徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2021年(令和3年)12月06日 月曜日 徳洲新聞 NO.1316 3面

札幌病院病理診断科 腎生検をスタート
グループ内外から受託も

札幌徳洲会病院は10月、腎生検(腎臓の組織検査)を開始した。腎生検とは腎臓病に対する正しい治療を行うために、腎臓の組織の一部を取り顕微鏡で評価する検査を言う。専門性が高く、これまでは外注で対応していたが、昨年4月に腎臓を専門とする柳内充・病理診断科部長が入職し、環境を整えたうえで実施に踏みきった。今後はグループ内外からも腎生検を受託する考え。

柳内部長(左)と検査室(病理部門)のスタッフ(鈴木副主任は右)

腎臓の状態は検尿や血液検査、腎機能検査などで、ある程度わかるが、腎生検を行わないと病名や病状を正確に診断することはできない。ただし、腎生検は侵襲的検査であり、出血や他臓器穿刺などリスクをともなうため、有益性とリスクのバランスを考えたうえで実施する必要がある。

ほかの検査で異常があっても、ただちに腎生検を実施するわけではなく、全国的に見ても検査件数は多くないのが実情。そのため「腎生検を経験する機会が少なく、腎臓を専門にする病理医は少ない」と柳内部長は指摘。これは臨床検査技師についても同様だ。

そこで柳内部長は、蛍光顕微鏡の購入や蛍光染色ができる環境整備に加え、技師のスキルアップも図った。腎生検では、パラフィンブロックをつくり薄切して染色する通常の工程に加え、2段階の別の作業が発生する。さらに、薄切の際には、なるべく薄く切り、かつ複数の染色法で仕上げなければならないため、高い技術を要し、手間も時間もかかる。

鈴木雄太・検査室副主任(臨床検査技師)は「昨年末頃から、外注に出す検体の一部を使いトレーニングを繰り返しました。柳内先生には及第点をいただきましたが、まだ染色でコントラストをはっきり出すという課題があり、染色時の温度や時間、濃度など試行錯誤しています」と厳しい表情。

腎生検を外注に出すと、結果が出るまでに約2週間かかるが、院内で行えば最短翌々日に出すことが可能。また同院では9月に腎臓内科が常勤医3人体制になったこともあり、これまで以上に腎生検のニーズが高まる見込み。10月に院内で1例目を行って以降、コンスタントに症例を重ねている。

一方、柳内部長は湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の腎生検・移植腎生検も担当。毎週、同院を訪れ、臨床医とディスカッションしながら、診断・治療方針の決定をサポートしている。札幌病院では、徳洲会グループ内外から腎生検を受託する意向で、そのアピールも兼ね11月10日に「腎生検カンファレンス」をオンラインで開催。腎生検が治療に直結した症例を提示し、その重要性を解説した。

柳内部長は「腎臓病の診断は臨床所見も重要になるため、臨床医とのコミュニケーションが必要不可欠です。今後、外部受託をするにあたり、臨床医と信頼関係を築くことが大切」と強調。「まずは技師のさらなるスキルアップも含め、当院の腎生検を軌道に乗せます」と意気軒高だ。

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