徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2021年(令和3年)12月20日 月曜日 徳洲新聞 NO.1318 3面

日本臨床外科学会 徳洲会が46演題発表
大浦研修医 「研修医Award」受賞

第83回日本臨床外科学会総会が11月18日から3日間、都内で開かれた。メインテーマは「イノベーションの向こう 次世代医療を考える」。オンラインと会場によるハイブリッドで実施。徳洲会グループは46演題を発表した。このうち研修医セッションで湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の大浦麻緒子研修医が「研修医Award」を受賞した。特別演題を中心に紹介する。

チームに最も重要な因子

我如古 理規 宇治徳洲会病院(京都府) 外科医長

「心理的安全性から考える手術・臨床・研究・教育における風通しのよさの重要性」。海外で行われた研究を紹介し、効果的なチームの最重要因子は個々の能力ではなく「心理的安全性(間違ったことを言っても罰せられないという確信)」と指摘。責任感の醸成やモチベーションアップを前提に、誰もが主体的・積極的に活動できる組織風土が重要と強調した。

特定看護師の活躍に期待

西田 智喜 湘南鎌倉総合病院(神奈川県) 呼吸器外科医長

「当院の外科研修制度や診療看護師を含めたチーム医療から見えてくる特定看護師へのタスクシフト/シェアの可能性」。同院外科病棟では、診療看護師が手順書に基づき点滴指示や中心静脈挿入など実施、医師と看護師間のコミュニケーションエラー解消などでも活躍している。今後、特定看護師が同様の役割を担うことを期待する一方、「特定行為研修が生かされるかどうかは病院の体制づくりにかかっています」と課題も挙げた。

小線源使い乳房部分照射

佐藤 一彦 東京西徳洲会病院 副院長

「COVID-19禍において安全かつ有用な乳房温存療法について:寡分割乳房部分照射を用いた674症例(観察期間中央値5年)の治療成績と今後の展望」。乳がん患者さんに対する小線源を用いた乳房部分照射の有用性を示した。通院回数が少ないため、とくにコロナ禍で有用な点も強調し、さらに回数を減らした新規治療計画の検証とともに手技の標準化と普及に期待を寄せた。

HERS稼働率が向上

中村 真司 宇治病院 救急外傷外科医長

「ハイブリッドER(HERS)を用いた外傷診療システム構築」。HERSとはCT(コンピュータ断層撮影)室や血管造影室、手術室の機能をあわせもつ救急初療室で、同院では外傷診療の質向上を目的に2019年12月に導入した。HERS運営委員会を設立し、多職種で役割を分担することで稼働率が飛躍的に向上。さらに「現在はチームリーダーを中心として行うコマンダーシステムの構築を目指しています」と抱負を語った。

ダヴィンチで安全に手術

玉森 豊 和泉市立総合医療センター(大阪府) 外科部長

「進行胃癌に対する安全な鏡視下手術手技の確立における手術支援ロボットの役割」。進行胃がんで腹腔鏡下手術が困難な理由として、主腫瘍の大きさ、治療的郭清を要する転移リンパ節の存在などがある。同院では手術支援ロボット「ダヴィンチ」を用い、術者のストレスを軽減し、安全に施行しているが、「手術時間短縮のためには手順の定型化、助手やコメディカルとの協調性の改善など課題があります」と明かした。

腹膜播種のRe-do手術

鍛 利幸 岸和田徳洲会病院(大阪府) 副院長

「腹膜切除後再発に対するRe-do手術」。腹膜播種で腹膜切除したものの再発したケースに行ったRe-do手術(再手術)を解析した。対象は08~20年までの50例。予後は比較的良好で、とくに初回の手術から2年以上経過した症例や腫瘍のある腹膜を完全切除できた症例は、長期予後が期待できることを提示した。

LC100例を検討

上田 容子 宇治病院 外科医師

「急性胆嚢炎の手術難度評価と手術短期成績の検討」。急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドラインをもとに、自院で行った急性胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)100例の手術難度評価と術式選択、手術短期成績の関係性を検討。術式選択と難度評価には一定程度の相関があったことや、LC回避手術を選ぶ指標となり得る項目が3つあったことを説明した。

サーベイランスを検証

髙木 睦郎 東京西病院 外科部長

「コロナ禍における入院発熱患者に対する当院での取り組み」。入院後に発熱した患者さんに対するコロナランプ検査1719件を検証した。陽性率は低かったものの院内感染拡大防止に寄与していた。入院前のみならず入院後もサーベイランス(監視)を実施することに意義があったと説明した。

体腔内吻合の可能性示す

水野 礼 宇治病院 外科副部長

「当院における腹腔鏡下右側結腸切除術における体腔内吻合の検討」。体腔内吻合は剝離範囲・手術創の縮小など利点がある一方、手術部位感染の増加や手術時間の延長などの可能性もある。同院で実施した腹腔鏡下右側結腸切除術では、BMI(肥満度)が高い症例は体腔内吻合、進行がんや術前に腸閉塞を認める症例は体腔外吻合が選択される傾向を示し、「体腔内吻合は大きな合併症なく安全に行えたが、長期予後に関し、さらなる症例の蓄積が必要です」。

急性虫垂炎に対するIA

野村 勇貴 宇治病院 外科医師

「当科における急性虫垂炎に対するInterval Appendectomyの現状と有用性についての検討」。自院の虫垂切除術(開腹手術含む)282例を検証し、Interval Appendectomy(IA=まず抗菌薬治療を行い、時間をおいて腹腔鏡下虫垂切除を行う治療法)の有効性は、抗菌薬治療効果による可能性や、糞石、膿瘍がリスクと考えられ、IA適用は慎重に選ぶ必要性を強調した。

「研修医Award」受賞

大浦 麻緒子 湘南鎌倉病院 研修医

「研修医Award」を受賞。テーマは「Renal paratransplant herniaに対する腹腔鏡治療の一例」。腎移植の外科的合併症で、まれに起こる内ヘルニア「腎傍移植ヘルニア」を腹腔鏡治療したケースを紹介した。文献上で報告されている同疾患13例はすべて開腹手術だが、腹膜欠損の効率的な同定、内ヘルニアの容易な解除、低侵襲などから腹腔鏡治療の有用性を示した。

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