徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2022年(令和4年)02月28日 月曜日 徳洲新聞 NO.1327 1面

湘南鎌倉病院予防医学センター
再生医療技術を応用し検査
血管「再生力」や病気の進行度測定

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)予防医学センターは新しい検査の導入に積極的だ。そのひとつである「再生関連細胞解析検査(VASRE検査)」は、「自家末梢血CD34陽性細胞移植による下肢血管再生療法」(先進医療B)などに用いる技術を応用したもので、同院でしか実施できない検査。これにより血管健康度(血管再生年齢)や病気の進行度、病気に対する回復力(再生力)を診断でき、健康管理のための有益な情報となる。同院はさまざまな検査を駆使し病気予防の強化、未病の改善に努めていく。

疾病予防・未病改善に尽力

「地域の方々の健康増進にも貢献したい」と河野責任者

血液には、体のメンテナンス・回復力に重要な細胞が存在する。しかし、これらの細胞は病気や年齢、環境によるストレスなどにより、十分な力を発揮できなくなる。そこで自分の細胞に、どれだけのポテンシャルがあるかを総合的に評価したうえで、再生力を高めるための対策を取ることが重要。そのための検査が再生関連細胞解析検査だ。

目的のひとつは血管再生力の測定。再生関連細胞が機能していると、体の中に何か障害があっても自ら修復することができるが、弱まってくると血管に傷を負っても修復できなくなり、この状態が続くと動脈硬化などを引き起こす可能性が高まる。河野晋一・予防医学センター責任者(湘南先端医学研究所研究員)は「人は血管とともに老いると言いますが、血管再生力を測定することで、病気に対する回復力だけでなく、アンチエイジング力の度合いも知ることができます」と説明する。

もうひとつは、病気の進行度の測定。基礎疾患として高血圧や高脂血症、糖尿病などがあり、動脈硬化による脳梗塞や心筋梗塞などが心配な方の場合、自身の血管再生力の低下度合いを測定することで、動脈硬化がどのくらい進んでいるかを知ることができる。

検査は採血のみ。まず細胞分離により得た血液細胞を再生環境で培養し、採取血液と再生培養血液の細胞分布をそれぞれ測定。次に採血細胞と再生培養細胞を撮影し、両者の違いを観察、FACS解析や血管再生細胞コロニー解析により、血管再生細胞の数と質を解析する。さらに採血細胞と再生培養細胞の違いから「再生力」を解析し、再生力を血管再生細胞の機能指数で評価する(図)。

培養は隣接する湘南先端医学研究所(湘南アイパーク内)で行うが、血液を凍結保存すると再生力が7~8割に落ちるため、採血から24時間以内に培養する必要がある。正確な検査のため、基本的に検体採取は同院でのみ行っている。

同検査は現在同院で実施している「自家末梢血CD34陽性細胞移植による再生療法」の技術を応用している。CD34陽性細胞(血管再生細胞)は浅原孝之・同院予防医学センター未病治療診断科部長(細胞培養・ゲノム細胞分析室室長)が発見した細胞で、血管再生細胞の解析は浅原部長の研究室でしかできず、同検査は世界で同院のみ実施可能だ。

河野責任者は「これから件数を増やし、解析のためのアルゴリズム(算法)を確立したら、より身近な検査になると思います。また現在、健康的な人からデータを取り、血管再生力の年代別、性別の平均値なども調査しています」と展望を示す。

膵臓がんリスク判定

ほかにも同院は新しい検査の導入に注力している。そのひとつとして昨年8月、膵臓がんの早期リスク判定検査「テオリア検査(リキッドバイオプシー検査)」をスタート。これはエクソソーム(細胞内の情報を運ぶ細胞外小胞)を使った検査で、血液中から、がん特有のエクソソームを検出することで、膵臓がんの罹患リスクを判定する。

河野責任者は「膵臓がんは初期で発見するのが難しいので、家族歴がある、喫煙しているなど発症リスクが高い人には、心強い検査だと思います。ただし、この検査はあくまで、膵臓がんのリスクマーカーであり、診断を目的としたものではありません。高リスクという結果が出ても、まだ、膵臓がんの所見のない方には、当センターで定期的にフォローしています」と強調する。

2月には簡易認知機能スケール「あたまの健康チェック」の試験運用も始め、3月に本格的に開始予定。これは認知機能低下の訴えのない健康な方を対象とした検査で、健常域での認知機能の定量的経時評価が可能だ。

河野責任者は「これまで、わからなかったことが検査により数値化して示せると、健康に対する意識が向上すると思います。多くの追加オプションを用意し、地域の方々の健康増進、病気の予防、未病の改善に貢献したい」と意欲的だ。

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