徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

岡 進(おかすすむ)(笠利病院院長)

直言 生命いのちだけは平等だ~

岡 進(おかすすむ)

笠利病院院長

2015年(平成27年)9月7日 月曜日 徳洲新聞 NO.996

患者さんの生命を尊び痛み和らげる
ブロック注射は年間約1000例超
頚椎症で握力30㎏まで回復した症例も

奄美大島本島北部の笠利(かさり)病院は、人口約6000人の笠利町赤木名(あかきな)地区に立地しています。奄美空港から車で5分と近く、交通の便が非常に良い所です。私は院長として赴任して8年目を迎えました。

現在、東京、大阪、福岡、沖縄などへの直行便があり、鹿児島へは1日7便。住民の念願であった航空・船舶運賃が離島割引制度により、通常運賃の約半額で島の方たちは鹿児島と奄美各島を行き来できるようになりました。

7年間は常勤医1人でしたが、4月から外科の仲田一男先生が常勤医として赴任され、以前は午前の外来が午後2時頃までかかることがありましたが、現在では12時半には終わるようになりました。外来患者さんの待ち時間が減少する一方、患者さんが増加し良い循環が生まれています。仲田先生が鍼(はり)やブロック注射を習得し、交代で訪問診療や他の業務を行えるようになり私の負担は軽くなりました。

当院は89床ですが、外来は一般病院と同じように行うことができるため外来に力を入れています。1日平均の外来患者さんは約70~80人で、ペインクリニックと鍼治療に特色を出しています。

第1診療室はベッドが5つ並び、私が施行しているブロック注射は手袋を使わずに行う工夫をしています。これで星状(せいじょう)神経節(頚部(けいぶ)の交感神経が集まる部位)ブロックが安全にでき、年間約1000例超を実施しています。ブロック後の安静時間は15分間で、その間に鍼を行います。ドイツでは鍼治療が盛んで、ペインクリニックをしている医師の7割は鍼を併用していると、東北大学病院の漢方内科の教授にうかがいました。

地域コミュニティ充実させ子どもたちに明るい未来を

痛みの改善で鍼を続ける方、リハビリ後に鍼をする方など、鍼治療は好評です。脳出血後の右完全麻痺(まひ)の女性が「麻痺側の手足の痺(しび)れ、痛みがいつもあり泣いています」と訴え、ブロック注射を頼まれました。この症例で治療をしたとの報告はありませんが「やってみましょう」と、星状神経節ブロックを麻痺側に有効と考える回数施行し、鍼治療も併用したところ痛みや痺れが消失。現在では週1回の鍼治療をする程度にまで回復した同様の症例もあります。また、頚椎(けいつい)症で手は動くものの握力がほとんどない方が来院、頚部硬膜外ブロックを有効と考える回数施行し、握力が30㎏まで回復したケースもあります。

笠利病院で働く職員は120人ほどですが、職員の多くは地元出身。女性職員は3人以上のお子さんがいる方が多く見られます。子どもをたくさん育てられるのは、地域のコミュニティがしっかりとあるからです。子どもをおばあちゃんや隣のおばさんに預けることができたり、地区全体で子どもを守っていく習慣・風土があったりするおかげです。小学校の運動会は父母、祖父母、町の多くの方々が全員参加で楽しみます。日本全体では少子化が進行していますが、奄美のように地域のコミュニティがしっかりしていれば、ここまで少子化が進まなかったと思います。

私の家族は福岡県太宰府(だざいふ)市に住んでいます。子どもたちが小学生の時、通学班があって、年長の子が班長となり近くの子どもたちを連れて登校していました。この時、親たちは集合場所を決めて集まって見送りをするなど、小学校を核にコミュニティがありました。地域コミュニティの再生に、それを利用したら良いのではと思います。

リーダーの条件は先を読み戦場で先頭に立ちぶれない

以前、鈴木隆夫理事長が、作家・塩野七生(ななみ)氏の『ローマ人の物語』を直言で紹介されていましたので、文庫本で全43巻読み、すっかり塩野氏に魅了されてしまいました。

私は世界的な英雄をアレキサンダー大王とナポレオンと思っていましたが、読後、第一人者はシーザーであると確信しました。素晴らしい軍人であるとともに政治家でもあり、現在の世に彼の教えが生きていることを学びました。シーザーが書いた『ガリア戦記』に、リーダーたる者は常に先を読み、戦いの先頭に立ち、素早い判断を行い、決してぶれないことを学びました。シーザーに習い、病院でも先頭に立って診療に励みたいと考えています。当院は徳洲会グループ内外の医師・看護師・コメディカル・事務職などによる多数のご支援があるからこそ現在があると考えます。

今後も離島・へき地医療の充実を目指し、ご協力いただければ幸いです。この場を借りて深く御礼申し上げます。

皆で頑張りましょう。

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