徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2021年(令和3年)9月13日 月曜日 徳洲新聞 NO.1304 一面

「コロナ重症センター」開設
野崎病院 9月16日から前倒し運営

大阪府で新型コロナ感染重症者が増加し医療提供体制が逼迫(ひっぱく)するなか、野崎徳洲会病院(大阪府)は敷地内にプレハブの「徳洲会コロナ重症センター」(20床)を開設、当初予定していた10月1日から前倒しして、9月16日に運営をスタートする。同センターはコロナ重症病床の確保を目指す大阪府からの要請を受け、地域の医療提供体制強化を目的に開設。徳洲会では同院のほかに湘南鎌倉総合病院(神奈川県)、千葉西総合病院、羽生総合病院(埼玉県)、仙台徳洲会病院がプレハブのコロナ専用病棟を運営。

大阪府吉村知事 「20床確保は大きい」

「重症患者さんをひとりでも多く引き受けたい」と中川院長

徳洲会コロナ重症センターは平屋建て、延床面積1896㎡で、本院と隣接する職員駐車場に建てた。集中治療ユニット、CT(コンピュータ断層撮影)ユニット、スタッフサポートユニット、設備ユニットからなり、それぞれ渡り廊下でつないでいる。新たに人工呼吸器21台、ECMO(体外式膜型人工肺)2台、透析装置7台など用意。壁際には透析排水のための装置も備え付けている。

同センターは当初、10月1日オープンを予定していたが、大阪府の新型コロナ感染者の急拡大に対応するため、9月16日に前倒しして運営開始。これに対し、吉村洋文・大阪府知事は1日、記者会見を開き、「府民の命をひとりでも多く守るという徳洲会の思いが前倒しにつながりました。感謝申し上げます」と謝意を表した。

中川秀光院長は「思いのほか順調に工事が進み、予定より早く受け渡しが完了しました。近隣に重症患者さんを受け入れる施設が少ない現状もあり、オープンを早め、地域に貢献したいと考えました」と強調。

新たに看護師40人採用 訓練重ね万全期し臨む

「やる気のある看護師が集まりました」と木下・看護部長

これまで同院は本院に重症用9床、軽症・中等症用34床を確保し、コロナ患者さんに対応してきた(同センター運営開始後の本院は重症用5床、軽症・中等症用42床に変更)。同センターで20床の重症用病床を運営するにあたり、新規で40人の看護師を迎え入れた。木下美智子・看護部長は「やる気のある看護師が集まりました。約2週間かけてセンターでのシミュレーション訓練を行い、万全を期してオープンに臨みます」と明かす。

同センターのメイン部分である集中治療ユニットには、重症用病床20床(うち個室2床)設置。中央配置のスタッフステーションをはさんで左右に分かれ、中央をスライディングウォールで区切ることも可能。重症患者さんが少ない時は、半分の10床を軽症・中等症用や疑似症用にするなど使い分けができる。

家族と渡り廊下に面した窓越しに面会できる個室も完備 スタッフステーションは見とおしが良く27台のモニターも設置

また、中川院長、木下・看護部長が口をそろえて強調するこだわりは、窓ガラス越しに面会ができる個室だ。木下・看護部長は「これまで死に直面した重症患者さんとご家族との面会ができないことが、スタッフのジレンマでもありました。1室だけでも面会ができる個室を確保できたので、患者さん・ご家族にも喜んでいただけると思います」と笑顔を見せる。

スタッフステーションは一面ガラス窓で区切られ、見とおしが良く患者さんを観察しやすい。さらに、上部に設置された27台のモニターには、各ベッドや渡り廊下のビデオカメラ映像が映し出され、つねに患者さんの様子を確認できる。治療室への出入り口では、PPE(個人防護具)の着衣室から治療室に入るドアと、治療室から脱衣室に入るドアを別々に設置、脱衣室はUV(紫外線)ライトで定期的に消毒し、感染対策を徹底している。

スタッフサポートユニットには、カンファレンスルームや休憩室、仮眠室などに加え、Wi-Fiや無料の自動販売機も完備。また、物品やリネン、器材をストックする広い倉庫を確保、供給車両専用の出入り口もつくった。中川院長は「スタッフが働きやすい環境を整備しました。集中治療ユニット内も広く、スタッフが動きやすい空間になっています」と胸を張る。

同センター開設後、スタッフサポートユニット内にある多目的室で、自宅療養・ホテル療養中の患者さんを対象とした外来もスタート。抗体カクテル療法も日帰りで行う予定だ。木下・看護部長は「重症化させないためには、早めの対応が重要だと考えます。また大阪府の方針では、抗体カクテル療法は日帰りでの実施を推奨していますが、何かあった時の対応を考えると1泊の入院で行うほうが安心。外来で実施する場合、マニュアル作成などが必要になります」と慎重に準備を進める。

中川院長は「変異株は若い人でも重症化しますし、ブレイクスルー感染もあり、ワクチンを接種しても安心はできません。今後もコロナとの闘いは続くと思います」と警鐘を鳴らすと同時に、「近隣のみならず、大阪府の重症患者さんをひとりでも多く引き受けたいと思います」と意欲的だ。

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