徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(令和元年)11月25日 月曜日 徳洲新聞 NO.1212 一面・二面

特別対談
鈴木隆夫・学校法人徳洲会理事長
松浦甲彰・名瀬徳洲会病院院長
「湘南鎌倉医療大学」誕生へ
――そして徳洲会の未来へ

2020年4月、学校法人徳洲会 湘南鎌倉医療大学が開学する。同大では島嶼(とうしょ)看護や災害看護など徳洲会グループを母体とする大学ならではのカリキュラムを設け、“生命だけは平等だ"の理念の下、「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療・ケアを受けられる社会」の実現に貢献できる医療人の育成を目指す。学校法人徳洲会の鈴木隆夫理事長(一般社団法人徳洲会理事長)に、鹿児島県の離島である奄美大島に立地する名瀬徳洲会病院の松浦甲彰院長からの質問の形で、同大への思いや徳洲会のビジョンなどについて語ってもらった。

「皆が誇れるよう一層成長」

拡大する看護職の役割

「離島・へき地を含む日本全国、そして海外でも活躍できる人材育成を」と松浦院長「離島・へき地を含む日本全国、そして海外でも活躍できる人材育成を」と松浦院長
「果てしない夢を目標に、歩み続けることこそが徳洲会の存続意義」と鈴木理事長「果てしない夢を目標に、歩み続けることこそが徳洲会の存続意義」と鈴木理事長

松浦 なぜ、湘南鎌倉医療大学を開学するのか、その経緯と理由について、お聞かせください。
鈴木 医療大学構想は10年以上前から始まり、二度頓挫していますが、“三度目の正直”で、ここまで来ました。湘南鎌倉医療大学は2020年4月に開学し、まず看護学部看護学科からスタートします。

看護師の90%は女性で占められており、結婚・出産・子育てなど、女性特有のライフステージによる「離職率」も高く、看護師不足の問題が叫ばれて久しい状況です。一方、今日の医療提供体制では、医療が果たすべき機能として、急性期医療からリハビリテーション医療、在宅医療、地域での看取り、また、それらに対する支援にまで広がっており、看護提供の場がますます拡大しています。

さらに、保健医療福祉分野で、多職種による緊密なチーム医療の提供が必要となっており、看護職の役割も広がると同時に、これまで以上に高度な看護実践力が求められ、医療専門職としての期待も高まっています。

このような背景や看護に対する社会の多様なニーズに応えるため、徳洲会グループの理念である“生命だけは平等だ”を共有し、高い倫理性と豊かな人間性を備え、最新の知識・技術をもとにした判断力・思考力をもち看護実践ができる有能な人材を育成し、広く社会に貢献したいと考えています。

大学も病院も経営は大事

松浦 私たちは、徳洲会の創設者である徳田虎雄・前理事長が掲げた“生命だけは平等だ”の理念を受け継ぐ人材の育成を望んでいます。湘南鎌倉医療大学の理念を教えてください。
鈴木 湘南鎌倉医療大学は、徳洲会の“生命だけは平等だ”の理念を柱に「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療・ケアを受けられる社会」の構築を目指し、日々研鑽(けんさん)する医療人を育成することを、建学の精神として据えています。

松浦 湘南鎌倉医療大学は、徳洲会グループが母体となっていますので、その建学の精神に大いに期待しています。今後、どのように大学を経営されていくのか、お話しください。
鈴木 私は長年にわたり、徳洲会グループの病院経営に携わってきましたので、経営が大事であるということは身に染みて感じています。経営は大学も病院も同じで、経営が安定しなければ継続はできません。大学で可能なさまざまな収益事業を考え、大学の発展に努めていきます。どんな困難が待ち受けていようとも、それを乗りきる覚悟で臨みます。

大学が向かうべき道に進むよう、副理事長、学長、副学長ら幹部と十分な話し合いの場をもち、同じ理念で同じ方向にかじ取りできる体制をつくっていきます。一番大切なことは大学として掲げるビジョン、そのビジョンを達成するためのミッションを定め、共に進んでいくことです。

海外でも活躍できる人材

松浦 湘南鎌倉医療大学は神奈川県鎌倉市に開学しますが、神奈川県のみならず離島・へき地を含む日本全国、そして海外でも活躍できる人材の育成を希望します。
鈴木 前述したとおり“生命だけは平等だ”の理念の下、「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療・ケアを受けられる社会」の構築を目指し、日々研鑽する医療人を育成することが建学の精神です。これは、日本国内だけでなく、海外の医療過疎地域にも生きる精神ですので、視野の広い看護学生を育てていく考えです。

“生命だけは平等だ”は世界で通用する理念ですが、残念ながら実践されているとは言い難い状況にあります。私は国や肌の色、宗教などが異なっても“生命だけは平等”であってほしいと強く願っています。

徳洲会は開発途上国に対する医療支援や、NPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)を組織し国内外の被災地で災害医療活動を行っていますが、これらはすべてボランティアです。この社会貢献、国際貢献の精神を若い人たちに引き継いでいただきたいと思っています。「看護は患者さんのため」という単純にして芯を突く考え方を学び、徳洲会グループと同じ姿勢で、神奈川県のみならず日本全国、そして海外でも看護を実践できる人材を育てていくという大きな夢をもっています。

松浦 当院が立地する鹿児島県の離島である奄美大島など奄美群島、また他の離島・へき地からも、ひとりでも多くの学生が湘南鎌倉医療大学に入学することを願っています。全国で離島・へき地医療を担っている皆さんも、同様の希望を抱いていると思います。日本全国から広く学生を募る手立てを考えられていますか?
鈴木 徳洲会は、71病院をはじめ350以上の医療・介護・福祉施設を北海道から沖縄県まで展開していますので、これら施設が中心となり、学生の募集活動を行っていきます。

すでに奄美群島や沖縄県にある徳洲会病院の看護師の子弟が、湘南鎌倉医療大学の受験を希望していると聞いています。多くの学生が出願することを願って止みません。

将来は医療経済学部も

松浦 湘南鎌倉医療大学は、まず看護学部看護学科からスタートしますが、他の学部の開設についてはいかがでしょうか?
鈴木 大学開学後、しばらくしてから大学院を設け、将来的には病院経営学などを学修する医療経済学部の設置を構想しています。

また、増え続けるがん患者さんに対応するため、医学物理士を育成したり、海外留学生の受け入れなども行ったりと、夢は広がります。必ず、ご期待に沿うよう、素晴らしい学び舎をつくり、素晴らしい学生が勉学に精励できるスキームを構築していきます。

松浦 徳洲会グループは1973年の創設以来、救急医療と離島・へき地医療を原点とし、鋭意取り組んできましたが、今後もそれは変わりないでしょうか?
鈴木 もちろん、救急医療と離島・へき地医療は徳洲会の原点として、今後も変わらず精力的に取り組んでいきますが、疾病構造、社会構造などの変化にともない、がん医療や慢性期医療、回復期リハビリテーション、予防医療、健診事業、介護事業などにも力を入れていきます。

松浦 日本全体を俯瞰(ふかん)すると、医療の専門性や安全性・効率性を目的に、拠点化・集約化した医療体制の構築が推し進められています。これにより、都市部と地方部、離島・へき地の医療格差がさらに広がってきています。この格差を縮小する手立てはないでしょうか?
鈴木 残念ながら、都市部と地方部、離島・へき地の医療格差は、これからも容赦なく広がっていくと予想されます。本来、医療格差を埋める手立ては国や自治体が率先垂範しなければならないと考えます。

一医療グループにできることには限界があります。私たちは目の前の一つひとつのことに真摯(しんし)に取り組むしかありません。たとえばグループ全体で、質が高く安全・安心で親切な医療を提供するための取り組みを、QI(Quality Improvement/Indicator)活動などを通じて行っています。

さまざまな制約下に置かれている離島・へき地病院が生み出し、創意工夫した医療サービス、都市部の病院が構築した専門性・効率性などが高い医療サービスを、グループ内で共有し、ベストプラクティス(最善慣行)に標準化し、実践・評価して、さらなる改善を継続的に行うことが、全体の標準化と底上げにつながっていくと考えます。

徳洲会の理念を未来へ

松浦 理念あっての徳洲会だと思います。徳田・前理事長が徳洲会を立ち上げた思い、その理念や医療人としての原点、これらを周知徹底し、現場で生かしていくための職員教育については、どのようにお考えでしょうか?
鈴木 徳洲会の理念は過去も現在も変わることなく、未来に確実につなげていきます。徳洲会の「医療は患者さんのため」という精神を同じくする医療人が集い、切磋琢磨(せっさたくま)し、彼らが若者を教育することで、理念の継承が行われると確信しています。組織の意思決定が理念に合致しているか、2カ月に一度、徳洲会病院の幹部らが参加する徳洲会医療経営戦略セミナーなどを通じコンセンサスを図り、その方針を未来に向け共有するためのベクトル合わせを今後も続けていきます。

松浦 奄美群島など離島・へき地で徳洲会が果たしてきた役割は、医療活動だけにとどまりません。しかしながら、離島・へき地で、その本丸の医療でさえ維持・継続が容易ではなくなってきています。ここにきて統廃合という方針転換も頭をよぎるようになっています。お考えがあれば教えてください。
鈴木 奄美群島の医療体制を維持・継続することは、今後も困難がともなうと思われます。徳洲会の原点として、離島・へき地医療を支えていく覚悟ではありますが、奄美群島内でも、お互いに助け合い、サポートし合う自助努力が必要です。

徳洲会は「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会」を目指し、展開してきましたが、離島・へき地は全国に存在しており、力が及ばない所もあります。

地域の患者さんに見捨てられた病院が存続できないという事実は、全国の病院に共通していることであり、地域に唯一の病院だからといって、その地位にあぐらをかくのではなく、質が高く安全・安心で親切な医療サービスをどう継続していくか、つねに向上心をもって取り組み、地域から必要とされる病院であり続けることが重要だと考えます。

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