
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2021年(令和3年)12月20日 月曜日 徳洲新聞 NO.1318 4面
南部徳洲会病院(沖縄県)は動注化学療法を開始した。これはカテーテルを用い腫瘍の近くにある栄養動脈から高濃度の抗がん剤を注入する治療法。がんによる痛みなど副作用を低減する効果がある。将来的には放射線治療装置のサイバーナイフとの併用により、難治性がんの治療の幅を広げる考えだ。
「がんで苦しむ患者さんに、あきらめてほしくない」と平安名・統括部長
カテーテルを用い動注化学療法を実施
がんと診断されたら、ガイドラインにのっとって標準治療(手術、化学療法、放射線治療)を実施するが、一部には治療の効果が出ない、または治療の副作用に耐えられない患者さんもいる。平安名常一・放射線部統括部長は「がん難民の方々に対し、少しでも症状を緩和し、なるべく長く日常生活を送れるようにサポートしていきたいと考えています」と明かす。
抗がん剤の投与経路には①経口投与、②経静脈性(全身化学療法)、③経動脈性(動注化学療法)――の3種類がある。動注化学療法は、カテーテルを動脈内に挿入し、がん組織に栄養を送り込む血管に直接、抗がん剤を投与する治療法だ。
点滴による全身化学療法の場合、抗がん剤がゆっくりと全身に行きわたり、全身の転移、再発に対し効果を発揮するが、目的の病変に到達する前に濃度が薄まり局所効果が弱まるだけでなく、副作用が強く出ることがある。一方、動注化学療法では、抗がん剤が高濃度な状態で病変に届くため、高い局所効果を発揮すると同時に、副作用を抑えることも期待できる。
ただし、動注化学療法が治療の第一選択になることは少なく、基本的に、がんによって生じる痛みや浮腫など症状を緩和することが目的。標準治療後の再発、その後の救済治療法が見つからない患者さんが主な対象となる。
また、動注化学療法は専門的な手技が必要で、手技自体も煩雑であることから、治療できる施設が限られているのが現状。同じ治療法を吹田徳洲会病院(大阪府)の関明彦・腫瘍内科がんカテーテル治療センター長も精力的に実施しているため、互いに相談することもある。
同院の1例目は左臀部に骨転移のある乳がんの患者さんで、放射線治療を行うため近医から紹介された。放射線治療後、1カ月ほど経過しても症状が改善しなかったことから、紹介元の主治医と相談のうえ動注化学療法を実施。9月16日に1回目、同29日に2回目の治療を行ったところ、「治療前の痛みのレベルである10から、治療後は2~3まで低下し、階段の昇り降りもできるようになったと患者さんから評価いただきました」と平安名・統括部長。さらに「私は放射線治療、放射線診断に加えIVR(画像下治療)も精力的に実施していますので、領域の垣根なく、患者さんにとって最良の方法を選択し対応することができます」とアピールする。
同院は昨年6月、高度放射線治療装置であるサイバーナイフを運用開始。平安名・統括部長は今後、動注化学療法とサイバーナイフを組み合わせることで、難治性がんの治療の幅が広がる可能性を示唆する。「がんに対し、サイバーナイフでピンポイント照射を行い、根治できない可能性がある場合でも、動注化学療法を組み合わせることで、治療強度をより高めることができます」と強調する。
「沖縄県は、がん治療が遅れていると言われていますので、ゆくゆくは県内に徳洲会グループの『包括的がんセンター』が開設されることを夢見ています」と期待を寄せる。さらに「ひとりでも多くの患者さんの治療に貢献できるよう、後進の育成にも取り組んでいきたいです」と意気軒高だ。