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直言

Chokugen

田原 英樹(たばらひでき)(出雲徳洲会病院院長(島根県))

直言 生命いのちだけは平等だ~

田原 英樹(たばらひでき)

出雲徳洲会病院院長(島根県)

2019年(令和元年)7月8日 月曜日 徳洲新聞 NO.1192

複数主治医制を敷き病院挙げて離島応援
専門外を診られる医師がいるから可能に
「院内急変対応システム」を取り入れた成果

2019年2月から出雲徳洲会病院を挙げての離島応援が始まりました。当院は開設14年目を迎えますが、これまでは手術の応援や月1回の当直などスポット的な応援でした。それが今年2月から6月は、当院の常勤医師14人中8人が、1週間ごとに、ほぼ切れ目なく与論徳洲会病院に応援に行くことができました。その間、沖永良部徳洲会病院、徳之島徳洲会病院にも数日間ずつでしたが、短期応援もできたのです。

7月から12月は与論病院への応援希望者を募り、医局に「離島応援カレンダー」を貼り、応援に行きたい週を医師に書き込んでもらっています。そして来年1月から4月は再度、1週間ごとに切れ目なく応援できる体制を組みます。

医師の「働き方改革」進行中 離島でも診療体制充実を痛感

なぜ、14人中8人の医師が応援に行けるのかというと、ひとつは地方の小さな地域病院ならではだと思います。当院の医師は皆、自分の専門外の患者さんも診てくれます。したがって離島に行っても、あまり困らないのかもしれません。これが大病院であれば、自分の専門外の患者さんを診ることは、ほとんどないと思います。実際、自分が大学病院にいた時は、外科の患者さんしか診ていなかったことを振り返れば、当然のことと思います。自分の専門領域外の患者さんを診ることへの躊躇(ちゅうちょ)と、大病院は目の前の患者さんがあまりにも多いため、とても離島に行く余力はないのでしょう。

離島応援の重要性については常々、医局会で説明しています。どれだけ離島の先生方と島民の方々が大変で、離島応援があるから徳洲会が存続していることを説いているのです。「たくさんの応援はできないけれど、少しでも力になっていきましょう」と言っています。

離島応援の問題点も話し合っています。ある先生から「離島に応援に行くのはいいけれど、帰ってきた時に業務が山のようにたまっているのがきつい」と言われたことがあります。これに対しては複数主治医制を導入しました。外科系医師、内科系医師に大きく分け、診断書の作成や入院中の患者さんの病状説明などの対応は、副主治医にしてもらう。離島応援中は外来を止めず、他の医師に診てもらうなど対処し、解決しています。なかには3週間の応援に出る先生もいますが、その場合は完全に主治医を交代します。このようなことが比較的スムーズにできたのは、RRS(Rapid Response System(ラピッドレスポンスシステム)=院内急変対応システム)を5~6年前から取り入れているからです。皆で患者さんに対応する環境があったことなどが要因かと思います。

また、ある先生からは「出雲病院では当直明けは午前9時で帰れるが、離島ではそうはいかないため、疲労がたまる」との訴えがありました。これについては離島の院長先生方に協力してもらい、当直明けは、できるだけ午前中で業務終了にさせてもらいました。当院では医師の「働き方改革」が進行中ですが、離島の診療体制も同様に充実することが必須と痛感しました。

当院の医師14人に離島応援についてアンケート調査を行ったところ、先生方は離島応援に前向きですが、どっぷりと浸かる気はなく、あくまでも当院が主であり、行く以上はインセンティブも必要とのこと。また移動手段や離島病院での環境(業務、居住、病院設備)の改善、自分の専門が生かせる応援をもっとしたいといった結果が出ました。

さまざまな会合に参加し交流 地道に声かけ医師確保に尽力

結局、医師が集まらないと離島応援はできません。医師確保、医師の離職防止が当たり前ですが重要です。医師確保については、古くからの友人や先輩、後輩はもちろんのこと、いろいろな会合に出席し、交流を広げ、知り合いになった先生に地道に声をかけ続けています。人生には必ず節目があり、ふと転勤を考える時期があります。その時に、誘われたことを思い出してもらうのが重要です。

大事なのは、医師は限られた時間のなかで、医師にしかできない仕事に専念するということです。このため、もっとメディカルクラークを活用していくことも考えられます。遠隔診断や遠隔診療を積極的に導入していくのも手です。離島病院のなかには研修医の教育のために、本土の親病院とインターネットを介し、相談できる体制を開始したところもあり、非常に期待できます。皆で頑張りましょう。

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