徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2022年(令和4年)05月16日 月曜日 徳洲新聞 NO.1338 3面
徳洲会医療安全管理部会はオンラインでブロック長会議を開催、各ブロックや部会内に設置しているワーキンググループ(WG)の活動報告や、現場で発生したインシデント・アクシデントの根本原因を明確にするRCA(Root Cause Analysis)について発表を行った。また初の試みとして徳洲会ネバーイベントプロジェクト(NEP、決して起こしてはならない事象を防ぐためのグループ全体の取り組み)コアメンバーの医師を招き、意見交換も実施した。
組織横断的に取り組む大切さを強調する大坪部長
会議は3月8日に行った。同部会担当理事の福島安義・一般社団法人徳洲会(社徳)副理事長が挨拶した後、各ブロック長が2021年度の活動を報告。ブロック会議の模様、掲げた目標と実績(インシデント・アクシデント報告数や転倒・転落発生率など)、予防策などに関する取り組みについて説明した。WGとして部会内に設けている①転倒・転落防止検討、②医療の質・標準化、③インシデント・アクシデントシステム検討――の3チームが活動報告も行った。
RCAについて発表も実施した。RCAは、インシデント・アクシデントの根本的な原因を突き止めるための手法のひとつ。起こった事象を時系列で並べ、根本原因を探ったほうがよい箇所から、「なぜ」を繰り返し論理的に原因を掘り下げていく。会議では、各ブロック長がブロック内で発生したインシデント・アクシデントに対して実際に行ったRCAを提示。出来事の概要や分析過程を表す図とともに、原因と結果、環境を加味した改善策を説明した。
NEPの医師も参加し、忌憚なく意見交換
また、徳洲会NEPのコアメンバーである東京西徳洲会病院の佐藤一彦副院長と湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の玉井洋太郎・血液内科部長を招き、主に転倒・転落について協議した。徳洲会NEPのメンバーが同部会の会議に出席するのは初。防止策や、万一発生した場合、その後の観察、CT(コンピュータ断層撮影)を撮影するタイミングなどについて意見を交わした。
最後に、最近発生したインシデント・アクシデントや輸血など標準的な業務手順の確認、来年度の方針などを共有して終了。部会長の大坪まゆ美・社徳医療安全・質管理部部長は、あらためて家族・遺族への対応、関係職員への対応について要諦を示すとともに、重大事故が発生した時は速やかに福島・副理事長と本部機能を有する社徳に報告することを求めた。
閉会後、大坪部長は「オンラインとはいえ、一堂に会する会議の重要さを再認識しました。インシデント・アクシデントの有無にかかわらず、どの病院も非常に真摯に向き合っていると感じました」と感想を語った。
今回の狙いについて、「RCAは昨年5月に外部講師による講義を行ったので、実践できるようにプログラムを設けました。徳洲会NEPの先生方に参加いただいたのは、NEPが掲げる項目のひとつに転倒・転落があるからです。共同の課題として取り組むためにも医師の考えを聞きたいと思いました」と説明。
あらためて医療安全管理について「“人は必ず間違える。人は同じように行動できない”という前提に立ち、どのように環境を整えればミスを最小限に抑えられるかを組織横断的にマネジメントすることです。個人の責任に終始するのではありません」と強調し、職員に対し「施設単体で考えるのではなく、徳洲会のスケールメリットを生かし、ぜひ部会や社徳に相談してください。患者さんに“最善を尽くす”ためにも、皆で考えましょう」と思いを語っていた。