徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2018年(平成30年)8月27日 月曜日 徳洲新聞 NO.1148 四面

徳洲会消化器内視鏡部会
内視鏡AIなど知識を共有
第9回ENDO CLUB開催

徳洲会消化器内視鏡部会は7月28日、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)で第9回ENDO CLUB学術集会を開催した。同集会は内視鏡(エンドスコープ)に関する知識や経験を徳洲会グループ病院で共有するのが目的。2010年に発足し、以後、年に1回の頻度で学術集会を開いている。今回はパネルディスカッションや一般演題のほか、内視鏡AI(人工知能)をテーマにしたミニレクチャーもあり、約60人の参加者は熱心に聞き入っていた。

「AI使う医師・使わない医師で大差」

約60人の参加者が内視鏡に関する知識と経験を共有 約60人の参加者が内視鏡に関する知識と経験を共有

冒頭、湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の宗像博美院長が「多くの病院による趣向を凝らした演題発表と、内視鏡AIのミニレクチャーもあります。ぜひ知識をアップデートしてください」と挨拶。次いで今回の世話人である湘南鎌倉病院の小泉一也・消化器病センター部長は「各病院が得意分野の知識を披露し合い、グループとして成長していければ良いと思います」と意気込みを語った。

「グループとして成長していきましょう」と世話人の小泉部長 「グループとして成長していきましょう」と世話人の小泉部長

今回は一般演題8題に加え、パネルディスカッションが4題、プレナリーセッション(全員参加のセッション)が3題あり、8病院が演題を発表。さらに、ただともひろ胃腸科肛門科の理事長・院長を務める多田智裕AIメディカルサービス代表取締役会長・CEO(最高経営責任者)が「世界に挑戦する日本の内視鏡AI」をテーマにミニレクチャーを行った。

一般演題では各病院の医師が貴重な症例を報告するなか、札幌東徳洲会病院の前本篤男・副院長兼IBD(炎症性腸疾患)センター長は「Total Quality Management(TQM):クリニカルパス推進プロジェクト~胃内視鏡的粘膜下層切開剝離(はくり)術(ESD)パスの現状」と題し発表した。徳洲会グループとして医療の質を評価し改善するTQMのひとつとして、クリニカルパス(診療計画)推進プロジェクトがある。

宗像院長は開会の挨拶で演題発表のバリエーションを明かす 宗像院長は開会の挨拶で演題発表のバリエーションを明かす

このなかで胃ESDの標準パスは5月に湘南鎌倉病院、湘南藤沢病院、岸和田徳洲会病院(大阪府)、札幌東病院、福岡徳洲会病院で試験運用を開始。6月までの2カ月で合計21例の使用があり、期待されるアウトカム(成果)の達成率を用いた評価、バリアンス(予定からの逸脱)抽出を含めた分析が必要であると報告した。質疑応答では、「現在は試用版ですが、要望のある離島病院には今秋をめどに導入できるよう、準備を進めたいと思います」と答えるひと幕もあった。

パネルディスカッションは「胆膵(たんすい)内視鏡(ERCP・EUS)のトラブルシューティング」がテーマ。湘南鎌倉病院の増田作栄・消化器病センター医長が「胆管挿管のコツと困難例への対応」、成志弦・消化器病センター医師が「ERCP不成功例におけるサルベージとしてのEUS下ドレナージ」、千葉西総合病院の保坂祥介・消化器内科医長が「膵嚢胞(すいのうほう)ドレナージに苦慮した一例」、東京西徳洲会病院の山本龍一・消化器病センター長が「内視鏡的胆管ステンティングの実際とトラブルシューティング」と題し、それぞれ発表した。

「徳洲会ではAIがトピックになります」と賀古センター長 「徳洲会ではAIがトピックになります」と賀古センター長

増田医長は、ERCPの基本的な技術である胆管挿管の実際を動画で提示し、一般に奏功率が90~95%で良好とされる胆管挿管を、湘南鎌倉病院ではさまざまな手法を用いることで99%まで可能であったことを報告した。また、山本センター長は東京西病院での悪性胆道狭窄(きょうさく)症に対する内視鏡的胆道ステンティング(ステントの留置)を中心に、治療成績や手技の実際など提示。あわせて内視鏡的アプローチが不可の症例に対する治療戦略など解説した。

続くプレナリーセッションは「ESD」がテーマ。岸和田病院の吉本泰治・消化器内科医長が「ネラトンアタッチメントを用いた左手ナイフ操作によるESDについて」、湘南鎌倉病院の田澤智彦・消化器病センター医師が「穿孔(せんこう)の併発なしにESDにて治癒切除された憩室(けいしつ)を伴った早期食道がん」、湘南藤沢病院の永田充・内視鏡内科部長兼内視鏡センター副室長が「Gravitational lower side病変に対するUnder-water ESDの有用性」をテーマにそれぞれ発表した。

「AIを使う医師と使わない医師に大きな差ができる」と多田会長 「AIを使う医師と使わない医師に大きな差ができる」と多田会長

最後に多田会長がミニレクチャーを実施。まず「AIは医師の道具です」と強調し、今後はAIを使う医師と使わない医師に大きな差ができると指摘した。AIにはさまざまな分野や用途で使える汎用型AIと特定の領域で使える特化型AIがあり、内視鏡の画像認識は特化型AIのひとつ。

多田会長は、内視鏡画像から専門医並みの高精度でピロリ菌感染を診断するAIの開発経緯を説明。続いて胃がんの診断では「6㎜以上の胃がんを98%の精度で発見」、「1画像の診断にかかる時間は0.02秒」など研究成果を、がん研究会有明病院とともに1月に発表したことを報告した。

また、AIにより内視鏡検査中のリアルタイム診断が可能になり、「撮影漏れによる見逃しを防ぐことができるようになりました」と強調。実際の内視鏡動画を提示し、画面内にがんの疑いのある部位が映り込むと、画面上に四角形の枠線でマークし、がんである確率を示す数値を表示するという仕組みを披露した。

多田会長は「AIのアシストにより、がんの見逃しを防ぎます。しかし、患者さんの状態を見極めて最終的に診断するのは医師です」と呼びかけたうえで、現在進めている湘南鎌倉病院、湘南藤沢病院、岸和田病院との共同研究のさらなる発展を約束した。

閉会の挨拶では湘南鎌倉病院の賀古眞・消化器病センター長が「各病院の貴重な症例や新しい技術に触れ、多くの収穫があったかと思います。今後、徳洲会ではAIの臨床への応用がトピックになってきます。まだ研究段階ではありますが、グループ内で協力して発展してけたら良いと思います」と展望を示した。

次回は札幌東病院で開催予定。

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