徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2018年(平成30年)9月24日 月曜日 徳洲新聞 NO.1152 一面

病院長・副院長等研修会
最新の経営手法など学ぶ
一般社団法人徳洲会が3回目開く

一般社団法人徳洲会(社徳)は9月1日から2日間、都内で第3回病院長・副院長等研修会を開催した。これは、病院長など病院幹部職の立場にある医師を対象とした研修会で、今回は院長8人、副院長22人、診療科部長6人の計36人が出席。社徳の鈴木隆夫理事長をはじめ主に徳洲会幹部が講師を務め、徳洲会グループの現状や今後の運営方針、病院経営や臨床研修、治験・臨床研究、コンプライアンスなどについて講義を行った。グループディスカッションも実施し、参加者相互に病院管理の考え方や課題などを共有するとともに交流を深め、有意義な2日間を送った。

研修会には全国から36人が出席 研修会には全国から36人が出席

初日はまず鈴木理事長が「グループの現状 今後の運営方針」をテーマに講義。グループ内法人の再編成やコンプライアンス(法令順守)・ガバナンス(組織統治)体制の確立、メディカルツーリズム(医療観光)の強化、包括的がんセンター設置構想、国際医療貢献の推進、医療大学構想、徳洲会ブランドの確立など、徳洲会グループの経営計画である「VISION2020」の内容や進捗(しんちょく)状況を説明した。

「患者さんの体験価値の向上が重要」と鈴木理事長 「患者さんの体験価値の向上が重要」と鈴木理事長

また鈴木理事長は、指標値(Quality Indicator :QI) の設定と分析などを通じた医療の質の改善強化を推進し、“生命だけは平等だ”という徳洲会の理念追求に向けて、量・質ともに日本一を目指す方針を表明。その一環で、徳洲会バージョンのネバーイベント(決して起こしてはいけない重大事故)項目を策定し、これらを決して起こさない体制づくりにも取り組んでいく意向を示した。さらに、病院での患者さんの体験価値向上を推進することの重要性を強調した。

続いて、社徳の安富祖久明・副理事長は徳洲会グループの経営状況をテーマに講義。安富祖・副理事長は徳洲会創設以来の経営状況の変遷を概説したうえで、数年分の実績を分析。医業収益や職員数は年々増加傾向にあるものの、今後も既存病院の新築移転を複数計画しているため、量・質ともに磨きをかけ、徳洲会という器を大きくしていく必要性を訴え、「院長は職員にビジョンを伝え続けてください」と呼びかけた。

臨床研修や治験・臨床研究について講義する篠崎・副理事長 臨床研修や治験・臨床研究について講義する篠崎・副理事長

「徳洲会という器を大きくしていく」と安富祖・副理事長 「徳洲会という器を大きくしていく」と安富祖・副理事長

次に医療法人沖縄徳洲会の篠崎伸明・副理事長(湘南鎌倉総合病院院長)は、臨床研修と治験・臨床研究に関して講義。臨床研修に関しては、まず全国にある徳洲会グループ71病院のうち、初期研修医を採用できる基幹型臨床研修指定病院が22病院あり、今年度入職した初期研修医は140人に上ることを紹介。

初期研修医の採用までには、大学を対象にした徳洲会説明会→病院見学・実習→受験→マッチングという流れがあることから、篠崎・副理事長は「各臨床研修指定病院は最初のステップである徳洲会説明会に積極的な参加をお願いします」と呼びかけた。このほか、初期研修医の労務管理、奨学金制度、専門研修(新専門医制度)などを解説した。

各種ハラスメントや医療安全などコンプライアンスについて講義する福島・副理事長 各種ハラスメントや医療安全などコンプライアンスについて講義する福島・副理事長

「規模を拡大しながらグループ全体の経営力の維持・向上を」と東上・副理事長 「規模を拡大しながらグループ全体の経営力の維持・向上を」と東上・副理事長

治験・臨床研究については、関連する法規やグループ内の倫理審査委員会の構成、3月に認定取得した臨床研究法に基づく「認定臨床研究審査委員会」などについて説明を行った。

この後、グループディスカッションを実施。社徳の福田貢・専務理事(八尾徳洲会総合病院総長)が全体の司会を務めた。5グループに分かれ、司会と書記役を決めて「病院管理」をテーマに討議。院内での役割や近況、地域での自院の立ち位置、人材確保、組織づくり、意思決定、患者さん・職員満足など、多岐にわたる内容が飛び交い、充実したディスカッションとなった。最後に各グループの代表者が全体発表を行った。

病院管理をテーマにグループディスカッション 病院管理をテーマにグループディスカッション

初日最後は千葉大学医学部附属病院の井上貴裕副院長が「医療政策の方向性を踏まえた戦略的病院経営」と題し講演。井上副院長は診療報酬改定や社会保障・税一体改革など医療政策の動向や影響、医療機関に求められる戦略などを解説した。

具体的には地域包括ケア病棟、一般病棟の看護必要度、平均在院日数、DPC(診断群分類別包括評価)機能評価係数、退院調整、救急医療入院などを切り口に、グループ病院の公開データなどを用いて分析。さらに千葉大附属病院の経営改善の取り組みを紹介した。最後に「なりたい姿、なるべき姿、なれる姿から総合的に判断し『目指すべき姿』を明確にした後、達成するための戦略を策定することが求められます」と指摘した。

「『目指すべき姿』を明確にし、戦略を策定することが求められます」と井上副院長 「『目指すべき姿』を明確にし、戦略を策定することが求められます」と井上副院長

2日目は、まず社徳の福島安義・副理事長が「病院幹部が知っておくべきコンプライアンスに関する注意事項」をテーマに講義。各種ハラスメントの分類や具体的事例、懲戒処分の原則、手順など法務や、業務標準化や重大事故発生時の報告の流れなど医療安全に関して説明した。

次に医療法人徳洲会の東上震一・副理事長(岸和田徳洲会病院院長)が「院長・副院長が知っておくべき幾つかの事」と題し講義した。病院経営を取り巻く厳しい環境に触れたうえで、医療界では病院の統廃合による再編が進むと予測し、現在71病院を擁するグループの規模をさらに拡大しながら、グループ全体の経営力を維持・向上していく重要性を指摘。岸和田病院を例に、収入・支出の両面に関し、損益管理表から読み取れる内容を解説した。

福島・副理事長が一人ひとりに修了証を授与 福島・副理事長が一人ひとりに修了証を授与

最後のプログラムでは、社徳の顧問弁護士である濵・宇佐美法律事務所の保坂慶太弁護士が有期労働契約の運用実務をテーマに講義を行った。

全プログラム終了後、福島・副理事長が参加者全員に修了証を手渡し、一人ひとりが2日間の感想を語った。「徳洲会の一員として何ができるかを考えながら、院長を支えていきたい」、「今後の病院運営のヒントをいただけた」、「今まで以上に徳洲会のことを理解できました。幹部の先生方の熱い気持ちも伝わってきました」、「得たことを病院にもち帰り、スタッフと共有したい」といった声が聞かれた。グループ幹部の総評と徳洲会の理念の唱和を行い閉会した。

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