徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2022年(令和4年)03月21日 月曜日 徳洲新聞 NO.1330 4面

読み解く・読み得 紙上医療講演52
ホスピスや緩和ケアって?

がん患者さんの増加などにともない、近年、「ホスピス」や「緩和ケア」が注目されています。我が国でホスピスがスタートして間もなく半世紀を迎えますが、「じつは誤解していた」というケースも少なくありません。今回は徳洲会グループで最初に緩和ケア病棟を開設し、NPO法人を立ち上げ啓発活動にも尽力している札幌南徳洲会病院の前野宏総長が歴史的背景も含め解説します。

前野宏・札幌南徳洲会病院総長 穏やかに過ごせるよう空間も意識(札幌南病院の緩和ケア病棟) 札幌南病院の「静まりの部屋」で傾聴する米本智昭・臨床宗教師

「ホスピス」と「緩和ケア」は、ほぼ同じ内容を表していますが、歴史的な意味合いが異なります。元々は「ホスピス」という言葉で表され、医療分野では1967年に英国で「近代ホスピス」が生まれスタートしました。近代医療の進歩とともに終末期の分野に延命医療が取り入れられましたが、その反面、「その人らしい終末」、「人としての尊厳を保った死」が損なわれるケースが顕著になり、その反省の下に近代ホスピスが誕生、急速に世界に広まりました。

しかし、「ホスピス」は比較的キリスト教の影響が色濃く反映していたことや、一部の国では「医療が何もなされない」という否定的な見方があり、80年代にカナダで「緩和ケア」という言葉が使われるようになったのです。とくに医療分野では最近は「緩和ケア」という言葉が使われるのが一般的で、日本でも診療報酬上は「緩和ケア病棟」、「緩和ケアチーム」という表現が用いられています。

日本では、73年に大阪府の淀川キリスト教病院で始まったOCDP(Organized Care of the Dying Patients)が発端と言われています。終末期の患者さんに対する多職種のチームアプローチで、“痛み”の軽減を中心に、がんに対する積極的な治療は行わず、穏やかに過ごせるよう専門的な立場から個々の患者さんに寄り添いケアを行います。

痛みは、「身体的苦痛」以外にも、不安や、いら立ちといった「精神的苦痛」、家族や仕事の悩みといった「社会的苦痛」、苦しみをもちながら生きることの意味や死ななければならない苦しみといった「スピリチュアルな苦痛」と多岐にわたります。かかわる職種も多様で、当院では従来の医療従事者に加え臨床宗教師、公認心理師、音楽療法士といった方々もチームに加わっています。

我が国でホスピスがスタートして来年で半世紀になります。この間、全国に緩和ケア病棟が450カ所程度(北海道にも20カ所以上)開設されるなど着実に浸透しつつあります。ところが、がんの痛みでも医療用麻薬(オピオイド)が何種類も使用できるようになった今でも、満足にコントロールできていないケースがあるなど課題は少なくありません。

奇しくも73年は徳洲会がスタートした年でもあります。徳洲会は「いつでも、どこでも誰でもが最善の医療を受けられるようにする」ために生まれ、救急医療を中心に発展してきました。私は「全国どこでも緩和ケアが受けられるようにする」のも徳洲会の使命と感じています。現在、徳洲会では8病院が緩和ケア病棟を設置しています。それぞれが地域の緩和ケアの拠点となり、やがては全国に広がって地域を問わず緩和ケアが受けられる環境になることを期待しています。

PAGE TOP

PAGE TOP