2015年(平成27年)4月27日 月曜日 徳洲新聞 NO.977 四面
神奈川DMAT―L指定病院
湘南鎌倉総合病院は3月31日、神奈川県から「神奈川DMAT―L指定病院」の指定を受けた。地震や風水害、土砂災害、航空機・列車事故など大規模な災害が発生した際に、県内の被災地に「神奈川DMAT―L」を派遣し、発災後72時間までの災害急性期に医療救護活動を行うのが役割。同院は今回の指定を機に、さらに神奈川県の災害医療体制の充実、強化に尽力していく。
神奈川DMAT-L隊員養成研修に参加した山本医長(後列右)、梅澤耕学医長(後列中央)、浅野・課長補佐(後列左)、奈良唯唯子・救急看護認定看護師(前列左)、平新加代子・感染管理認定看護師
神奈川DMAT―L指定病院は災害時、被災市町村や県知事からの要請に基づき、神奈川DMAT―Lと呼ぶ災害医療チームを派遣。消防機関などと連携して①災害現場でのトリアージ(重症度選別)や緊急治療など、②被災地内での患者搬送および搬送中の診療など、③被災地内の災害拠点病院でのトリアージ、診療など、④被災地内での対応が困難な重症患者さんの被災地外への搬送のためのトリアージや搬送中の診療など―を行う。
2012年に始まった仕組みで、これまで9病院が指定。今回、同院を含め9病院が新たに指定、計18病院となった。
神奈川DMAT―Lは医師、看護師、業務調整員(ロジスティクス担当=移動・通信の手段や食糧・医薬品など物資を確保するための後方支援)からなる1チーム5人編成が基本。県主催の2日間の研修を修了すると、隊員として認定される。活動エリアは県内に限る。同院は5人の職員が昨年11月の神奈川DMAT―L隊員養成研修を受け隊員になった。
「災害発生時も患者さんや被災者に貢献することは使命」という考えから、同院は昨年3月、「神奈川県災害協力病院」の指定を県から受けた。災害拠点病院に準じる設備や機能をもち、発災時には災害拠点病院と連携、同拠点病院をバックアップし、傷病者などの受け入れや治療を担う。昨年3月に開始した同県の制度で、現在36病院が指定。
災害拠点病院が日本DMAT(国が認定する災害医療チームで、全国を対象に災害医療活動を行う)を保有する必要があるように、県災害協力病院も神奈川DMAT―Lの保有が求められている。このため湘南鎌倉病院の職員5人が昨年の研修で隊員の認定を受け、今回の指定に結び付いた。
隊員のひとりである医事課の浅野友和・課長補佐は「これを通過点に今後、研修修了者を増やしていきながら、全国で活動できるDMATの保有も視野に入れ、将来的には災害拠点病院を目指しています」と意気込む。
同じく隊員である救急総合診療科の山本真嗣医長は「災害発生時には地域の他の救護所などと連携を図りながら、中重度の傷病者を積極的に受け入れ、広域搬送の拠点となる海上自衛隊厚木航空基地にアクセスする中継拠点のひとつとしての機能なども担っていきたい」と話している。
同院は10年9月の新築移転以降、災害訓練を年4回実施するなど災害への備えに力を入れている。