徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2022年(令和4年)03月28日 月曜日 徳洲新聞 NO.1331 1面
医療法人徳洲会(医徳)は3月20日、仙台徳洲会病院の新病院竣工式を挙行した。同院をはじめ徳洲会を中心に地元の仙台市、医師会、看護協会など各関係者が列席し、新病院の完成を祝福した。神事後のセレモニーでは安富祖久明・医徳理事長や佐野憲院長らによるテープカットを実施。来賓による祝辞では、新病院の今後に期待を寄せる言葉が数多く聞かれた。同日、内覧会も開き、連休中にもかかわらず地元の医療・介護関係者、住民の方々ら407人が参加した。新病院は4月2日に本格稼働を開始する。
テープカットに臨む(左から)森嶋社長、安藤・医師会会長、井上尚美副院長、安富祖理事長、佐野院長、福本優作副院長、川口次長、櫻野社長 セレモニー終了後に列席者で記念撮影
式はコロナ禍のため感染対策を施し、当初の構想より規模を縮小して行った。また、同月16日に宮城県と福島県で震度6強の地震が発生した影響で、関東地方を中心に一部の関係者が列席できず、最終的に参加者は67人となった。
神事後、セレモニーを行い、施主挨拶で最初に安富祖理事長が登壇。あらためて関係者に謝意を示し、仙台病院について紹介した。同院は1986年に設立、年月の経過にともない建物の老朽化が目立つようになった。2011年の東日本大震災による損傷も加わり、地域の方や職員が建て替えを待望していたことを説明した。東日本大震災での被災地支援や新型コロナに初期から対応していたエピソードなども披露した。
新病院については、延べ床面積が旧病院の約2.3倍と広い点や、的確な看護が行える安心・安全な病棟計画、いつまでも機能し続ける柔軟性の高さなど特徴をアピール。「先日、亡くなられた佐藤耕造先生は04年に当院院長に就任され、長年、経営を見守っておられました。本日の新病院竣工を大変喜んでおられると思います」と思いをはせる場面も見られた。最後に、「地域の皆さんに必要とされ、愛され、地域医療に貢献する病院として、また徳洲会グループ東北ブロックの基幹病院として発展することを期待しています」と結んだ。
続く佐野院長は開口一番、「生まれてこんなにうれしいのは初めてです」と喜びをあらわにし、関係者に謝意を表した。土地、建物、行政、大学病院をはじめとする地域の医療従事者、職能団体、地元の方、病院職員ら、それぞれ新築移転にまつわるエピソードを挙げ、何度も「ありがとうございました」との言葉を口にした。
仙台病院の発展に期待を寄せる安富祖理事長
喜びをあらわにしながら何度も謝意を表す佐野院長
新病院を祝い、さらなる飛躍を誓う東上・副理事長
「見学者がたくさん訪れるでしょう」と篠崎・副理事長
川口次長は郡市長のメッセージを代読
「コロナ対応に勇気付けられました」と安藤・医師会会長
新病院については「安心・安全な病院」を目指すとし、自動薬剤ピッキング装置、スマートベッドシステムなどグループ初の最新医療機器やテクノロジーを導入している点をアピール。式前の地震に触れ、災害に強い点も強調した。今後、「新病院を“使いきる”ことが大事」とし、「素晴らしい病院に恥じぬよう職員一同頑張ります」と締めくくった。
東上震一・医徳副理事長は「職員の表情が違って見え、あらためて新病院の効果はすごいと思いました」ときり出し、佐野院長について紹介。松原徳洲会病院(大阪府)の院長時代に、医療講演を多くの方に聴講してもらいたいと、駅前で佐野院長自らティッシュ配りを行ったエピソードを披露し、何事にも必死に取り組む人柄を強調した。
最後に、新病院の完成を祝いながら、「いまだ徳田虎雄・名誉理事長が思い描いた夢、あるいは私たちが見る夢(未来)の途中にあります」と意味深長。「それぞれの地域で『徳洲会があって良かった』と思っていただけるよう、新病院も周囲のお力を借り、教えていただきながら次のステージを目指してください」とエールを送った。
篠崎伸明・医徳副理事長も佐野院長について紹介した。湘南外科グループの12期生であることや、全国に足を運んで研修医の確保に努めていることなどを説き、「生え抜きの徳洲会。どこを切っても理念の塊です」と誇らしげ。
そのうえで、新病院を「恐らくグループで最先端の病院。今後、多くのグループ病院が見学に来て参考にする病院になると思います」と評価。最後に「東北ブロックの基幹病院として大切な病院」とし、「理念をしっかり身に付けた医療従事者をたくさん育ててもらいたいと思います」と期待をかけた。
来賓による祝辞では、川口浩晃・仙台市健康福祉局次長が郡和子・仙台市市長のメッセージを代読。仙台市病院群当番制事業で毎日当番を担うなど救急医療や、コロナ対応などに謝意を示した。新病院に対してヘリポートの設置により、救急搬送受け入れや災害対応が強化され「心強く感じています」と賛辞を送った。
新病院は4月2日から本格稼働
安藤健二郎・仙台市医師会会長は同院のコロナ対応に言及。「ウイルスの特性がわからなかった頃から、敢然と立ち向かう姿に多くの人が勇気付けられました。私もそのひとりです」と吐露。新病院が介護老人保健施設(老健)や訪問看護ステーション、予防医学センターなどと一体になっていることに触れ、「広い視野で地域医療に取り組むには非常に重要であり、慧眼に感服しています」と締めくくった。
この後、安富祖理事長が新病院の設計管理を担当した伊藤喜三郎建築研究所の森嶋浩社長と施工を担当した熊谷組の櫻野泰則社長に感謝状を贈呈。安富祖理事長、佐野院長らがテープカットを行い、閉式した。
内覧会では参加者に丁寧に対応
同日、内覧会も開催。参加者は1階エントランスから8階に上がり、階下へ降りながら、老健、感染病棟、一般病棟、手術室、日帰り手術センター、血管造影室、HCU(高度治療室)、予防医学センター、化学療法室、外来、透析室、放射線科、内視鏡室、ER(救急外来)を見学した。随所に職員を配置し、順路を案内したり、各スペースについて説明したりした。
参加者からは「きれい」、「エレベーターが早い」、「機器がすごい」、「患者家族にも優しい環境」といった声が聞かれた。なかには「病室の机や棚など使い勝手が良さそうでした。別の病院に入院した経験があり、机の天板や引き出しが小さかったりしたので、つい目が行ってしまいました」と細部の造作に感心する声も寄せられた。
内覧会には3連休の中日にもかかわらず、407人が参加。通路で誘導していた菅原可奈子看護師は、「参加された皆さんが楽しそうに見学している姿を見て、うれしく思います。私自身、病院の建て替えは経験がないので、今後をとても楽しみにています」と顔をほころばせた。
竣工式も含め、当日は地元のメディアが複数取材に訪れるなど、関心の高さがうかがえた。