徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2022年(令和4年)05月02日 月曜日 徳洲新聞 NO.1336 4面

映画『水俣曼荼羅』制作秘話
「終わらない水俣病、中枢神経説が追い風」
『ゆきゆきて、神軍』の原一男監督に聞く──㊤

四大公害病のひとつとして知られる水俣病――いまだ病気の認定をめぐって裁判が続いている。水俣病に翻弄された患者さんや家族、支援者を15年ほど追い続けた映画『水俣曼荼羅』が全国各地のミニシアターで上映されている。監督は国内外で数々の映画賞を受賞しているドキュメンタリー映画の鬼才、原一男監督。上映時間6時間12分に込めた思いを聞いた。

「水俣病研究は、まだまだこれからです」と原監督

「私もこの映画を撮ろうとする直前まで、水俣病問題は終わった出来事だと思っていました。しかし、まったくそんなことはなかった。過去のものという空気を変えていかなければならないというのが『水俣曼荼羅』に込めたメッセージです」と切り出す。クランクインは2004年の水俣病関西訴訟の最高裁判決の日。原告団が最高裁から出てきて「水俣病の判断条件を批判する判決が確定しました」と喜び合うシーンから始まる。ここから15年間、カメラを回した。

このなかでふたつの軸が見えてきたという。「最高裁判決の勝因は浴野成生さん(当時は熊本大学医学部教授)が提唱する脳の中枢神経説が受け入れられたからです。当時はまだその学説が確立されていなかったので、それを収録するのが軸のひとつです」。 水俣病の認定は「52年(1977年)判断条件」が用いられ、水銀の曝露歴や感覚障害が必須となるのに加え、運動障害など複数の症状が条件となるため、多くの方々が認定されていない。その52年判断条件の根拠になっているのが末梢神経障害という学説だ。浴野医師と同じ研究室の二宮正医師(現・笠利病院勤務)のふたりは、この説を真っ向から否定し、中枢神経(脳)が侵されているから手足に震えが出たり、視覚障害や味覚障害など五感に障害が生じたりするという病像論を打ち出した。

上映館の情報などについては、ここから!

もうひとつの軸は関西訴訟の勝訴後も断続的に起こる裁判のフォロー。「最高裁判決で全面勝利したにもかかわらず、熊本県は『行政は行政の判断があるから』と52年判断条件を含め現状を変える姿勢を見せない。怒った弁護団は県を相手取って、また裁判を起こすことになるわけです」と説明する。(1338号に続く)

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