徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2021年(令和3年)10月11日 月曜日 徳洲新聞 NO.1308 4面

読み解く・読み得 紙上医療講演 49
パーキンソン病を知る

今回のテーマは「パーキンソン病」。これは動作緩慢などの運動症状が出現する病気で、65歳から急激に増加します。10万人に200~300人が発症していると言われていますが、高齢化が進む現代では、今後さらに増加することが予想されます。パーキンソン病は早期発見、早期治療が重要。そのポイントを湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の川田純也・脳神経内科部長が解説します。

湘南鎌倉総合病院 川田純也・脳神経内科部長

パーキンソン病は6カ月以上の経過で徐々に①動作緩慢、②静止時振戦、③筋強剛、④姿勢保持障害――の運動症状・所見が出現することにより、定義されます。発症の原因は脳のドパミン神経細胞が減少し、筋肉の運動を調節するドパミンが少なくなることであり、この要因としてαシヌクレインという異常なタンパク質が神経細胞内に蓄積することが考えられています。最近の研究では腸管の神経叢、または嗅神経にαシヌクレイン蓄積が多く、そこから脳内へ進展することがわかってきました。

これまでパーキンソン病は、先に挙げた4つの運動症状・所見により診断されていましたが、非運動症状も重要視されるようになり、2015年に国際パーキンソン病・運動障害疾患学会から新たな診断基準が提唱されました。

同基準の重要なところをまとめると①安静時振戦が診察上で確認、②パーキンソン病治療薬(レボドパなど)が効果的、③嗅覚障害がある(なければMIBG心筋シンチグラフィー低下)、④レボドパ誘発性ジスキネジアがある――などが挙げられます。また、除外基準には①薬によるパーキンソン病に似た症状、②3年以上続く下肢のみの症状、③小脳の障害――などがあります。

治療は少なくなったドパミンを補充する薬物療法が基本。レボドパやドパミン受容体刺激薬など複数の治療薬を併用します。治療薬の反応は個々人で異なるうえ、年齢や生活背景によって治療目的が違うことから、ガイドライン任せの治療では不十分になります。たとえば趣味や仕事を充実させるために、なるべく振るえを抑えたい人と、少しくらい振るえがあっても生活に支障がなければ良いと考える人では、治療目的が変わってくるのです。

運動機能は一度低下すると、関節がこわばり筋肉が萎縮するため、元に戻るのに時間がかかります。そのため運動症状が出現したら、すぐに治療を開始することが重要です。さらに薬物治療に加え、適度な運動も必要。運動をしないと筋肉量が減少(サルコペニア)、関節も拘縮し、動くことがより困難になります。適度なカロリー摂取、タンパク質など栄養をしっかり摂ることも大切です。

パーキンソン病は早期発見、早期治療により、予後が良くなります。早期発見のためには、振るえを見逃さないことが重要。軽度な振るえであっても自己判断することなく、神経内科を受診するようにしてください。かかりつけ医が患者さんの運動症状に気付いた場合も、速やかに神経内科にコンサルテーションしていただきたいです。

将来的には疾患修飾療法の導入が期待されます。これは無治療で見られる病気の自然な経過を薬物療法で「修飾」し、進行スピードを遅くしたり抑制したりする治療法です。余談ですが、当院はアルツハイマー病による軽度認知障害に対する疾患修飾薬の治験に協力しており、日本で使用できるようになった折には、アルツハイマー病による認知症の予防に貢献していきたいと考えています。

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