徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2022年(令和4年)04月04日 月曜日 徳洲新聞 NO.1332 3面
徳洲会看護部は第6回業務改善発表会を開催した。看護の質の向上や業務の効率化など、日頃実践している改善活動を共有し、全体の底上げを図るのが狙いだ。各ブロックの予選を通過した18病院が演題発表を行った。昨年はコロナ禍の影響でブロック大会の開催にとどまったが、今年度はオンライン形式で2年ぶりとなる本選(全国大会)が実現した。2月1日開催。
「笑顔の絶えない職場環境づくりに努力」と稲内看護師 「患者さんのため、これからも質の高い看護を」と斎藤・看護副主任、淡地看護師 「全員で取り組み、結果を残せ、うれしい」と仲松看護師 「開棟から短期間で結果が出て本望です」と執行看護師
冒頭、成田富里徳洲会病院(千葉県)の光野清美・看護部長が開会挨拶。3部制で計18演題の発表があった。医療法人徳洲会の竹中学・常務理事、一般社団法人徳洲会(社徳)の植嶋敏郎・事務局長、千葉西総合病院の中野康広・事務部長、徳洲会看護部の日高みえ子部長が審査員を務め、すべての演題終了後、審査員の投票により恒例の表彰式を実施した。
1位に東佐野病院(大阪府)、2位に日野病院(神奈川県)、3位に岸和田徳洲会病院(大阪府)が選出。社徳の遊佐千鶴・常務理事による「千鶴賞」は静岡徳洲会病院が受賞した。受賞演題の概要を紹介する。
東佐野病院は稲内宏紀看護師が「脱『忙しいから帰れない』! 超過勤務削減への取り組み」をテーマに発表。同院一般病棟では超過勤務の削減に向け、受けもち制看護方式に変更し、ウォーキング・カンファレンスを新たに導入するなど改善活動を実施。結果、業務効率の向上により、申し送り時間が短縮、患者誤認のインシデント(ヒヤリ・ハット)が減少するなど看護の質が上がった。超過勤務総時間数も大幅に減少した。
稲内看護師は「今回、発表の機会をいただき貴重な体験ができました。まさか1位に選ばれるとは思いませんでしたが、今後も笑顔の絶えない職場環境づくりに努力していきたいです」と抱負を語った。
日野病院の斎藤勝平・看護副主任、淡地晴日看護師は「『ホール番』導入による患者同士の院内暴力事故防止」をテーマに発表。前年度のインシデント総数のうち患者さん同士の暴力が最多を占めていたことから、暴力に関するインシデントの50%減を目標に改善活動を実施。暴力事故の多くがスタッフステーションの死角となっている日中のデイルームで発生していたため、見守りを行う「ホール番」を配置した。
結果、事態が深刻化する前に対応できるようになったことなどにより、患者同士の暴力件数が大幅に減少。副次的な効果として転倒も大幅減となった。
斎藤・看護副主任は「これからも患者さんのため、質の高い看護を提供できるよう尽力していきます」、淡地看護師は「今後も病棟全体で協力しながら、より良い療養環境を構築していきたい」と意欲を示した。
岸和田病院の仲松亜莉沙看護師は「Time is brain~時は脳なり~」と題して発表。脳卒中は発症から治療開始が早いほど良好な転帰が期待できるため、脳卒中ガイドラインに沿い同院独自のプロトコル(治療計画書)を作成し、救急搬送からCT(コンピュータ断層撮影)施行までの時間短縮に取り組んだ。
搬送前に救急隊からFACE(顔面神経まひ)、ARM(上肢まひ)、SPEAK(構音障害)、TIME(発症時間)の情報を確認し、脳卒中疑いの場合は多職種連携により搬送後15分以内のCT施行を目指した。結果、従来平均の26分から14分への大幅な短縮を実現した。仲松看護師は「救急外来スタッフ全員で取り組み、結果を残せたことが大変うれしいです」と笑みを浮かべた。
静岡病院は執行美保看護師が「回復期リハビリテーション病棟における多職種連携強化~『患者主体の共同目標』作成を通して」をテーマに発表した。20年8月に開設した回復期リハビリ病棟では多職種カンファレンス(検討会)を開き、同じベクトルで患者さん主体の共同目標を設定する取り組みを実践。ベッドサイドに設置したホワイトボードに、専門用語は使わずに具体的な短期目標、最終目標を掲示するようにした。
その結果、患者さんへのアンケートで「入院中に伝えられる情報が職員によって異なる」と回答する割合が大幅に減少。また「リハビリの励みになる」といった声もあり好評だ。
執行看護師は「共同目標を立案する作業は、各職種が相互に専門性の違いを理解し合いながら、患者さんが目指す目標にまとめていく貴重な機会となっています」とアピール。
遊佐・常務理事は「ケアの基本は患者さんの安心・安全・自立です。目の前に弱い患者さんがいるということを考えながら、看護部がワンチームとなり力を発揮してください」とエールを送った。
閉会挨拶では社徳の佐々木和子・看護部長が「業務改善は看護の力を育てるための取り組みです。引き続き看護部の力を高めていけるよう頑張っていきましょう」と力を込めた。