徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

今嶋 達郎(いまじまたつろう)(二日市徳洲会病院院長)

直言 生命いのちだけは平等だ~

今嶋 達郎(いまじまたつろう)

二日市徳洲会病院院長

2015年(平成27年)6月22日 月曜日 徳洲新聞 NO.985

装いも新たに7月1日に診療を再開
従前の数倍もの業務量こなせる設備
「自分のためでなく人のために尽くす」

――ご無沙汰しています。沖縄は梅雨明けしましたが、ほかの地域では梅雨空が覆っています。あなたの町はどうですか。お元気でしょうか。今回、久しぶりに筆を取ったのは、お知らせしたいことがあるからです。そう、二日市徳洲会病院がいよいよリニューアルオープンを果たします。

新病院でも、神経難病の患者さんを中心とした障がい者医療を継続します。筑紫(ちくし)二次医療圏で唯一、障がい者病棟をもつ当院と地域との約束であり、徳洲会グループ創始者の徳田虎雄・前理事長を襲ったALS(筋萎縮性側索硬化症)に対する答えのひとつでもあるからです――。

7月1日、二日市病院が元の土地で装いを新たにして診療を再開します。本来であれば地域の皆様をはじめ、関係者の方々一人ひとりに、冒頭のような手紙を差し上げたいところですが、準備を万端に整えるためにも、本稿をもって新病院完成の報告と私たちの決意を示したいと思います。

新病院では、建て替え前は3フロアにまたがっていた病棟を1フロアに集約。今まで以上に目が行き届く構造になり、重症患者さんが増えても、きちんと見守ることができます。

リハビリテーションも十分なスペースを確保。手術室なども含め、従来の2倍、3倍もの業務量をこなせる設備を整えました。このすべてを生かしきれるよう、スタッフは努力を重ねなければならず、これからが本当の正念場になるでしょう。自分たちのためではなく、患者さんや地域の方たちのために建て替えをしたのですから。

ひと声かければ職員すぐ集合 小回り利かせて信頼勝ち取る

従前の二日市病院には45年もの長きにわたり、お世話になりました。これから数十年、私たちはこの病院を守り育て続けなければなりません。そのためには診療のみならず、運営面でもきちんと責任を果たしていく必要があります。将来に向け、私たち職員も施設も常に成長し続ける覚悟です。あたかも100年を超え、なお完成に至らないスペインのカソリック教会、サグラダ・ファミリアのように。

規模が小さい当院では、ひと声かければすぐに皆が集まります。患者さんの問題に職員全員が垣根を越えて集い、解決に協力する。小回りを利かせ、当院に対する信頼を積み重ねていきたいと思います。

徳洲会は「断らない医療」を掲げ、ここまで来ました。急性期病院だけでなく、離島・へき地の病院も、地域の患者さんを断らずに歴史を重ねてきたのです。設備や人員が異なることもあり、私たちにまったく同じことはできません。しかし、どんな重度の障がいをもつ患者さんでも受け入れることで、断らない医療を実現したいと願っています。そして徳洲会の「真の断らない医療」の完成に、ささやかながら貢献したいと思っています。当院で働けることを誇りに感じられる風土を築き上げていくことが、これからの私たちの使命です。

自分中心に周囲変えるよりも環境に寄り添う気持ちが大切

新病院に関し、こだわったことはいろいろあります。病院前の立派な楠(くすのき)の幹は、狭い敷地の入口部分に立っているため、設計や工事の妨げになるのは明らかで、皆から切ることを勧められました。

しかし、その木は地元のシンボル。どうしても残したいと、設計事務所や建設会社にお願いし、無理を聞いていただきました。おかげで訪れる方から「残って良かった」と言っていただくこともあります。病院を建て替えるといっても、病院中心に周囲の環境を変えるのではなく、環境に寄り添う心意気を示したかったのです。病院が町に溶け込むことで、何よりも決して短くはない療養生活を送る患者さんに、町全体に包み込まれるような癒やしを感じてもらえたらと思っています。

“自分のためでなく、人のために尽くす”。まさに医療の本質であり、実践できる幸せを心から実感できています。目の前にいる人の向こう側に、自分の一番大切な人を思い描き、精いっぱい尽くそうと努力を重ねることで、私たちは「いつでも最善の医療や介護を提供」できるはずです。

今でも世界中のあちらこちらで、文字どおりの「手当て」が有効な治療法とされている地域があります。愛する人の手が触れることが、何よりの癒やしであるのは、太古の時代から不変なのかもしれません。医療が目覚ましいスピードで進歩する現代、私たちにどんな「手当て」ができるのでしょうか。知恵を絞りながら、皆で頑張りましょう。

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