徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(令和元年)6月3日 月曜日 徳洲新聞 NO.1187 三面

徳洲会呼吸器部会
肺がん研究会・症例検討会
診療能力向上で研鑽
瓜生・新部会長が就任の挨拶

徳洲会呼吸器部会は5月11日、京都市で第11回肺がん研究会・第9回症例検討会を開催した。徳洲会オンコロジー(腫瘍学)プロジェクトの一環で、肺がんなど呼吸器疾患の診療能力の向上を図るのが目的。医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師など約70人が参加し、幅広い症例を共有した。

呼吸器部会部会長に就任した瓜生部長 呼吸器部会部会長に就任した瓜生部長

冒頭、3月から部会長を務める八尾徳洲会総合病院(大阪府)の瓜生恭章・呼吸器内科部長兼腫瘍内科部長が「前部会長がつくり上げた部会で、引き続き皆さんの臨床のお手伝いができればと思います」と意気込みを語った。

続いて、新しく部会内の学際連携委員長に任命された湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の深井隆太・呼吸器外科部長は「患者さんに貢献していくために、外科医として知識を共有したり、皆さんの意見を聞いたりする場としていきます」と期待を寄せた。

症例検討会では、まず大隅鹿屋病院(鹿児島県)の田村幸大副院長が「長期休薬後にニボルマブ再投与が著効した肺腺癌の一例」と題し発表。同様の報告が少ないなか、「今回、投与再開で再奏効した症例を経験しました。奏効例に関しては、再投与も選択肢と考えられます」とまとめた。

深井部長はレクチャーも担当 深井部長はレクチャーも担当

八尾病院の小西千尋薬剤師は「当院で経験したROS1融合遺伝子陽性肺癌の一例」をテーマに発表。希少肺がんであるROS1融合遺伝子陽性肺がんの診断に至った流れを説明、「クリゾチニブ投与により著明な腫瘍縮小を認め、現在までに重篤な有害事象は認めていません」と治療継続中であることを報告した。

千葉西総合病院の小嶺将平・内科医師は「denovo T790M 陽性肺癌の一症例」と題し発表。診断では組織生検の重要性を強調、治療ではアファチニブで効果が少なく、オシメルチニブへの変更で効果を得たと報告、「本症例の一次治療薬として、今後さらに重要になると考えられます」と示した。

湘南鎌倉病院(神奈川県)の皆川由美子・放射線腫瘍科医長は「胸腺腫瘍に対する集学的治療の一環としての放射線治療の有効性」をテーマに発表した。胸腺腫瘍は慎重に長期の経過観察を継続し、局所再発や新規病変に対し、積極的に放射線治療を含めた集学的治療を行うことが、良好な長期予後に寄与する可能性を示唆。「再照射でも治療効果が十分に見られるので、治療の選択肢として検討すべき」とアピールした。

肺がんの新しい治療戦略に関し講演する新津顧問 肺がんの新しい治療戦略に関し講演する新津顧問

4題終えたところで肺がんレクチャー1として、徳洲会オンコロジープロジェクトの新津洋司郎顧問(札幌医科大学名誉教授)が「KRAS及びBRAF変異肺がんの新しい治療戦略」と題し講演。KRAS変異がんは、肺がんの原因遺伝子のなかで発生頻度が高いにもかかわらず、悪性腫瘍を制圧する治療戦略は開発されていない。BRAF変異がんは特異的な分子標的薬が開発されていながらも、耐性が生じやすいなど問題点が指摘されている。

新津顧問はこれまでの研究を通じて解決の糸口を見出し、「両がん種に対する特異性の高い治療法の開発に着手しました」と概要を解説した。

症例検討会に戻り、名古屋徳洲会総合病院の宇賀神基・呼吸器内科部長が「肺炎入院症例における入院時の血漿(けっしょう)プレセプシン値の臨床的意義」をテーマに発表。同院での肺炎入院症例を通じ、入院時の血漿プレセプシン(敗血症診断マーカー)値の臨床的意義について検討。結果、同値は予後予測指標となり、「既存の肺炎重症度評価に追加の情報を提供し得ます」と報告した。

湘南鎌倉病院の杉本栄康・呼吸器内科部長は「限局性気管支拡張症が発症に寄与した可能性が示唆された関節リウマチ(RA)の一例」と題し発表。同症例では、関節炎症状を発症する以前からリウマトイド因子が高力価であったことが確認されており、抗CCP抗体産生といった免疫異常がRAの発症に先行していたと推察。「病理組織学的にもRA発症と気管支拡張症との関連が示唆されました」と結んだ。

湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の堀内滋人・呼吸器内科医長は「経皮的心肺補助装置(PCPS)で救命しえた大量喀血(かっけつ)の一例」をテーマに発表した。同症例はPCPSにより出血を助長する懸念もあったが、過去の報告を参考に導入。人工肺の使用が困難な場合、「PCPS導入も選択肢であることが示唆されました」と示した。

7題の発表の後、肺がんレクチャー2として、深井部長が「需要が増している膿胸(のうきょう)治療~外科的搔爬(そうは)、気管支充塡、そしてひたすらドレナージ(CT下ドレナージの多用)」と題し講演。急性膿胸について①手術できなそうな患者さんにはドレナージ(排膿(はいのう)法)と抗生剤で治る可能性がある、②治療開始後10日で治癒しない場合は外科に相談すべき、③ドレナージ後リークができた(有瘻性)場合、気管支充塡で治る可能性がある――など臨床的アドバイスを送った。

最後に和泉市立総合医療センター(大阪府)の益田典幸・特別顧問兼臨床研究センター長が各発表を振り返り総評した。症例検討会終了後には、他団体主催の講演会を開催。京都府立医科大学大学院医学研究科呼吸器内科学の内野順治准教授が「肺がん治療の最新の知見」、髙山浩一教授が「肺がんのゲノム医療」をテーマにそれぞれ講演した。

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