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Tokushukai medical group newspaper digest

2018年(平成30年)9月24日 月曜日 徳洲新聞 NO.1152 四面

振戦優位型パーキンソン病
湘南藤沢徳洲会病院
臨床研究10例を終了

湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)は9月4日、振戦優位型のパーキンソン病に対するMRガイド下集束超音波治療(MRgFUS)の臨床研究について、予定していた10例の治療を終了した。今後は同疾患に対する自由診療の実施を検討している。

伊藤部長(後列右から2人目)を中心に、多職種が治療にかかわる 伊藤部長(後列右から2人目)を中心に、多職種が治療にかかわる

MRgFUSはMRI(磁気共鳴画像診断装置)でリアルタイムに患部の位置と温度をモニタリングしながら、1024本の超音波を集束、患部を熱凝固する新しい治療法。侵襲性が低い、覚醒下で治療する、治療中に効果を確認できるのが特徴だ。

治療に用いる「Exablate Neuro」は2016年12月に本態性振戦(自分の意思と関係なく手や首が震える疾患)の治療用医療機器として薬事承認を受けている。これに先駆け同院は同年11月に導入、翌3月14日に本態性振戦の患者さんに対し初めての治療を実施した(同年8月22日に予定していた10例の臨床研究を完了)。

日本では薬事未承認ながら海外で治療成績の報告があるパーキンソン病も、同院では臨床研究の対象とした。昨年4月25日、日本初の試みとして振戦優位型のパーキンソン病患者さんに対しMRgFUSの1例目を実施。同年8月29日、ジスキネジア(不随意運動の一種)を呈するパーキンソン病患者さんに対しても1例目の治療を実施した。

パーキンソン病は静止時振戦、筋強剛(きんきょうごう)(こわばり)、運動緩慢、歩行障害が緩徐に進行する原因不明の難病。神経伝達物質であるドーパミンが脳内で減少することが確認されており、これを補充する薬物治療が第一選択だが、経過の長期化にともない薬効の持続時間が短くなったり、幻覚など副作用により投薬の継続が難しくなったりするケースもある。

薬物治療が困難な場合、電気刺激を持続的に与え神経活動を抑える脳深部刺激療法(DBS)も選択肢のひとつ。ただし、穿頭(せんとう)(頭蓋骨に小さい孔を開ける手術)が必要であり、電極や刺激装置を植え込むため侵襲性が高く、感染のリスクもある。一方、MRgFUSは侵襲性が低く、感染リスクがほとんどないのがメリットだ。

MRIの画像を複数の目で確認、治療ターゲットを同定 MRIの画像を複数の目で確認、治療ターゲットを同定

9月4日、振戦優位型のパーキンソン病の10例目の患者さんを治療。70歳代女性で、家族で農業を営んでいるが、左手の震えにより仕事に支障が出ていた。薬物治療を続けていたが、震えに対する効果を認めず、MRgFUSの治療を行うことになった。

治療は同院の伊藤恒・神経内科部長が全体の指揮を執り、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の山本一徹・脳神経外科医師が機器を操作。伊藤部長が振戦の程度や感覚障害の有無などを確認しながら治療を進め、9回の照射後に振戦の改善を確認し終了した。

予定していた10例の臨床研究を終えた伊藤部長は「これまでの治療を省みるとともに、まだ保険診療が承認されていないので、自由診療の準備を始めます」と意欲的。なお現在、ジスキネジアを呈するパーキンソン病の臨床研究は3例が終了。残り7例の被験者を募集中だ。

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