質の高い看取り介護を目指しています。

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