徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2022年(令和4年)07月18日 月曜日 徳洲新聞 NO.1347 4面

湘南鎌倉病院
PCI用支援ロボット導入
徳洲会で初・全国で10施設目

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)はPCI(経皮的冠動脈形成術)用支援ロボット「CorPath GRXシステム」を導入、1例目の治療に奏功した。同システムは人の手に代わり1㎜単位での正確なデバイス操作が可能。熟練度の高い術者の動作を自動化する機能も搭載しており、手技を標準化することでワークフローを最適化できる。また、術者は目の前のディスプレイを見ながら、座位のまま遠隔操作が可能なため、術者の放射線被ばくを抑え、身体的な負担を軽減する。同システムの導入は徳洲会グループで初、全国で10施設目。

練度高い術者の動作を自動化

右から田中部長、齋藤・主任部長、肥田助教 ベッドサイドユニット(左)と制御コンソール(右) 目の前の画面を見ながら制御コンソールを操作 「CorPath GRXシステム」を用いた治療の様子

PCIとは、手首や脚の付け根などの血管からカテーテルを差し込み、冠動脈の狭くなった部分を治療する方法。先端にバルーン(血管内で風船状にふくらむ器具)を取り付けたカテーテルを用い、内側から血管を押し広げたり、ステント(網目状の金属が付いた人工血管)を留置したりする治療法だ。低侵襲かつ局所麻酔で治療することが可能なため、胸を大きく開くバイパス手術に比べ、患者さんの身体的な負担は少ない。

同治療には正確なカテーテル操作・保持が必要となるが、これをサポートするのがPCI用支援ロボット「CorPath GRXシステム」だ。同システムはベッドサイドユニットと制御コンソールからなる。ベッドサイドユニットは穿刺部位に適した配置調整が可能で、カセットの中にセットしたガイドワイヤーやバルーンなどデバイスを、人の手に代わり操作する。

制御コンソールでは、術者が目の前のディスプレイに映し出された透視画像を見ながら、座位のままベッドサイドユニットの遠隔操作が可能。デバイス用、ガイドワイヤー用、ガイディングカテーテル用それぞれのジョイスティックがあり、これを手前や奥に倒すことで前進・後退、回転する。1㎜単位での正確なデバイス操作が可能だ。

同システムは熟練度の高い術者の経験をデータ化、動作を自動化し、高度なスキルを実現する「technIQ」という機能を搭載。一連のデバイス動作を自動化しており、術者は制御コンソールのタッチスクリーンパネルにある「technIQ」選択ボタンを押して、各動作を選択できる。

選択できる動作は5種類。ガイドワイヤーを引き戻す際に、時計回りにあらかじめ設定した角度で自動的に回転する「ROTATE ON RETRACT:RoR」、ガイドワイヤーを前進させる際に、自動的に小さく時計回りと反時計回りを交互に繰り返す「WIGGLE」、ガイドワイヤーを前進させる際に、自動的に大きく時計回りと反時計回りの回転を交互に繰り返す「SPIN」。

バルーンやステントカテーテルを前進させる際に、自動的に前後に小刻みに動く「DOTTER」、あらかじめ設定された速度を維持して前進または後退する「CONSTANT SPE-ED」だ。これにより手技を標準化し、ワークフローを最適化する。

また、術者の身体的な負担を大幅に軽減できるのも大きな特徴。これまでは鉛の入った重いX線防護衣を着用しながら、長時間にわたり立ったままの治療を余儀なくされ、椎間板ヘルニアなど整形外科障害を患う術者もいた。一方、同システムを用いれば遠隔操作が可能なため、X線防護衣の着用は不要、さらに座位のまま操作できることから、長時間の治療でも身体的な負担は軽い。

治療の正確性向上し 身体的な負担も軽減

同システムを用いた最初の症例は5月12日に実施。プロクター(手術指導医)として岩手医科大学附属病院の肥田賴彦・内科学講座循環器内科分野助教を招聘し、齋藤滋・循環器科主任部長と田中穣・循環器科部長がそれぞれ1例ずつ治療、奏功した。

術者は制御コンソールで遠隔操作が可能だが、助手はベッドサイドユニットでデバイスの交換やバルーンをふくらますなど作業が必要になる。欧米ではコメディカルスタッフが助手を担うこともあるが、同院では不測の事態が起きた時の対応のため医師が担当、X線防護衣も着用し治療に臨んだ。

田中部長は「通常のPCIですと、ディスプレイは術者から離れたところにありましたが、このシステムを使えばディスプレイが操作術者のすぐ目の前にあるため、より病変を認識しやすく、治療の正確性が向上します。また、遠隔操作により術者の被ばくが軽減され、重いX線防護衣を着用しなくてもよいうえに、座って操作ができるので、身体的な負担が大幅に軽減されます。結果的に安定した手技につながると思います」と説明する。

ただし、現在のシステムでは複雑な病気の治療には対応していないため、その場合はマニュアル操作に切り替えなければならない。また、冠動脈内の様子を詳細に評価する光干渉断層法(OCT)やマイクロカテーテルなどのデバイスに対応していないなど、対応デバイスが限られていることが課題だ。同システムは、将来的には遠隔医療への活用も期待されているが、実現するには入念な準備が必要。

現在、同院にはカテーテル室が4室あるが、このうち1室が工事中。工事が終わったタイミングで、対応症例を見極めながら、同システムを本格的に稼働する計画だ。

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