徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2022年(令和4年)03月14日 月曜日 徳洲新聞 NO.1329 1面

救急・急性期機能やがん医療など大幅強化
仙台徳洲会病院が4月1日に新築移転オープン
安心・安全な療養環境を提供

仙台徳洲会病院(315床)は4月1日、現在地から南東に直線距離で約2㎞の仙台市泉区高玉町に新築移転オープンする。現病院は1986年2月、徳洲会グループ初の東北地方の病院として開設。建築から36年が経過し老朽化してきたため建て替えを行った。新病院には、安心・安全な療養環境の構築に寄与するスマートベッドシステムを徳洲会グループで初導入、ハイブリッド手術室や屋上ヘリポートの設置、健診・人間ドック(予防医学センター)の大幅なスペース拡張、外来化学療法や人工透析の強化、高性能な医療機器の導入なども行い、診療機能の引き上げを図った。

耐震構造で屋上ヘリポートも耐震構造で屋上ヘリポートも

現病院の約2.3倍の延床面積をもつ新病院 ドクターヘリや防災ヘリを受け入れるヘリポート

仙台病院の新病院は商業施設や小学校、住宅街のあるにぎやかなエリアを貫く幹線道路沿いに立地する。現病院と比べ敷地面積は約2.8倍の3万55㎡、建築面積は約1.6倍の7545㎡、延床面積は約2.3倍の3万3739㎡に増加。地上9階建てで、8階には介護老人保健施設シルバーホームいずみが入る。

新病院のコンセプトは①救急・急性期医療や、がん医療の強化、②安心・安全な療養環境、③災害に強い病院だ。

救急に関して同院は年間約5000~6000台の搬送を受け入れるなど尽力。新病院では、一段と救急・急性期医療に力を入れるため、ハイブリッド手術室やハイブリッドER(救急外来)を整備した。ハイブリッド手術室は血管撮影装置を備えた手術室で、より高度な治療に対応可能。ハイブリッドERはER初療室の隣室にCT(コンピュータ断層撮影)装置を格納、必要に応じ扉を開け、一体的に運用することで診断と治療を並行して実施できる。1分1秒を争う救急医療にとって有用な設備だ。

救急搬送の入り口には、救急車が停車するための屋根付きのスペースを設けた。ボタンひとつで開閉できる高速シャッターで外部環境を遮蔽できる。風雨の強い時などはシャッターを降ろすことで、スムーズな初療開始が期待できる。さらに屋上にはドクターヘリや防災ヘリの離着陸が可能なヘリポートを備えている。

手術室は従来の5室から8室に増える。うち1室は清浄度がきわめて高いバイオクリーンルームで、人工関節置換術など整形外科手術に活用する計画。陰圧と陽圧を切り替えられる手術室もあり、感染症を併発する患者さんの手術に対応可能だ。

HCU(高度治療室)は6床でスタートし順次拡大する考え。将来的にはスーパーICU(集中治療室)への格上げも見据え、1床当たり20㎡を確保した。HCUを取り囲むように廊下を配置。患者さんと家族が対面したい時に、この廊下を通ることで他の患者さんのプライバシーを守りながら近づくことができ、仮に感染症を有する患者さんの場合でも家族とガラス越しに対面できる。

新病院では、外来化学療法室を従来の2床から10床に大幅増強。透析室は従来の15床から30床に倍増し、リハビリテーション室も従来の2倍の広さに拡張した。

徳洲会グループで初導入 スマートベッドシステム

吹き抜けの開放感があるエントランスホール 患者さんの安心・安全に寄与するスマートベッドシステム(写真は現病院でデモ機を用いテストを行う様子)

徳洲会グループで初の導入となるスマートベッドシステムは、ベッドサイドの専用端末に患者さんの情報を集約して表示できる。電子カルテと連携し、昼夜のADL(日常生活自立度)や安静度、食事、転倒リスクなどをピクトグラム(絵文字)で、わかりやすく示す。体温、血圧、血中酸素飽和度、血糖値のバイタルデータは通信機能付きの測定器を端末にかざすことで自動入力が可能だ。早期警告スコア(NEWS)を表示する機能も盛り込み、患者さんの急変をいち早く察知。スタッフステーションでも同じ情報が共有できる。

健診や人間ドックを行う健診センターは「予防医学センター」に改称。女性用の更衣室にはパウダールームを完備する。

2階に50人ほど収容が可能な会議室を設け、コロナ収束後には医療講演や糖尿病教室など対面式の催しを実施する計画だ。予防医学センターと老健シルバーホームいずみは、それぞれ専用の入り口があり、エレベーターも含め正面玄関を利用する他の患者さんと動線を分けている。

7階病棟は感染症に対応したつくり。陰圧個室2床を設けるとともに、陰圧レベルは下がるが病棟全体(40床)を陰圧環境にできるようにした。現病院では敷地内にプレハブ型のコロナ専用病棟(24床)を運用しているが、移転後は7階病棟でコロナ患者さんの入院を受け入れる方針だ。院内保育所「おひさま保育園」も敷地内の一角に移転した。

災害に強い病院を目指し、耐震構造を採用。自家発電装置と備蓄燃料により、病院機能は3日間持続可能だ。エントランスホールには床暖房があるため、避難時の低体温を防ぐことに役立つ。

佐野憲院長 地域の皆さんのために貢献

当院は徳洲会の“生命だけは平等だ”の理念に基づき、主に仙台市北部地域の住民の方々の生命と健康を守るため、診療の充実に努めてきました。新病院への移転にあたっては、患者さんに安全・安心な医療と環境を提供するための整備に力を入れました。当院の柱である救急・急性期医療に関しても随所で機能向上を図りました。たとえばハイブリッド手術室やハイブリッドERの開設、屋上ヘリポートの敷設、救急搬送入り口への高速シャッター設置などです。320列CTや高性能MRI(磁気共鳴画像診断)装置を新規導入し、診断能も拡充します。

また病棟の各階で、エレベーターを降りたとしても、専用のカードキーがなければ病棟内に入れないよう、院内のセキュリティを強化しました。患者さんと医療従事者を守っていくための措置です。これからも職員一同、力を合わせて、地域の皆さんのために貢献していきます。

佐藤裕恵・看護部長 マグネットホスピタル目指す

当院は、看護師ができるだけ患者さんのベッドサイドを離れずに業務を行う「セル看護方式」を採用しています。患者さんの変化にいち早く気付けるなどメリットのある看護方式ですが、夜間の手薄な時間帯は各病室へのスタッフの配置が難しいのが課題でした。新規導入のスマートベッドシステムは患者さんの睡眠や覚醒、体動から算出した呼吸数や心拍数をモニタリングできる“眠りスキャン”というセンサーと連携でき、スタッフステーションでの夜間の見守りにも活用できます。

こうしたICT(情報通信技術)導入を推進する一方で、人材育成にも力を入れています。コロナ禍で病院実習を経験していない新人看護師がいますので、各病棟に配属された新人看護師を対象に、病棟間のローテーション研修を行っています。これからも療養環境の改善を推進し、患者さんから選ばれ、看護師も集まるマグネットホスピタルを目指します。

片岡隆行事務長 9月に回復期リハ病棟開設

当院は315床あり、その内訳はHCU6床、一般病棟250床、障害者病棟35床という病棟編成です。県から増床が認められ、9月に32床の回復期リハビリテーション病棟を新たに開設する計画です。仙台市内の自治会や町内会から、医療・健康に関する出張講演を行ってほしいという、ご要望も増えています。新型コロナの感染状況にもよりますが、そのようなご要望にしっかりと応えていきたいと考えています。

なお、現病院の2階に事務所がある関連施設の富谷訪問看護ステーションは、新病院1階に入り、「訪問看護ステーションひなた」に名称変更して業務を開始します。地域の方々に信頼していただけるよう、これからも地域に根差した医療提供に努めていきます。

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