徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2022年(令和4年)06月27日 月曜日 徳洲新聞 NO.1344 2面

病気のはなし92
痛みが移動したら警戒を
虫垂炎

ちまたで言われる「盲腸」は、大腸と小腸の間に垂れ下がっている虫垂の炎症「虫垂炎」の別称。とくに10~20代に多く、細菌やウイルスによる感染、もしくは糞便などが詰まって起こる。

症状はまず心窩部(みぞおち)あたりが痛み、その後、右下腹部のみが痛む。痛む箇所が移動するのが特徴で、最初の心窩部痛は一般的な胃痛や急性胃腸炎などと間違われやすいが、痛む箇所が移動し、それが右下腹部に限局していれば、虫垂炎の可能性が高くなる。

日本では近年は虫垂炎で亡くなる人はほとんどおらず、細菌感染であれば抗生物質などの投与のみで治ることもある。一方、耐え難いほど痛みがひどかったり、超音波検査やCT(コンピュータ断層撮影)検査で、虫垂に糞石がはまり込んでいたり、穿孔(穴が空く)ができ周囲に膿がたまっていたりする場合は、手術し虫垂を取り除く。

「虫垂が必要な臓器かは、じつはまだ解明されていない部分もあり意見が分かれるところです。腸管免疫の一端を担っているという動物実験結果もありますが、まだ人体での確固たる科学的根拠はなく、過去に虫垂を摘出した方で、とくに不便があったという証拠もありません」と静岡徳洲会病院の東弘太郎・外科医長。

虫垂炎は残念ながら予防できる疾患ではないことから、上記のような痛みの特徴を覚えておくことが大切で、「あやしいと思ったら早めに受診してください」と東医長。

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