徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2022年(令和4年)07月18日 月曜日 徳洲新聞 NO.1347 3面

JSPEN 2022
栄養の新たな常態へ
徳洲会グループ10演題発表

第37回日本臨床栄養代謝学会学術集会(JSPEN2022)が5月31日から2日間、横浜市で開かれた。メインテーマは「『栄養』ニューノーマル and MIRAI」。徳洲会は医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士が計10演題を口演(口頭発表)した。

要望演題

NSTの推進なお必要

淺見 貞晴

武蔵野徳洲会病院(東京都) 循環器内科部長

「加算算定要件の緩和は栄養サポートチーム加算届出受理病院を増加させたか?:分割時事系列分析」。2018年度診療報酬改定でNST(栄養サポートチーム)加算の算定要件が緩和された効果を検証。関東甲信越10都県で算定病院数の増加を証明した。淺見部長は「NST加算取得が当院のNST活動を後押ししたことを実感していたので、検証しました。今後は経験とこの研究結果を生かし、グループ内の他院のNST加算取得をサポートできればうれしい」と語った。

一般演題

「言語の共通化」大事

高見 友也

岸和田徳洲会病院(大阪府) 緩和ケア科副部長

「当院におけるNST活動の課題と改善の中で見えてきた『言語の共通化』について」。各病棟看護師がピックアップするNST回診の症例が適切でないケースが見られたため、対象者の選択方法を見直した。改善を進めるなかで、高見副部長は「言語の共通化」をポイントに挙げ、とくにNSTといった多職種かつ専任、非専任がうまく連携するには重要と強調。

早期経腸栄養プロトコル

村山 敦

岸和田病院 歯科口腔外科副部長

「早期経腸栄養開始プロトコルを適用した高齢者の下顎骨骨折・下腿骨折の1例」。合併骨折で緊急手術などを行った高齢の患者さんに対し、救急搬送後24時間でプロトコル(計画)にのっとり経腸栄養を実施した症例を報告。術後5日目にプロトコルを離脱し、体重減少はなかった。

村山副部長は、多発外傷の高齢患者さんの急性期では、入院後早期に低栄養に陥る可能性を指摘し、プロトコル適用の有用性を強調した。村山副部長は「歯科・口腔ケア1」のセッションで座長を務めた。

部会で統一テンプレ作成

小山 洋史

八尾徳洲会総合病院(大阪府) 栄養科室長

「早期栄養介入加算~グループ病院統一書式を用いた栄養管理について~」。20年度診療報酬改定で新設された特定集中治療室での早期栄養介入管理加算について、徳洲会栄養部会が作成した同加算のカルテ入力統一テンプレートを紹介。入力時間の短縮、記入の間違いや漏れが減少したことをアピールした。

部会内にICU分科会

赤尾 志

宇治徳洲会病院(京都府 栄養管理科室長

「コロナ禍における徳洲会グループ栄養部会ICU分科会の活動について」。特定集中治療室(ICU)での早期栄養介入管理加算の新設(20年4月)にともない、徳洲会栄養部会内に発足したICU分科会を紹介。コロナ禍で情報を得る機会が少ないなか、WEB会議で各地の管理栄養士が情報共有を図るなど、効率的に活動できたことを報告した。

看護師に調査し課題抽出

土屋 輝幸

武蔵野病院 栄養管理室副室長

「看護職の観察による摂食嚥下機能の評価と適切な形態の食事提供についての実態調査」。自院の全病棟看護職員に摂食嚥下に関するアンケート調査を行った結果、「食事の場面で専門家に相談できる機会が少ない」といった課題が判明。特定の職員層やニーズに焦点を絞った支援により、さらに適切な嚥下調整食が提供できる可能性を示唆した。

粘度可変型栄養剤を検証

佐藤 友亮

八尾病院 栄養科係長

「粘度可変型栄養剤導入後の状態変化の調査」。経腸栄養で下痢や嘔吐など消化器症状を有する入院患者さん15人に、注入時は液体だが、胃内で半固形化される「粘度可変型栄養剤」使用。ブリストルスケール(便の状態を判断する指標)で有意差、嘔気・嘔吐症状の改善などが見られ、安全な経腸栄養剤の選択肢のひとつになる可能性を指摘した。

NST回診に歯科医師

永沼 智至

吹田徳洲会病院(大阪府) 薬剤部副主任

「歯科医師同行により再認識した口腔ケアの重要性とNST回診の経過」。21年6月からNST回診に歯科医師が同行。同年12月までの回診内容を検証した結果、従来の体制では気付かなかった患者さんの問題点などを見出した。永沼副主任はNST回診に歯科医師が同行する重要性を、あらためて指摘した。

“薬薬連携”で在宅支援

橋本 貴広

湘南鎌倉総合病院(神奈川県) 薬剤部副主任

「薬薬連携により腎不全患者の在宅中心静脈栄養管理に貢献できた一例」。腎不全用TPN(高カロリー輸液)に処方設計を行った在宅患者さんの症例を報告。病院薬剤師と保険薬局薬剤師が協働(薬薬連携)することでスムーズに変更できたことを明かし、薬薬連携が患者さんの栄養管理に有用な点を強調した。

脂肪乳剤の適正使用強化

中井 千夏

岸和田病院 薬剤師

「脂肪乳剤の適正使用へ向けた薬剤師の活動報告」。脂肪乳剤に関するアンケート調査を医師、看護師、薬剤師に行い、適切な投与速度などを院内広報誌に掲載したり、薬剤部内で処方監査を強化したりした。脂肪乳剤のより適正な使用につながり、今後は長期絶食中の患者さんに脂肪乳剤を提案するなど「栄養面からのアプローチも進めていきたいです」と抱負を語った。

PAGE TOP

PAGE TOP