
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

Tokushukai medical group newspaper digest
2021年(令和3年)12月20日 月曜日 徳洲新聞 NO.1318 1面
武蔵野徳洲会病院(東京都)は11月1日、初の国産手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ)」で1例目の手術を行った。同機は内視鏡や手術器具を装着した4本のロボットアームを、医師が3D画像を確認しながら離れた場所から操作し、手術を行う。出血量が少ないなど患者さんの負担が少ない。昨年9月に保険適用となり、大学病院以外での症例は武蔵野病院が世界初。徳洲会グループでは南部徳洲会病院(沖縄県)が12月に導入し、来春までに1例目を実施する予定。
1例目を無事終え、笑みを浮かべる桶川院長(左から3人目)ら
国産初の手術支援ロボット「hinotori」(画像提供:メディカロイド) ©Tezuka Productions
hinotoriは、産業用ロボットの開発を行う川崎重工業と検体検査製品を手がけるシスメックスが共同で出資し設立したメディカロイドが製造・販売する初の国産手術支援ロボット。製品名の由来は医師でもあった漫画家の故・手塚治虫氏の代表作。
同機は専用の操作台「サージョンコックピット」、4本のロボットアームが備わった「オペレーションユニット」、手術中の画像を映し出し手術スタッフも同じ画像が共有できる「モニタカート」の3つで構成。4本のロボットアームには内視鏡カメラ、メスや鉗子(物をつかんだり引っ張ったりする手術器具)を装着し、内視鏡による画像を確認しながら、医師は離れた場所にあるサージョンコックピットから操作する。サージョンコックピットのディスプレイは3D画像を映し出し、直接、処置を行っている感覚で治療できるのが特徴だ。2020年9月に泌尿器科領域の一部手術で保険適用になった。
最大の特徴は侵襲が少ないこと。従前の開腹手術よりも傷が小さいため、出血量が少なく術後の回復が早い。機能温存も期待できる。また、ロボットアームは人間の手首よりも広い範囲で可動できるため、人間の手では届きにくい場所でも、よりスムーズかつ安全な手術が可能だ。
オペレーションユニットはコンパクトなデザインで、操作する医師のスペースを広く確保し、操作性の向上や手術室内の効率的な使用に寄与する。
桶川院長自ら操作。サージョンコックピットは術者の負担を軽減する設計
武蔵野病院は9月16日に同機を院内に設置。桶川隆嗣院長らスタッフは、トレーニングを受け、11月1日に1例目の手術に臨んだ。患者さんは前立腺がんの70代男性。万一に備え、当日は同機での手術経験がある医師とシスメックスのスタッフが立ち会った。
支援ロボットを使った手術経験が1000例以上ある桶川院長が、自らサージョンコックピットで操作。初回ということもあり慎重に行い、手術は4時間に及んだが、無事に終了。「アームの関節が多く精細に動くので、とてもスムーズにできました。慣れてくれば、手術は2時間程度になるでしょう」と桶川院長。患者さんは術後、約1週間で退院した。
同機の製造・販売は国内先行のため、大学病院を除けば導入したのは武蔵野病院が初めて。同機を用いた手術も大学病院以外では世界初となった。
その後、武蔵野病院は6例を実施。いずれも術後の経過は良好だ。桶川院長は「合併症がなければ80歳前後の患者さんにも行えると思います。患者さん一人ひとりに合った、より良い医療が提供できるよう精進してまいります」と意欲を見せる。
徳洲会グループでは南部病院が12月に導入し、現在、トレーニング中。来春までに1例目を実施する予定だ。