徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2022年(令和4年)05月16日 月曜日 徳洲新聞 NO.1338 1面

リハビリ強化し6月1日に新築移転オープン
館山病院
地域密着型ケアミックス病院を目指す

館山病院(208床)は6月1日、直線距離で北東方向へ約1・5㎞離れた幹線道路沿いに新築移転オープンする。建物の老朽化にともなう療養環境や職場環境の改善、診療機能の拡充が建て替えの理由。新病院はリハビリテーションを核に、急性期から慢性期、在宅医療への体制を強化し、地域密着型のケアミックス病院を目指す。また、現在地より高台に移転することで水害対策も盤石にし、災害時の対応にも注力する。

災害時は一時避難所の役割も

「海と山のリゾートホスピタル」をコンセプトにした5階建ての新病院25床に拡大した透析室はスタッフステーションを中央に設置 病院の外周に沿い1周250mのリハビリスカイウォーク

新病院は地上5階建て、敷地面積約1万6116㎡、延床面積約1万7631㎡で、現病院はこれまで増築を繰り返し10棟に分かれていたが、それを機能的に集約。「海と山のリゾートホスピタル」をキーワードに、豊かな自然を感じるホスピタリティーと機動力を備える造りにした。外観は館山湾からの風を受け流す曲面を生かしたデザインで、人々を優しく迎えるリゾートホテルのようなイメージ。敷地内にヤシの木の植栽を設置し南国感を演出、出入り口のひさしには館山市の伝統工芸である「唐棧織」をイメージしたデザインをあしらっている。

新病院のコンセプトは①「中規模」、「地域密着型」、「ケアミックス」病院として機動力を発揮できる病院、②リハビリを核として「急性期・回復期・慢性期医療」の診療体制の整備、外科(整形外科・脳神経外科・泌尿器科)⼿術を強化し、二次救急医療の信頼を構築、③災害時に対応できる病院、④病院と在宅医療・介護との関係強化を推進、⑤優秀な⼈材の採⽤と地域の⼈材育成に貢献できる病院。

とくに地域のニーズに応えリハビリに力を入れる。2階のリハビリ室は現病院の約2倍の広さになり、屋外でも取り組めるように「リハビリ庭園」を設けた。3階と4階の病棟にもリハビリコーナーを設け、早期回復を促す環境を整備。5階には病院の外周に沿うように、1周250mの「リハビリスカイウォーク」を設置、天気が良ければ富士山を眺めながらリハビリを行える。また、来年度を目標に回復期リハビリ病棟を開設予定。2年後には敷地内に介護老人保健施設(老健)を開設する計画だ。

災害に強い病院であることも特徴のひとつ。現病院は敷地内に汐入川が流れ、海抜5mに満たないため、水害の危険と隣り合わせだ。新病院は海抜10m超の高台に建ち、インフラ関連の設備はすべて最上階に配置した。地域の方々の一時避難所としての機能も備え、地震・津波に強い病院として災害時の対応に力を入れていく。

また、髙橋浩二・昭和大学名誉教授を迎え、口腔機能リハビリセンターを新設。口腔機能リハビリとは、口から食べる、会話するなどの機能を維持・改善することで、栄養低下、食に対する意欲低下、コミュニケーション困難など生活障害を低減、要介護状態の悪化を防止する。同センターの開設は、新病院の5つのコンセプトを補完する重要な役割を担う。

乳がん検診スタート

1階には外来・検査を集約し、患者さんの利用しやすさを意識した。救急外来には陰圧室を設け感染対策にも配慮。初療室を出ると、すぐに放射線撮影室や病棟につながるエレベーターがあり、動線も工夫した。

また、通所リハビリには専用の出入り口を設け、新たに設置した浴場では入浴訓練も実施可能。これまでは短時間型の受け入れのみだったが、1日型の受け入れもできる。

2階の手術室は、これまでの1室から4室に拡大。将来的に血管撮影室に使える部屋も確保した。透析も現病院の10床から25床に枠を広げ対応。スタッフステーションを中心に据え、まわりにベッドを配置するレイアウトにすることで、死角ができないようにした。また、大多目的室は院内研修やイベントの開催に加え、災害時には地域の方々の一時避難所としても利用できる。

3階と4階は病棟。最短距離で患者さんにアプローチ可能な見とおしの良い場所にスタッフステーションを設置。明るく開放感のあるデイコーナーは、患者さんが集まりやすい空間となっている。また、3階には「光庭」と名付けたウッドデッキがあり、ベッドごと移動が可能で、なかなか外出できない患者さんがリフレッシュできる。

医療機器では、新たにデジタルマンモグラフィー(乳房X線検査装置)を導入。乳がん検診に対応できるようになるため、地域の方々が遠方に検診に行かなくてすむ。1・5テスラのMRI(磁気共鳴画像診断装置)は機器を更新。全身を撮影する新手法であるDWIBS(背景抑制広範囲拡散強調画像)法も対応可能だ。これは主に悪性腫瘍(がん)の発見や転移の検索、化学療法や放射線治療の効果判定などに用いる。造影剤不要で放射線被曝もなく、低価格なのがメリットだ。

地域になくてはならない病院へ 竹内信一院長

館山市は高齢化が進んだ地域ですので、自立した生活を送るためにもリハビリは重要です。新病院では、これまで以上にリハビリに力を入れていきますが、いろいろな場所でリハビリができる環境を整備したので、気分を変えて取り組んでいただけると思います。また、2年後には老健の開設も控えています。これらの機能を存分に生かし、病院から在宅への流れをつくり、地域の方々が、この地域で生活を全うできるようにサポートしていきたいです。

新病院は職員の要望やアイデアもたくさん盛り込んでいます。ハード面が新しくなったぶん、職員も成長しなければなりません。地域に愛される病院から一歩進み、新病院は地域になくてはならない病院を目指します。

療養環境・職場環境が大幅改善 辰澤智恵・看護部長

新病院では療養環境、職場環境が改善されます。現病院は10棟に分かれていたので、入院患者さんが透析や検査を受けに行く際、外の渡り廊下を通らなければなりませんでしたが、新病院は動線が改善され、患者さんの負担軽減、時間短縮にもなります。

鹿児島徳洲会病院、仙台徳洲会病院に続き、当院もスマートフォンを導入します。これはナースコールや見守りカメラとの連動機能に加え、撮影した写真を電子カルテに登録する機能、チャット機能などを搭載しています。

また、ダムウェーター(小荷物専用昇降機)も設置し、作業効率が良くなります。より働きやすい環境が整備されますので、看護の質向上にも努め、地域の方々が安心して治療に専念できる病院を目標にします。

災害に強い病院でより地域に貢献 田村秀禎事務長

新病院の立地は館山市の防災マップで津波浸水想定区域からはずれています。また、目の前には館山警察署や安房消防本部があります。新病院は災害に強い病院で、警察や消防とも連携しやすくなりますので、より地域に貢献できるよう災害時の対応にも力を入れていきます。安房消防とは合同訓練の実施に関し話を進めています。

当院は安房医師会に加入しており、竹内院長が副会長を務めています。地域の医療機関との連携もさらに強固なものとし、地域で完結する医療を推進していきます。救急では、これまでの後方支援の役割だけでなく、二次救急の一助となるように新病院の機能を十分に生かしていきたいと思います。

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