徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2022年(令和4年)04月25日 月曜日 徳洲新聞 NO.1335 4面
城田 誠 札幌徳洲会病院外科部長、日本外科学会外科専門医、 難病指定医、臨床研修指導医
A.お答えします。
そのふくらみが、おなかにぐっと力を入れると現れ、仰向けになって力を抜くと消えるようなら鼠径ヘルニアの可能性が高いでしょう。足の付け根付近の筋肉の隙間から腸の一部が飛び出てしまう(脱腸)疾患で、お子さんから大人まで誰でもなり得ます。痛みはなく、「なぜ、こんなところにふくらみが?」と感じるだけで、生活に支障を覚えない方も多い一方、力仕事をする方などは「うまく力が入らない」と言われます。
鼠径ヘルニアは新生児の場合を除き自然治癒しない疾患で、治療には手術が必要です。年間、十数万人の成人が手術を受ける手術療法が確立された疾患で、当院ではほぼ全例、腹腔鏡下手術を施行。おなかに1㎝程度の傷を3つ付けるだけで手術の翌々日には退院可能で、術後は痛みが許す範囲でなら身体を動かすこともできますから、社会生活に大きな影響を及ぼしません。
悪化すると飛び出た腸が戻らなくなり(嵌頓)緊急手術も必要な事態になりますから、ぜひ病院にご相談ください。腹部に激痛が走れば嵌頓の可能性が高いため、夜間でも救急車を呼びましょう。