徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2022年(令和4年)02月14日 月曜日 徳洲新聞 NO.1325 1面

武蔵野病院
給食事業で都知事から表彰
入院透析患者さんへの食事など工夫

武蔵野徳洲会病院(東京都)は「令和3年度東京都特定給食施設等栄養改善知事賞」を受賞した。都内にある給食施設のなかでも主に特定給食施設(病院、介護施設など)が対象。同院は栄養指導の実績や、急性期病院ながら患者さんの状態に応じたきめの細かい食形態、透析患者さんへの適時適温の食事提供などを理由に、地元の保健所の推薦を経て選出された。都内には特定給食施設が約4000あり、今回受賞したのは5施設。このうち病院は同院のみ。

受賞を喜ぶ栄養管理室スタッフ(中央が土屋副室長) 主食をパンに変更した例(写真上)。朝食ではパンに合わせた副食も 透析室前(写真上)から病棟(写真下)に温冷配膳車を移動。電源を工事で移設

特定給食施設は健康増進法に基づき、特定多数の人に対し継続的に1回100食以上、または1日250食以上の栄養管理が必要な食事を提供する施設。医療機関や介護・福祉施設をはじめ学校、社員食堂を設置している企業などが該当する。生活習慣病の予防が社会的課題となるなか、食事の提供だけでなく地域社会の健康づくりなど、求められる役割は幅広い。

こうした給食施設の水準向上と公衆衛生の増進を目的に、東京都では「特定給食施設等栄養改善知事賞」を創設。毎年、複数の施設や事業所を選出し「優良な給食施設」として表彰している。

今回、武蔵野病院は多摩小平保健所からの推薦を経て初めて受賞。“推薦に値する事業”として「栄養指導」、「喫食者中心の給食」、「調査研究」、「給食・栄養管理面の改善」の4項目が挙げられた。同院は毎月、外来約150件、入院時約200件の栄養指導をはじめ、2019年からは、とくに患者さんに配慮した食事提供に腐心。食欲不振の患者さんにはアイスやゼリー、ドリンクタイプなど多様な形態の栄養剤により補ったり、3食で主食を麺、パン、おにぎりに変更できたりする。

朝食に限っては主食をパンに変更した場合、副食もパンに合った内容に変更するなど、急性期病院ながらきめ細かい対応が特徴だ。「主食をパンに変更することは15年の開院当初から行っていたのですが、日によっては副食が魚料理の日もあり、患者さんにより満足していただきたいと始めました」と栄養管理室の土屋輝幸副室長は胸を張る。

入院透析患者さんへの配慮も欠かさない。とくに午後の入院透析患者さんは、夕食の時間を過ぎて終了するケースが少なくないことから、温冷配膳車を病棟に移し適温で提供している。「午前中に患者さんの検査が立て込むと午後の入院透析の開始がずれてしまい、夕食の提供時間を超える頃に病室へ透析患者さんがお戻りになることもあります」と土屋副室長。

当初はそのままベッドサイドに配膳したり、時には看護師が電子レンジで温め直したりしていたが、主治医からの相談を受け栄養管理室で検討。19年秋、病棟に配膳車を常設できる環境を整えた。

「外来透析患者さんへの食事提供(希望制)で使用した配膳車を活用しようと考えました。提供後は厨房に戻し翌日まで使用していなかったからです。ただ、病棟に常設するには配膳車用の電源を確保しなければならず、工事費用も大きいので、病院幹部に相談したところ、了承を得られました」(土屋副室長)

取り組み開始後、すぐに患者さんから「ありがたいです」、「美味しい」といった声が寄せられたという。看護師の負担軽減にもつながった。

また、医原性サルコペニア(筋肉量の減少や筋力低下による身体機能の低下)の解消にも注力。一般的にサルコペニアは加齢に起因する状態を言うが、医原性サルコペニアは不適切な安静や禁食が引き起こすとして、昨今、医療界の課題と指摘する声もある。

嚥下訓練食Bのポスター。電子カルテ付近に貼付

土屋副室長は「たとえば救急患者さんに非常勤医師が対応し、入院適応と判断すると、常勤医に引き継ぐまで点滴でつなぐ場合があります。とりあえず安静・禁食・水電解質輸液のみの指示が続いたりすると、医原性サルコペニアにつながる可能性があります」と示唆。そこで同院は点滴が用いられやすい経口摂取が難しそうな救急患者さんには、ひとまず嚥下訓練食Bの提供を促す啓発ポスターを作成し、ER(救急外来)の電子カルテ付近に掲示している。

「当院は嚥下訓練食を2種類用意しており、嚥下の安全性と栄養価にも配慮している嚥下訓練食Bを推奨しています。奏功しないことがあるかもしれませんが、少しでも絶食期間を短くできれば」と土屋副室長。調査した結果、ポスターを作成した後は絶食数が減少しているという。

こうした取り組み以外にも地域の食支援プロジェクトや給食研究会にも参画。「模範」として推薦された。土屋副室長は「とくに東京都は特定給食施設が多く、選ばれたのは光栄です」と笑顔。「徳洲会は“患者さんのために”という思いが強いグループ。まだまだ患者さんのために行いたい食事サービスがあるので、もっと発展させていきたい」と意欲を見せる。

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