徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(令和元年)11月25日 月曜日 徳洲新聞 NO.1212 三面

離島応援――田原・出雲病院院長の提言 ②
「院内救急対応システム」導入がフォローウインド

「皆で患者さんに対応する環境があったから」と田原院長「皆で患者さんに対応する環境があったから」と田原院長

出雲徳洲会病院(島根県)が「複数主治医制」を敷き、比較的スムーズに、ほぼ切れ目のない離島応援を実現できた裏には、「RRS(Rapid Response System= 院内救急対応システム)を5~6年前に取り入れたことが大きい。皆で患者さんに対応する環境が醸成されていたことが追い風となりました」と、田原英樹院長は明かす。

RRSとは入院患者さんの容態変化に早期に介入することで、病態の急激な悪化を事前に防ぎ、急変による予期せぬ心停止を回避する仕組みをいう。米国では3,000以上の病院がRRSを導入し、一部の病院では院内心停止率が15%減少。国際的な医療機能評価のJCI認証基準にも含まれていることから、日本でも導入する病院が徐々に増えている。

出雲病院ではRRS起動基準を名刺サイズの用紙に記載し、主に医師や病棟看護師などが携行するようにしている。起動基準は①呼吸回数が30回/分以上、8回/分以下への変動、②新たなSpO₂(経皮的動脈血酸素飽和度)90%以下への低下、③脈拍数が130bpm以上、40bpm以下への変動、④収縮期血圧が80mmHg以下、または40mmHg以上の低下、⑤24時間尿量が300ml以下への減少(前日12時〜当日12時)、⑥急激な意識レベルの低下―のいずれかに該当した場合と規定。

注意事項としてRRSは、がんに対する積極的な治療を行わず、症状などを和らげる緩和ケアに徹するBSC(BestSupportive Care)患者さんには起動させない。また起動時は、起動基準①~⑥のうち「RRS○番の……な患者さんがいますので、○○号室にお願いします」と、救急医のPHSに連絡することを明記している。

同院の離島応援の素地はRRS以外にもある。「整形外科の先生がライフワークで、3カ月のうち1カ月はネパールに診療に行くため、そのフォローを外科系の先生でしていたことも要因だと思います」(田原院長)。

アンケート調査で応援医師の胸懐が浮き彫りに

RRS(院内救急対応システム)起動基準を記した名刺サイズの用紙RRS(院内救急対応システム)起動基準を記した名刺サイズの用紙

だが、ある時、ひとりの医師から「出雲病院では、当直明けは9時で帰れるが、離島病院ではそうはいかないため、疲労がたまる」という不満の声が上がった。これに対し田原院長は、離島病院の院長に協力してもらい、当直明けは、できるだけ午前中で業務を終了させてもらうようにした。「出雲病院は医師の働き方改革を進行中ですが、離島病院の診療体制も同じように充実させることが必須と痛感しました」(同)。

ほかの医師も何か思うことはないのだろうか――。
そこで田原院長は出雲病院の医師に対し、離島応援に関するアンケート調査を実施。その回答には、これまで思いもよらなかった多くの医師の胸懐が浮き彫りとなっていた。(つづく)

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