
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2021年(令和3年)10月25日 月曜日 徳洲新聞 NO.1310 4面
自宅療養のコロナ患者さんへの対応として、訪問看護ステーション(訪看ST)を本格的に活用する動きが全国で広まっている。神奈川県では県や保健所設置の市、医師会、訪看STが連携して自宅療養者をサポートする「神奈川モデル」を打ち出し、3月下旬から藤沢市を皮切りに順次、拡大している。同モデルには徳洲会グループの愛心訪看ST、湘南厚木訪看ST、愛心訪看ST葉山支所が参加し、架電や訪問を通じ患者さんの不安軽減に尽力。当初は今秋までの予定だったが、年内まで延長となり、通常の利用者さんと並行して引き続きコロナ患者さんに対応、第6波への備えも視野に入れ、地域の関係機関と協力しながら活動している。
架電する愛心訪看STの寺田香看護師。「患者さんから電話越しに“安心できる”といった声をいただきます」
神奈川県が掲げる「神奈川モデル」は、県や保健所設置の市が地域の医師会と委託契約を交わし、各医師会が会員の医師、地域の訪看STと連携し自宅で療養するコロナ患者さんのフォローを行うというもの。対象患者さんは悪化リスクのある方で、具体的には①県が設けた入院優先度判断スコア3以上、②入院待機者、③SpO₂(経皮的動脈血酸素飽和度)が95%以下──のいずれかに該当する方。
国が示す自宅療養解除基準に達するまでの期間、毎日、看護師が架電による健康観察をはじめ必要に応じ自宅訪問、24時間電話対応を行う。また、看護師からの相談を受け、医師はオンライン診療や、入院の判断を行う。患者さんの状態や日々の実績など各種情報は、クラウドシステムやグループウェア機能をもつシステムなどを用い関係者間で共有。
まず3月下旬に藤沢市で先行実施し、他の地域も順次、開始している。同スキームをベースにしながらも各地域の状況に応じ方法などは異なる。
PPEを手に訪問先に向かうフィッシュバッハ所長
徳洲会グループでは5月上旬にスタートした鎌倉市で愛心訪看STが参加。地域の訪看STなどと輪番制で地区医師会と連携しながら活動している。当初は感染者数が少なかったこともあり、架電と訪問の両方に対応していたが、第5波で感染者数が増加すると人員を確保できず、現在は架電中心に対応。
「当STの葉山支所から鈴木由規所長の協力を仰ぎ対応していましたが、第5波からはマンパワーが追い付かず、架電中心となりました。最も多い時は1日50件超、朝から晩まで電話する状態でした」(野口薫所長)
現在は感染者数が減少し、対象患者数は0。野口所長は「医師も積極的に訪問診療、往診に対応してくださるなど、地域に志の高い専門職がたくさんいると知りました」と明かし、「感染者数が少ない時期に、少しずつ仕組みに慣れていく感じも良かった。いきなり第5波のピーク時に実施されていたら大混乱していたと思います。準備の大切さを実感しました」と振り返った。
「第6波に備えます」と愛心訪看ST葉山支所の鈴木所長(中央)ら
8月から本格稼働した厚木市では、湘南厚木訪看STが参加。同市では、参加した訪看STの総合窓口としてコールセンターを設置、県内で訪看STを運営する企業が担った。架電はコールセンターが行い、各訪看STは輪番制で訪問対応。コールセンターからの連絡で患者さん宅を訪れる。
訪問は基本的に玄関での対面だったが、第5波のピークとなった8月末から9月にかけては家に上がり在宅酸素導入やステロイド投与にかかわるケースもあったという。「PPE(個人防護具)を装着しましたので、真夏でとても暑く過酷でした」(フィッシュバッハ靖子所長)。
感染者数の減少を受け、10月13日に関係者で集まり会議、活動を振り返った。フィッシュバッハ所長は「神奈川モデルからはずれるイレギュラーな対応や、外国人対応などが課題に挙がりました。今後は第6波に備えます」と余念がない。
愛心訪看ST葉山支所は10月から本格的にスタートした逗子・葉山地域で参加。同STも輪番制で週に半日の架電を行った。開始時には、鈴木所長が本所での経験をもとにアドバイスを送ることもあった。スタートしてからほどなくして感染者が減少。今後は午後から翌朝までの訪問なども検討していく。同地域でも第6波に備え、関係者による会議を開く考え。
3人の所長は神奈川モデルへの参加に「(地域から声をかけてもらい)断る選択肢はなかった」と強調。災害医療対策や地域包括ケアシステム構築などコロナ以外にも意義を見出している。