徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2020年(令和2年)7月6日 月曜日 徳洲新聞 NO.1243 四面

出雲病院が内視鏡センター開設
最新機器を導入し低侵襲な検査・治療

出雲徳洲会病院(島根県)は消化器内科の体制強化を図り、内視鏡センターを開設した。これまで内視鏡室は1ブースのみだったが、センター開設を機にスペースを拡張し、4ブースに増設。上部・下部内視鏡検査やESD(内視鏡的粘膜下層剝離(はくり)術)をはじめ、特殊内視鏡まで幅広い手技をカバーできるようになった。また、今年登場した新しい内視鏡システムを導入し、内視鏡室の照明に青色光を用いるなど、設備面も充実。鎮静剤なしでも少ない苦痛で検査できる経鼻内視鏡にも取り組むなど、低侵襲で患者さん・受診者さんに負担が少なく楽に受けられる検査・治療を掲げ、地域の内視鏡検査・治療水準の向上に寄与していく方針だ。

1ブースから4ブースに増設

(左から)結城センター長、駒澤部長、新垣部長(左から)結城センター長、駒澤部長、新垣部長

出雲病院の内視鏡センター開設は1月から4月にかけ消化器内科医3人が着任したことで実現した。1月に結城美佳・内視鏡センター長が着任、4月に駒澤慶憲・消化器内科部長兼健診センター長、新垣昌利・消化器内科部長が着任した。3人は島根大学医学部附属病院などで診療に取り組んできた豊富な経験をもつ。今秋にはもうひとり消化器内科の常勤医が着任する予定。

「当院はこれまで消化器内科の常勤医がおらず、島根大学から日替わりで医師派遣を受け、1ブースのみ週4日体制で内視鏡検査・治療を行ってきました。このたび、当地域での内視鏡検査・治療体制の充実のために、体制を大幅に強化し内視鏡センターを立ち上げました」と結城センター長は経緯を説明する。

センター開設にともない、上部・下部内視鏡検査、内視鏡的逆行性胆道膵管(すいかん)造影(ERCP)、胃や食道、大腸の早期がんに対するESD、カプセル内視鏡、小腸内視鏡(ダブルバルーン内視鏡)、超音波内視鏡検査(EUS)など、幅広く高度な検査・治療に常時対応できるようになった。また、消化管出血などの救急症例への対応力も大きく向上した。

内視鏡室にはリラックス効果などがある青色光を設置内視鏡室にはリラックス効果などがある青色光を設置

同院が立地する出雲市は人口約17万5000人に上る。従来の1ブース体制の頃は、上部・下部内視鏡検査の受け入れ枠を上回ることがあった。そのためニーズはまだ十分にあると見ている。「当院から東に約7㎞地点には出雲空港があり、高速道路も近くを走っています。物流に有利な立地であることから周辺には大きな工場が多数あります。そうした職場で働いている多くの方々の健診・人間ドックや診療にも積極的に取り組んでいきます」(結城センター長)

内視鏡センターを開設するにあたって検査装置を更新。今年に販売開始された新しい内視鏡システムを導入した。2種類のレーザー光によるLCI 観察(Linked ColorImaging)という機能を備える。これは、早期がんの発見をサポートする画像処理機能のことで、粘膜のわずかな色の違いを強調することで診断を補助する機能だ。

待合室には一人がけのソファーを用意待合室には一人がけのソファーを用意

内視鏡室自体にもこだわった。内視鏡画像を見る観察モニターを、天吊り式のアームで支える仕様とした。これにより内視鏡室内がとてもすっきりとした印象になった。また、内視鏡室の照明も通常の白色電灯のほかに、青色光のLEDライトを天井に設置した。

駒澤部長は「青色光は受診者さん・患者さんが、落ち着いてリラックスした状態で検査・治療を受けていただくことに寄与します。さらに青色光は、暗いけれど手元の書類の文字は十分に判読でき、臓器の赤系の色と青色は補色(互いの色を目立たせる色の組み合わせ)の関係であるため、内視鏡画像がより見やすくなるといったメリットがあります。青色光ライトは全国的にもまだ内視鏡室への設置事例は多くはありません」とアピールしている。

外科のバックアップや麻酔科体制などが充実

さまざまな太さの内視鏡を駆使さまざまな太さの内視鏡を駆使

新垣部長は他科との連携に触れ「外科のバックアップがあるので安心して検査・治療を行うことができますし、麻酔科の常勤医が2人いるなど体制は整っています」と説明する。

同院は大学病院にも引けを取らない内視鏡システムを活用し、できるだけ低侵襲で受診者さん・患者さんに負担が少ない検査や治療を心がけていく方針だ。こうした方針の下、同院は経鼻内視鏡にも力を入れている。地域柄、自家用車で検査を受けに来る方も多いため、鼻から細い内視鏡を挿入することにより、咽頭(いんとう)に内視鏡が当たらず鎮静剤を使用しなくても嘔吐(おうと)反射を抑えられ、苦痛が少なく検査を行うことができる経鼻内視鏡は、受診者さん・患者さんにとってメリットが大きい。できるだけ検査のハードルを下げ、より多くの方々の健康管理に貢献し、疾病の早期発見・早期治療につなげたいという思いがある。

経鼻内視鏡を用い検査だけでなく治療も行う。「早期の食道がんに対しては経鼻内視鏡によるESDにも取り組んでいます。通常のESDは静脈麻酔を用い眠った状態で施行しますが、経鼻内視鏡を用いる場合は麻酔を使うことなく無鎮静で施行することができます」(新垣部長)。

大腸内視鏡検査は大腸がんの早期発見に欠かせない検査だが、痛みへの不安や、「大変そう」といったイメージにより、検診受診率が伸び悩んでいるのが課題。そうしたなか、結城センター長は独自に編み出した“パワーレス大腸内視鏡挿入法”を実践している。これは、名前のとおり、余分な力を排除し、被検者と術者の双方の負荷軽減を目指す挿入法だ。余分な力を加えずにスコープ(大腸カメラ)を挿入する方法であるため、痛みを極力抑えることができる。「一般的な挿入法では、右手でスコープをひねりながら挿入していくため、つねにスコープを握っておく必要があります。ですが、パワーレス挿入法では操作部を持つ左手の位置を変えることによってスコープに回転を加えます。その際、あくまで右手はスコープに軽く添えるだけで“握らない”“ひねらない”ことが重要です。テコの原理により、より小さい力でスコープの先端を大きく動かすことができるのです」(結城センター長)

結城センター長はこうしたパワーレス大腸内視鏡挿入法に関して、4年前から若手内視鏡医向けに講習会を開催するなど、技術の普及にも力を注いでいる。

結城センター長はパワーレス大腸内視鏡挿入法を解説する書籍を2019年に上梓結城センター長はパワーレス大腸内視鏡挿入法を解説する書籍を2019年に上梓

内視鏡センターを開設した4月はコロナ禍の真っ最中で、徳洲会グループとして健診・人間ドックを休止する方針をとっていたが、その後、日本人間ドック学会などの統一見解をふまえ、5月上旬から再開。徐々に内視鏡件数は伸びており、たとえば19年6月は月間で上部内視鏡検査195件、下部内視鏡検査28件だったが、この6月は上部内視鏡検査414件、下部内視鏡検査97件と大幅に増えている。

同内視鏡センターは今後、地域医療に貢献していくと同時に、若い内視鏡医を引き付けられるようなアクティブなセンターを目指していく考えだ。

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