徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP 45th

直言

Chokugen

太田 智之(おおたともゆき)(札幌東徳洲会病院院長)

直言 生命いのちだけは平等だ~

太田 智之(おおたともゆき)

札幌東徳洲会病院院長

2018年(平成30年)7月16日 月曜日 徳洲新聞 NO.1142

自院の守りを固めて道内の災害へ対応
ハード面の充実と人材育成に力入れる
地域災害拠点病院の指定を目指し職員一丸

「過去に経験したことのないような大雨」、「危険差し迫った異常事態」――。

7月6日のテレビのニュース速報で、大雨特別警報として画面にこのようなテロップが流れていました。これは西日本の豪雨に対するものですが、じつは北海道も数日前に局地的大雨により、甚大な被害を受けました。北海道は2年前の夏にも大雨により、十勝(とかち)・帯広地区に通じる国道寸断や富良野(ふらの)地区での農業被害が起こりました。

当院が認証を取得しているJCI(国際的な医療機能評価)では「施設管理と安全」という項目があり、起こり得る地域の緊急事態、自然災害やその他の災害などに対応する緊急時管理プログラムの策定・維持・検証が求められています。

当院のある札幌市には、最大級の地震被害をもたらす断層が3つあると発表されています。万一に備え、当院では毎年災害訓練を行っていますが、その内容は形骸化していました。しかし、東日本大震災の際、現地で陣頭指揮を執った瀧健治(たきけんじ)・救急科センター長が2016年に当院に着任し、その後、職員の災害対策に対する意識は高まりつつあります。

リアルな状況に近づくよう実践的な訓練を追い求める

昨年10月、当院は初めて北海道DMAT(ディーマット)(国の災害派遣医療チーム)と合同災害訓練を実施しました。院内での本部立ち上げから被災状況確認、その対応処置のほか、EMIS(イーミス)(広域災害救急医療情報システム)への入力、そしてトリアージ(重症度・緊急度選別)タグを使用した多数の傷病者の受け入れと搬送訓練を行いました。より実践的な内容にしようと、土曜の午前中に外来など一般診療を行いながら、市内の大学病院災害チームと協力し、3時間に及ぶ訓練となりました。

今年も6月16日、自院単独での災害訓練を行いました。昨年の北海道DMATとの合同災害訓練では実践的な内容をイメージしたものの、職員にとって初めてのことが多く、マニュアルに従った訓練になってしまいました。

瀧センター長の判断で今回は病院を挙げて取り組み、また事前の打ち合わせも入念に行ったうえで訓練にこぎつけました。訓練の最後には岸郁夫・事務部長が記者会見のシミュレーションまでも行い、少しでもリアルな状況に近づけるよう努力しました。

訓練から1週間もたたない6月21日夜、札幌市内の弁当工場でガス漏れ事故が発生し、多数の一酸化炭素中毒患者さんが発生。現場からの救急搬送要請を受け、当院では救急科医師に緊急招集をかけるとともに、各部門の待機者を集め、松田律史(のりふみ)・救急科医師を中心に患者さんの受け入れから各種検査・治療処置とスムーズに対応し、最終的には44人の患者さん(うち3人が入院)の治療を行いました。

災害の種類は異なっていても、その時々の事象に対し中心者を置き、その中心者と、これをサポートし、かつ指揮に従い確実に実行する職員が、チームワーク良く対応することが求められます。ただ、これが多数の外傷者発生となれば状況も変わり、医師をはじめ、もっと多くの職員を招集しなければならなかったでしょう。今回は死者が出るような大規模災害ではなかったのが幸いであり、当院にとっても災害救助の受け入れ体制を確認する良い機会となりました。

道内に複数の大地震発生地域 雪害により一層困難な状況も

現在、北海道には地域災害拠点病院が34施設あり、このうち5施設が札幌市内にあります。ただ、市内を大きく二分する創成川(そうせいがわ)以東には1施設もないことから、当院は札幌市より災害時基幹病院(市内全12施設)の指定を受けています。

次なるステップとしては「生命を安心して預けられる病院」という徳洲会グループの理念の下、地域災害拠点病院の指定に向け職員一丸となって院内整備を図っていきます。

道内では釧路沖、十勝沖、浦河(うらかわ)沖など過去に大きな地震が発生している地域が多々あります。また、北海道は雪国ですので、冬季の災害となれば、さらに多くの困難事例が発生することは明らかです。

自院の守りを固めると同時に、周辺地域そして道内地域の災害に対して、しっかり対応できるようにハード面の充実、人材の育成に積極的に取り組んでいきます。

皆で頑張りましょう。

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