徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2021年(令和3年)7月5日 月曜日 徳洲新聞 NO.1294四面
病院敷地内に開設したプレハブのコロナ専用病棟
院内病棟からプレハブ病棟へ患者さんを転棟する様子
仙台病院はプレハブ病棟設置前、院内で改修工事を行い、4人部屋3室の計12床をコロナ専用病床として運用。入院時や画像検査時など病棟までの動線を確保する際には、多くの部署が協力し、院内感染を起こさないように細心の注意を払った。
病棟への動線確保に加え、クラスター(感染者集団)が発生した際の対応でも、別棟であればリスクが最小限に抑えられると考え、昨年末にプレハブ病棟の設置を検討。同じ時期に、県内でコロナ陽性者が急増したことから、県からもコロナ専用病床増床の依頼があったため、3月末にプレハブ病棟を開設した。
プレハブ病棟は1階が病棟、2階はスタッフ用スペースで構成。病棟は軽症・中等症用21床、重症用3床の計24床で、内訳は個室18室、3床部屋2室。個室のうち2床は重症患者さんに対応するため、仕切りのパーテーションを外すとスペースが広がるように工夫が施されている。3床部屋は家族での入院があるために用意した。
病室はすべてトイレ、洗面所付きで、生活に支障を来さないようテレビ、冷蔵庫、USBジャック、電気ポット、物干しスタンド、フリーWi-Fiも完備した。共用部にはシャワー室や洗濯乾燥機も設置、患者さんの衣類やタオルを棟内で洗濯することで、感染拡大防止につなげている。
スタッフステーションやレッドゾーン(陽性患者さんが入院しているスペース)の入り口には陰圧装置、汚物室、廃棄物保管庫を設けた。また、2階のスタッフ用スペースには個別飲食ブース、休憩室、仮眠室、更衣室、シャワー室を完備し、プレハブ病棟内で業務を完遂できるようにした。
プレハブ病棟の運営に尽力する笹木英恵看護師(感染管理認定看護師)は「手指消毒など標準予防策はもちろん、個人防護具(PPE)着脱を徹底し、入院患者さんに対応しています」と強調。さらに「仙台市内でプレハブのコロナ専用病棟を建設したのは当院が初めてだったため、県の担当者が訪れた時に『素晴らしい病棟ですね。建てていただいて非常に助かります』と評価していただきました」とアピール。
いまだコロナが猛威を振るうなか、今後は①地域の方々のワクチン接種推進に向け、県からの要請に協力、②4月になり入職者が増えたため、基本的なPPEのチェックと指導を徹底、③コロナの対応をしている職員の業務負担軽減につながるシステムの導入を検討していく考えだ。
「CT in Box」に患者さんを搬入する救急隊員
同院は昨年11月、敷地内にプレハブの発熱外来棟も設置。一般外来と患者さんの動線を分け、発熱、せき、たんなど上気道症状、強い倦怠(けんたい)感などのある患者さんを対象に受け付けている。問診・処置スペース、診察室、X線室、PCR検体採取室を完備。
発熱外来棟と隣接する位置に「CT in Box」も導入した。これはGEヘルスケアが長期化する新型コロナ感染症対策の一環として提供するコンテナ型の簡易CT(コンピュータ断層撮影装置)室で、徳洲会グループ病院で導入しているのは同院のみ。コロナ重症者の把握や対応には、CT検査が重要な役割を果たすが、CT in Boxは隔離された場所での設置が可能なため、一般の患者さんと動線を分けることができる。
同院では、プレハブのコロナ専用病棟に加え、プレハブの発熱外来棟、CT in Boxなどの導入により、新型コロナ感染者が急増するなか、一般診療を継続しながらも精力的にコロナ患者さんの対応にあたっている。
感染対策委員長の加藤一郎・外科部長は「通常診療ではあり得ない初めての経験(クラスター発生、重症者対応など)をし、今後の感染症対策として力を付けることができました。このノウハウを生かし、今後も最前線で尽力していきます」と意気軒高だ。
なお同院は22年4月に新築移転オープン予定。