徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(令和元年)7月8日 月曜日 徳洲新聞 NO.1192 三面

羽生病院
放射線治療が順調
トモセラピー
副作用少なく高精度

羽生総合病院(埼玉県)の放射線治療が順調だ。同院は2018年5月の新築移転から4カ月後に高度放射線治療装置「トモセラピー」を導入、月間100件を超える状態が続く。これまで同院周辺には放射線治療の実施施設が少なく、選択肢が限られていた。同院は地域のがん医療の向上に一層貢献していく考えだ。

「地域のがん医療の向上に貢献していきたい」と神沼医師(右)、渡邉・医学物理士 「地域のがん医療の向上に貢献していきたい」と神沼医師(右)、渡邉・医学物理士

トモセラピーはCT(コンピュータ断層撮影装置)と放射線治療システムを一体化した治療装置。IMRT(強度変調放射線治療)と呼ばれる照射技術を得意とし、腫瘍の形状や大きさに合わせて放射線の形や強度を変化させ、360度全方向からミリ単位の高い精度で照射できる。これにより、放射線を腫瘍に集中させ正常組織や隣接する重要臓器への影響を減らし、副作用を低減できるのが特徴。

羽生病院が導入したのは回転照射に加え、固定照射も可能な汎用性の高いタイプ。根治目的から緩和目的の照射まで、幅広いがん種の治療に用いることができる。

同院放射線治療科の神沼拓也医師(群馬大学大学院腫瘍放射線学教室講師)は「当院のある埼玉県北東部は放射線治療の過疎地域で、隣の群馬県にあるがんセンターまで行って治療を受ける患者さんもいました。地域に身近な医療機関で、安心して放射線治療を受けていただけるよう貢献していきたい」と話す。治療方針などに関し同教室から助言を得るなど協力関係も築いている。

治療件数は18年10月に105件と100件を超え、11月174件、12月188件、19年1月207件、2月114件、3月77件、4月122件、5月117件、6月142件と推移している。

放射線治療装置トモセラピー 放射線治療装置トモセラピー

ほとんどの患者さんは同院の外来・入院の患者さんのなかから放射線治療の適応があると判断された方々。前立腺がんと乳がんの患者さんが多く、半数を占める。今後、周辺の医療機関に告知するなど認知度を高め、徐々に紹介患者さんも増やしていきたい考えだ。

神沼医師は、ある前立腺がん患者さんから「放射線に当たると髪は抜けますか」と聞かれたことがあるという。もちろん、頭部に照射しなければ頭髪が抜けることはない。「『放射線は怖いもの』というイメージを抱いている患者さんもいます。そのため診療では、できる限りわかりやすい説明を心がけ、一つひとつ患者さんの不安を解消しながら取り組んでいます」(神沼医師)

また、放射線治療が開始されると患者さんは約2カ月間、頻繁に来院する必要があることから、患者さんの生活スタイルに合わせた治療時間を設定するなど配慮。「治療は最後まで完遂することが重要ですので、小さなお子さんのいる患者さんなど、無理なく通院できる時間帯に予約を入れ、来院してもらっています」。

神沼医師は安全で効果的な放射線治療を行っていくために多職種連携を重視。精度・品質管理や治療計画の作成に力を発揮する医学物理士、診療放射線技師、看護師との情報共有を緊密に行う意向。同院放射線治療科の渡邉哲也・医学物理士(診療放射線技師)は「地域の方々にとって治療の選択肢が増えるのは朗報です。安全で有効な治療に貢献していきたい」と意気込みを見せている。

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