徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2015年(平成27年)4月27日 月曜日 徳洲新聞 NO.977 一面

武蔵野徳洲会病院
開院に向け急ピッチ
鈴木院長「最適なチーム医療を」

特定医療法人沖縄徳洲会の武蔵野徳洲会病院(東京都、210床)が6月1日のオープンに向け、急ピッチで準備を進めている。4月15日には建築会社から病院建屋の引き渡しが行われ、物品の搬入を開始。スムーズに診療がスタートできるように、鈴木洋通院長自ら消防署を訪問するなど余念がない。開院まで残り約1カ月、鈴木院長の構想や新病院の現状を紹介する(980号に武蔵野病院特集を掲載)。

6月1日新規オープン

オープンまで約1カ月に迫った武蔵野病院 オープンまで約1カ月に迫った武蔵野病院

武蔵野病院は徳洲会グループ国内70番目の病院。地上6階、地下1階建てで、一般160床、療養50床を有し、内科や外科など21診療科を標榜(ひょうぼう)する。

同院の院長には鈴木洋通院長が就任。大学病院で教授を20年務め、今年4月に徳洲会に入職した。「一般社団法人徳洲会の福島安義・副理事長から声をかけていただきました。自分の思いを実現すべく、着実に準備を進めています」と意気軒高だ。

朝礼で徳洲会グループの理念唱和を開院前から実践 朝礼で徳洲会グループの理念唱和を開院前から実践

鈴木院長が目指すのは、連携をベースにした最適な医療提供。「一人ひとりに最適な医療を提供するのが理想。ただ、ひとりで行うのは困難ですから、さまざまな連携が不可欠です」。

院内のあらゆる職種が連携を図るのはもちろん、鈴木院長は地域連携を重視。地元の西東京市医師会や近隣の医療機関、介護施設、さらにNPO(非営利活動法人)などあらゆる社会資源との連携を視野に入れている。

栗田施設長も武蔵野病院の誕生に期待を寄せる 栗田施設長も武蔵野病院の誕生に期待を寄せる

老健武蔵野徳洲苑。在宅生活をサポートするため、武蔵野病院と連携 老健武蔵野徳洲苑。在宅生活をサポートするため、武蔵野病院と連携

西東京市医師会に入会し、同医師会が実施している胃がん健診や輪番制による小児救急などに参画する予定だ。また、若手医師による糖尿病研究会が西東京市内にあり、関係構築を検討中。西東京市歯科医師会や歯科診療所との医科歯科連携や、東京西徳洲会病院との連携も行う計画だ。

連携関係を築くために鈴木院長が開院時、とくに重点を置いているのが救急医療だ。鈴木院長は「当院は地域のなかで新参者。連携を図るといっても信頼がなければ関係は築けません。救急を行うことで信頼を得ると同時に、いろいろな方を知るきっかけになると考えています。1にも2に3にも救急。そのくらい救急に精力を注ぐつもりです」と、狙いを明かす。

すでに院長自ら近隣11カ所の消防署回りを実践。鈴木院長によると、西東京市では年間約1万台の救急車の出動要請があり、そのうち半数がどの医療機関に搬送すべきかファーストコールに困っているという。「その5000台をすべて当院が対応する覚悟」と鈴木院長は意欲を燃やす。

「救急の7割は内科ですから、内科の強化に努めました。さまざまな内科関連の専門医がそろっています。大学病院で実績を積んだ医師や他院で部長クラスを務めた医師で、体力的にも充実した40~50歳代が中心です」と自信を見せる。

救急搬送要請の電話に最初に対応する事務職員が、困って医師や看護師に電話を回すことがないようにトレーニングを行うなど、受け入れ体制の準備に万全を期している。

「大学病院に勤務していた間、私自身は救急を断ったことはありません。医局員にも断らせませんでした。対応が難しい場合でも、できるところまで対応し、その間にほかの搬送先を探すといったことが重要だと思っています」(鈴木院長)

同院は救急で実績を積んだうえで、開院2年目にがん治療、3年目にリハビリテーションを充実させる方針だ。

がん治療では、手術、放射線、抗がん剤などによる一般的ながん治療を実施。「シームレス(境目のない)、包括的ながん治療を目指します」と話す鈴木院長は、将来的に緩和ケアも行う意向だ。

リハビリについては、回復期リハビリ病棟の設置を予定。それまでに心臓血管外科や脳神経外科などを軌道に乗せていく考えだ。

老健武蔵野徳洲苑と連携

同院にとって、もうひとつ大きな強みとなるのが、介護老人保健施設武蔵野徳洲苑が隣接していること。同施設は2012年にオープン、ショートステイを含め150床の規模だ。

鈴木院長は大学病院時代に、35日だった平均在院日数を14日に短縮した実績をもつ。武蔵野病院では平均在院日数7日を目指しており、病院と自宅との中間施設として隣接する武蔵野徳洲苑に期待を寄せる。

同苑の栗田明施設長も「ご入所中のご利用者様に受診が必要になった場合、すみやかに診察・治療が可能な新病院は当苑にとって心強い存在です。より高いホスピタリティー(心からのおもてなし)を追求していきます」と目を細める。

さまざまな連携を通じ、地域医療の一翼を担う武蔵野病院。鈴木院長は「病院の開院に携わるのは初めての経験で、わからないことが多くあります。地域の方のご意見を聞き、一緒に当院をつくり上げていきたいですね」と抱負を語る。

鈴木院長にインタビュー
ベースにある3つの考え

座右の銘は「人生即創造」と鈴木院長 座右の銘は「人生即創造」と鈴木院長

――150床でスタートしますね。

鈴木 許可病床は210床ですが、最初からフルに開棟することはしません。内訳は一般100床、療養50床です。早期発見、早期対応を実践するため、一般から療養に移っても主治医は変えない考えです。

――鈴木院長の専門である透析が診療科目に見られません。

鈴木 最初から自分の得意分野を掲げれば、その専門の病院になりかねません。まずは救急医療をしっかり行います。もちろん救急の透析患者さんも受け入れます。

――開院にあたり掲げている3つのキーワードについて教えてください。

鈴木 ①心・技・体、②NEP(ネップ)、③coming、doing、swimingで、新病院のベースになる言葉です。①は医療人として心・技・体を大切にしようということ。真心をもって患者さんに接しますが、そこには確かな技術がともなわなければなりません。また患者さんに携わる人自身が健康でなければ、きちんとした医療は提供できません。これらは全職員に心がけてほしいことです。

②は、ネットワーク、エデュケーション、パブリシティーの頭文字。地域とのネットワークを築き、私たちが教育を受けたり、教育をしたりする。双方向のコミュニケーションを図りながら、出てきた情報を蓄積、整理して公開していくということです。

これらを実践するためにも健康でいることが大切。そのためにはよく噛んで(噛ming)食事を摂る、よく動く(動ing)、よく寝る(睡眠ing)が、日常生活の基本です。一人ひとりに最適な医療を提供するには、この3つの考え方がベースとなります。

――人材育成で考えていることは?

鈴木 3年後くらいに臨床研修指定病院となることを目指します。医師は20人程度でスタートしますが、来年は40人、再来年は60人と増やしていきたいです。人数が増えれば、人材育成の意味も含め、離島の応援を考えています。

――最後に読者にメッセージをお願いします。

鈴木 祖父から昔、「人生即創造」という言葉を贈られました。人生は、すなわち創造することだと。振り返れば、以前の職場で新たな診療科の立ち上げや初代教授の拝命などを経験し、そして今回、当院院長のお話をいただきました。そういう生き方を望んだわけではありませんが、天が創造することを与えてくれたように思います。人をつくり、連携をつくり、地域に良い医療をつくっていきます。

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