徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

鈴木 隆夫(すずきたかお)(一般社団法人徳洲会理事長)

直言 生命いのちだけは平等だ~

鈴木 隆夫(すずきたかお)

一般社団法人徳洲会理事長

2020年(令和2年)1月1日 水曜日 徳洲新聞 NO.1217

安心・安全・親切を追求し
「伝説の病院」づくり目指す
ベストプラクティス共有で質向上

2010年5月、米国サンフランシスコのカイザー・パーマネンテ医療センターと医療施設設計会社を、一般社団法人徳洲会の安富祖久明・専務理事(現・副理事長)や、日本の設計士とともに訪問しました。当時、いくつもの徳洲会グループ病院の新築や建て替えを行う必要に迫られ、世界の最先端の病院の設計・建築を視察することが目的でした。

そこで学んだのは、患者さんや職員にとって安全で快適、ストレスの低い構造というエビデンス(科学的根拠)に基づいた設計でした。これまで最低限のイニシャルコスト(初期費用)で設計・建築していた徳洲会の病院とは真逆のコンセプトを見せつけられたのです。

ナースステーションはフロア中央ではなく、患者さんの要望にすぐ対応できるように受けもちの病室近くに分散して設置。ICU(集中治療室)は24時間、患者さんの家族が自由に面会できるなど、管理する側でなく、患者さん視点で親切かつ利便性を考慮しています。

どんなコンセプトで、この病院がつくられたのか設計者に尋ねたところ、「Fabled(フェイブルド) Hospital(伝説の病院)」と返答されたのが印象的でした。医療を提供する病院側の都合ではなく、患者さんや職員にとって安心、安全で親切と感じられ、患者さんの目線重視でつくられた最高の病院。その時から私の胸に、このコンセプトが刻まれました。

反対や批判の声を越えて患者さんのため施策断行

「安心、安全、親切で最高の病院」とは、どのような病院でしょうか。

徳洲会グループでは医療の質管理プロジェクトとして、超規模病院から離島・へき地などの小規模病院まで、現場でさまざまなチームが改善活動を行っています。グループのなかの最良の実践(ベストプラクティス)を共有することで、グループ全体の医療の質向上を目指しています。

また、病院で決して起こしてはならない事象である「ネバーイベント」についても、専門チームが根本原因を分析し、再発防止の仕組みを構築、グループ施設内で絶対に発生させないことを目指し取り組んでいます。

さらに医師が行う手術手技に対し評価項目を設け、グループの指標と比較し、その医療が適切か、専門家同士で評価し合うピアレビューも日本で初導入、今後さらに強化したいと考えています。

これらの導入時には多くの反対や批判がありましたが、患者さん目線の安心と安全のために断行しました。実施や改善のノウハウをグループ全体で展開することで、高品質な医療を提供する仕組みをつくります。

また、患者さんに親切な医療を提供するには、職員が幸せでなくてはいけません。職員満足度調査では、職員の皆さんが何に不満を感じ、何を求めているのかを調査。問題を見つけ出し改善することで、満足度を高めモチベーションを向上させたいと考えています。組織が職員を大切に思い、それを感じることで、職員は患者さんを大切に思い親切に対応するはずです。病院で職員に親切にしてもらえたと感じてくださった患者さんは、今度は病院を大切に思ってくださると信じています。

地域の方や職員・家族が誇りに感じられる病院を

高度医療を提供する特定機能病院が、医療事故を原因に承認取り消しされる出来事が起こるなか、医療安全を評価する機運が高まっています。

特定機能病院の承認要件として、新たに第三者による評価が加わり、国際的な医療機能評価であるJCI認証もそのひとつとして挙げられました。外部監査としてピアレビューも要件に加わっています。その一方で、病床数は400床以上に低減、年間の査読論文数も減少となりました。高度医療を提供する機関にとって、より重視すべきは安全性であるとされたのです。

これまでの徳洲会の取り組みが、国が目指す医療の方向性と、いつの間にか合致したのです。

米国から帰国後、私は執務室の白板に「Fabled Hospital」という文字を書き、私の夢、目標となっています。患者中心の医療を追求する果てしない旅路の末に、「伝説の病院」があるのかもしれません。病気の時にだけ来院するのではなく、職員やそのご家族、地域の方たちが大切に思い、誇りに感じてくれる最高の病院となるために、皆で頑張りましょう。

福島 安義(ふくしまやすよし)(一般社団法人徳洲会副理事長)

直言 生命いのちだけは平等だ~

福島 安義(ふくしまやすよし)

一般社団法人徳洲会副理事長

2020年(令和2年)1月1日 水曜日 徳洲新聞 NO.1217

支援を必要とする人の存否
まずは自ら出かけ確認実行

「現地30年の体験をとおして言えることは、私たちが己の分限を知り誠実である限り、天の恵みと人の真心は信頼に足るということです」。これは2019年12月初旬に、アフガニスタンで活動中に銃撃され、亡くなられた中村哲先生の言葉です。

私たち徳洲会グループとは、社会福祉法人徳和会の佐藤耕造理事長をとおし浅からぬ縁のあった方です。アフガニスタンの過酷な状況から、医師として病気を治すことより、まずは生きることが先決と、大規模灌漑(かんがい)事業に取り組まれました。私たちの“生命だけは平等だ”の理念を、彼の地で実践されたのです。

さて、私たちはどのようにしていけば良いのでしょうか。まずは身近なところから始めましょう。自分たちの病院や施設の周辺に、支援を必要としている人々がおられるか否かを知ることから始めます。見た目ではわかりません。現在の日本では子どもの7人に1人が貧困状態にあると言われています。また、65歳以上の方々の約27%が独居世帯であるという統計もあります。

“生命だけは平等だ”の理念を胸に期し、マザー・テレサの言われた「私たちは人々と会うために自ら出かけてゆかねばなりません。遠くに住む人にも、近くにいる人にも、物質的に悩む人々のところにも、精神的貧しさを味わっている人のところにも」を実践していきましょう。

安富祖 久明(あふそひさあき)(一般社団法人徳洲会副理事長)

直言 生命いのちだけは平等だ~

安富祖 久明(あふそひさあき)

一般社団法人徳洲会副理事長

2020年(令和2年)1月1日 水曜日 徳洲新聞 NO.1217

世界が危うい今だからこそ
誇りもち患者中心の医療を

明けましておめでとうございます。新たな希望に満ちた一年が始まりましたが、同時に世界が危うい方向に進んでいるのではないかという危惧の念も拭えません。日本では政権が長期化し、そのおごりから支持率が下落。一方、米国は自国優先主義を貫き、外交や安全保障、環境問題にさえも利益優先のビジネス的手法を取っています。

心を痛める出来事もありました。徳洲会グループと縁の深い「ペシャワール会」現地代表の中村哲医師が、アフガニスタンで凶弾に倒れたのは記憶に新しいところです。彼は博愛の精神をもち、徳洲会の理念と軌を一にし、「病はあとで治せる。まずは生きておれ」と農村復興のための水利事業などに注力してきました。

こうした危うい時代だからこそ、〝生命だけは平等だ〟の理念を決して忘れてはいけません。「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会」を目指し、弱者に手を差し伸べるという徳洲会の原点を貫きとおすことが大切なのです。

2019年、徳洲会の離島・へき地の病院長らがマンパワー不足を訴えたのをきっかけに、応援体制を強化しました。全国的にも医師が都市部に偏在し、地方の医療崩壊が憂慮されるなか、こうした取り組みが徳洲会の試金石となるのは間違いありません。これからもすべての職員が誇りをもち、患者さん中心の医療を実践していきましょう。

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