徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2022年(令和4年)04月11日 月曜日 徳洲新聞 NO.1333 1面
徳洲会グループの多くの病院が、2月26日に発刊された『手術数でわかる いい病院2022』の治療法別ランキングに収載された。同書は病院選びの際の客観的な指標として手術数・治療数に着目、全国の病院へのアンケート調査を行い、2020年の年間実績をもとに疾患・治療法別に独自のランキング(全国・地方別)を紹介。今年も心臓病のカテゴリーをはじめ、多くの分野で徳洲会病院がランクインした。千葉西総合病院は心カテーテル治療数が13年連続で全国トップを記録した。
質の高い治療を支えるカテーテルスタジオ(千葉西病院) 沖縄県で初導入のサイバーナイフ(南部病院)
同書が手術数・治療数を、いい病院選びの指標として位置づける理由は「一定数の手術を行っていることが、医師の技術力や経験値を裏付け、スタッフの習熟度につながる」からであり、「手術を多く実施していれば、それだけ難しい症例やトラブル対応も経験している」と考えられるためだ。
心臓病のカテゴリーのうち、「心カテーテル治療」では千葉西病院が13年連続全国1位を達成。治療数は3226件で、コロナ禍にもかかわらず、前年の3106件から100件以上伸ばした。緊急度の高い急性心筋梗塞に対する緊急治療件数も792件で全国トップを記録。21年も同様の実績であることから、14年連続で全国トップとなる公算が高い。
同院は昨年、最新型のスペクトラルCT(コンピュータ断層撮影)を導入し、冠動脈CT検査などに活用。従来の半分程度の造影剤でも撮影可能であるなど、優れた性能を有しており、腎機能の低下した患者さんにも同検査が可能だ。同院の飽くなき診療機能の向上を垣間見ることができる。
徳洲会グループでは14位に湘南鎌倉総合病院(神奈川県)、17位に宇治徳洲会病院(京都府)、29位に八尾徳洲会総合病院(大阪府)、32位に札幌東徳洲会病院、36位に野崎徳洲会病院(大阪府)。地方別ランキングを含めると岸和田徳洲会病院(同)、大隅鹿屋病院(鹿児島県)、福岡徳洲会病院がランクイン。
冠動脈バイパス術や弁形成術、胸部大動脈瘤・大動脈解離などに対する「心臓手術」でも、千葉西病院は544件で全国5位に食い込んだ。同院はダヴィンチによるロボット支援下MICS(低侵襲心臓手術)に積極的に取り組み、患者さんの身体的な負担軽減に努めている。
12位には岸和田病院が入り、名古屋徳洲会総合病院が30位、湘南鎌倉病院が36位。地方別では宇治病院、松原徳洲会病院(大阪府)、八尾病院、札幌東病院がランクインした。
「心筋焼灼術(カテーテルアブレーション)」では湘南鎌倉病院が732件で全国6位。地方別では千葉西病院が25位、宇治病院が16位、中部徳洲会病院(沖縄県)が10位。心筋焼灼術は不整脈の発生源となる心臓内の部位を、高周波などにより焼灼することで根治を目指す治療法だ。
「ペースメーカー治療」は全国ランキングに2病院が入った。千葉西病院が62件のペースメーカー植え込みを実施し10位。湘南鎌倉病院は50件で27位だった。地方別では札幌東病院や中部徳洲会病院、福岡病院がランクインした。
このように、とくに心臓病のカテゴリーでは多数の徳洲会病院がランクインし、従来からの強みを発揮していることがうかがえる結果となった。
同書では千葉西病院と岸和田病院がトップインタビューという特別コーナーに登場。診療機能や治療実績を紹介するとともに、コロナ禍に対応して陽性患者さんを懸命に受け入れる一方、従来の診療にも今まで以上に尽力する姿を伝えている。
がんのカテゴリーでは「胃がん内視鏡治療」で岸和田病院が全国11位にランクイン。治療数(ESD=内視鏡的粘膜下層剝離術)は212件で、これは近畿地方では2番目に多い実績だ。
同院は「大腸がん内視鏡治療」(ESD)でも168件で全国12位に入り、地方別では宇治病院が29位に入っている。
岸和田病院の消化器内科は尾野亘院長、井上太郎・副院長兼内視鏡センター長が中心となり、内視鏡検査・治療件数は年間約1万9000件(19年)に上る。加えて、グループの離島・へき地病院を中心に20病院以上に対し医師を派遣し、積極的に応援診療に取り組んでいる。
「前立腺がん治療」の全国13位にランクインしたのは東京西徳洲会病院。治療数は253件、うち228件は放射線治療が占めた。地方別では湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)が161件で26位、南部徳洲会病院(沖縄県)が119件で7位。
このほかのがん治療でも、複数の徳洲会病院が地方別ランキングに登場している。「肺がん手術」で和泉市立総合医療センター(大阪府)が13位、「食道がん手術」で岸和田病院が21位、「肝がん手術」で千葉西病院が29位、「肝がんアブレーション」で八尾病院が24位、和泉医療センターが29位、「膵がん手術」で岸和田病院が24位、「胃がん手術」で岸和田病院が28位、「子宮・卵巣がん手術」で和泉医療センターが30位にそれぞれランクインした。
がん治療のうち、がん放射線治療とがん薬物療法に関しては都道府県別に上位の施設を掲載。「がん放射線治療」で上位に入ったのは、湘南鎌倉病院が408件、宇治病院が240件、和泉医療センターが302件、南部病院が645件。南部病院は前年の477件から168件増と大幅に件数を伸ばしたのが目立つ。
同院は12年に沖縄県で初の高精度放射線治療装置「トモセラピー」を導入して以来、放射線治療科と他診療科が連携しながら治療に尽力。また同院は20年6月、沖縄県で初となる最新の定位放射線治療装置「サイバーナイフ」を導入。腫瘍の形状に合わせて集中的に放射線を照射でき、正常組織へのダメージを最小限に抑えながら高い線量で治療を行うことができる。
がん放射線治療に関しては、さらに「IMRT(強度変調放射線治療)」実施患者数が多い病院として、湘南鎌倉病院が400件で全国10位、南部病院が326件で15位に登場。IMRTは、がんの形状に合わせた放射線照射を行うことで正常組織への影響を減らし、副作用の発生を抑える技術だ。サイズの小さながんに集中して高線量を照射する「SBRT(体幹部定位放射線治療)」は、南部病院が197件で全国6位に入った。
近年、免疫チェックポイント阻害剤など進展が目覚ましい「がん薬物療法」は、札幌東病院や千葉西病院、湘南鎌倉病院、湘南藤沢病院、和泉医療センターがランクイン。
同書では、ダヴィンチによる「がんロボット手術」について、疾患別手術数の全国ランキングも掲載。対象は保険適用となっているがん種。直腸がんで千葉西病院が19位、同院は前立腺がんでも35位にランクインした。
脳の病気のカテゴリーのうち「脳血管疾患治療」で岸和田病院と宇治病院が地方別でランクイン。
骨・関節の病気のカテゴリーのうち、「首・腰の手術」で湘南藤沢病院が地方別25位。同院は難易度の高い重度の脊柱側彎症治療に力を入れており、ランキングでは触れられていないが、同治療では全国トップクラスの実績だ。「人工関節置換術 股関節」では、湘南鎌倉人工関節センター(神奈川県)が605件と5位に入った。「人工関節置換術 膝関節」では湘南鎌倉病院が地方別26位だった。
朝日新聞出版刊、990円
週刊朝日ムックとして2003年に朝日新聞出版が発刊、今年で創刊20年目を迎えた手術数を指標とする病院選びのガイドブック。今年の同書では各種がん、心臓病、脳の病気、骨・関節の病気、眼の病気などに関して、全国4,000超の医療機関に対し約2万6,000枚の調査用紙を配布し、21年9月から22年1月までの調査期間に回答のあった医療機関を、全国(トップ40)、地方別にランキング化して掲載。
「コロナの影響で病院の手術はどうなったか?」をテーマに特集記事も掲載、19年と20年のデータを比較し、その実態に迫っている。